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文:岩見旦
手頃な価格で美味しい鶏肉は、主婦の強い味方。毎週何度も食卓に並ぶだろう。しかし、もしかしたらあなたは鶏肉の調理方法を誤っているかもしれない。
生の鶏肉は、カンピロバクターなどの菌に汚染されていることが多い。加熱処理が不十分な状態で食べると、食中毒になる恐れがある。しかし、注意しなければならないのはそれだけではない。
米国農務省は20日、生の鶏肉を洗ってはならないと発表した。なぜなら鶏肉からキッチンや食品に有害な菌を移す危険性があるからだ。
30%近くのサラダが鶏肉の菌で汚染
米国農務省はノースカロライナ州立大学と提携し、自宅でどのように生肉が取り扱われ、一緒に作られた食品に影響しているかを調査。キッチンに集めた300人に、鶏肉料理とサラダを作ってもらった。
その結果、生の鶏肉を洗ってはいけないと知らなかった人の内、61%が鶏肉を洗った。そして、30%近くのサラダが鶏肉の菌で汚染されていることが分かった。米国農務省の食品安全担当副次官のミンディー・ブラシャーズ氏は、生の鶏肉を洗う調理方法について「多くの人がシンクでサラダを用意していますが、その時サラダは汚染されます」と述べた。
中には、生の鶏肉を単なる水だけでなく、酢やレモンジュースを加えた水に浸す参加者もいたが、これらの方法で菌を死滅させる確かなエビデンスはないという。また食事が用意された後、シンクなどを掃除し、一見きれいになっているように見えるものの、実際は菌に汚染され続けていることが分かった。鶏肉は絶対に洗わないでいただきたい。
米国農務省は二次感染のリスクを減らす方法として、この他に「石鹸と水で20秒間徹底的に手を洗い、ペーパータオルで拭き、そのペーパータオルを捨てる」「調理前と調理後のシンクとカウンターの消毒」「鶏肉が確実に約74度に達するよう、食品用温度計を用意」「生肉用とその他の食品用に別々のまな板などを用意」などを提案している。
科学ジャーナリストの指摘が1万9000リツイート
米国農務省のこの発表は海を超えて、日本でも大きな反響を呼んでいる。科学ジャーナリストの松永和紀さんが、この発表を報じた『NBC News』の記事をシェアし、「この注意、日本では指摘されることが少ないけれど、とても大事」と指摘。
8月20日に投稿されたこのツイートは現在、約1万9000件のリツイートを記録し、「肉めちゃくちゃ洗ってた」「知らなかった!」「肉洗う人なんているの?」「キッチンスタジオで洗うよう習ったのに」などの意見が寄せられている。
いつも食べる鶏肉だからこそ、その調理方法には十二分に注意してもらいたい。