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文:岩見旦
街中で目の不自由な人が、白杖を頭上に高く掲げていたら、これは何のサインか知っているだろうか?
まだ日本全国に定着していないこのサインの意味を、ぜひこの機会に覚えてもらいたい。
「覚えておきます」SNSで大きな反響
駅周辺で白杖を掲げている視覚障害者に遭遇したあるTwitterユーザー。このサインが「困っています」の合図であることを知っていたため、駅まで誘導してあげたという。駅周辺の放置自転車が点字プレートで塞がれ、立ち往生していたようだ。
8月5日に投稿されたこのツイートは、瞬く間に拡散され、現在約17万件のリツイートを記録。「私も見たら協力します」「覚えておきます」「CMなどで周知させるべき」など、このサインの意味を知らなかった人からのコメントが多数寄せられた。
知ってほしい「白杖SOSシグナル」
この白杖を頭上50cm程度に掲げるポーズは、目の不自由な人が助けを求めているというサインで、「白杖SOSシグナル」と呼ばれている。福岡県盲人協会が40年も前に提唱し、現在はこのサインの普及啓発シンボルマークが内閣府のホームページにも記載されている。
「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク
もし街中で白杖を掲げている人に突然遭遇しても、どのように手助けしていいか分からないだろう。そこで、岐阜市のホームページに記載されているサポート方法を紹介する。
まずは、正面から「どうなさいましたか」などと声を掛け、困っている内容を訊く。そして、自分の肩や肘などに手を持ってもらい、ゆっくりと誘導。白杖を持つ手に触れないように注意してもらいたい。
一方、この「白杖SOSシグナル」に反対意見が挙がっているのもまた事実だ。このサインは目の不自由な方の間ですらまだ浸透しておらず、単にこのサインの意味だけが普及してしまうと、「掲げていない人には気を配らなくてよい」と捉えられかねないという危惧からだ。
また、SNS上には「地面から杖を離すのが怖い」「接触など含めて危険」などの懸念点が当事者から挙げられた。
もし目の不自由な人が困っているところを見かけたら、白杖を掲げていてもいなくても、声掛けをしてもらいたい。