文:山田山太
近年、インターネット上での買い物がますます主流になりつつある。注文した商品は早ければ当日に届くし、海外から取り寄せたとしても、2〜3週間もあれば大方は手に入る。
そんな中、神戸にある精肉店が発売するあるコロッケがとんでもない待ち時間だと、SNSで話題となっている。
コロッケが届く間に、2回の引っ越しと結婚
とあるTwitterユーザーが「2013年9月に注文したコロッケがもうすぐ届く!」と投稿。なんとこの方、6年もの間、コロッケを待ち続けているというのだ。その間に2回引っ越しを行い、さらには結婚もしたという。
「これはただのコロッケではなく人生」としめたこの投稿は1万4000リツイートを記録。「もはやタイムカプセル」「牛から育てているのだろうか」と驚きの声が寄せられている。
厳選した神戸牛を贅沢に使ったコロッケ
そのコロッケとは、神戸ビーフコロッケ「極み」だ。地元で採れたレッドアンデスという品種のじゃがいもを約60日間熟成させ、そこにサイコロ状にカットした神戸牛を贅沢に混ぜ込んでいる。しかもここで使われている肉はA5等級、3歳の雌の神戸牛のみという徹底した品質管理ぶりだ。毎日作りたてを急速冷凍し、発送している。価格は5個入りで2700円。
このコロッケを販売しているのは、神戸に拠点を置く旭屋。大正15年創業で、市内に2店舗を構える老舗精肉店だ。
リピーター続出で現在12年待ち
同店店主がネットショッピングでお客さんの印象に残るような商品を考案した結果、神戸牛を贅沢に使用したコロッケに辿り着いた。コストの都合上、当初は1週間に200個までと販売を制限していたが、あまりの人気ぶりに1日200個に数を増やした。しかし購入者のほとんどがリピートで購入するという驚異の人気ぶり。気付くと待ち時間が10年以上になってしまったとのこと。
2016年に13年〜14年待ちとなり、これ以上お客さんを待たせるわけには行かないと、販売を中止していたが、いくらでも待つと再開を求める声が多く寄せられ、再び販売を開始した。神戸牛の価格の高騰に合わせて、価格を変更したものの、コロッケに人気は衰えることはなく、現在は12年待ちだ。
筆者も注文してみたが、出荷は2031年3月だ。東京オリンピック・パラリンピックも、大阪万博も終わった後の世界。自分がどんな生活をしているのか想像もつかないが、この先12年間、コロッケとともに人生を歩むことになると思うと、何かこみ上げてくるものがある。