文:赤井大祐
CDは株券ではないが、エンブレムは株券にもなる?
株式会社Enter Tech Labは、アーティストとファンとの間で直接的かつ継続的なアーティスト支援を可能としたWEBサービス「CHACCA(チャッカ)」を2019年7月にリリースした。登録アーティストは「エンブレム」と呼ばれる独自のトークン(会員権)を発行し、ファンはアーティストからエンブレムを購入することで活動を直接支援することができる。
エンブレムは初回のみ1枚100円・1000枚限定で発行され、完売すると若干価格を上げて2回目の販売が開始される。上限は1万枚。購入者はその枚数に応じてライブチケットの先行販売や握手権、ライブ後の打ち上げ参加権、オリジナルビデオメッセージなどの特典、優待を受けることができる。
また、購入したエンブレムはファンの間で売買する機能も実装予定であり、購入時との価格差によって利益を上げることもできる。さらにその売買で生じた利益の一定割合がアーティストに還元されるため、直接購入、ファン間での売買とどちらの場面でもアーティスト支援につながる。
すでにハニカム.トーキョー、Hermann H. & The Pacemakers、小南千明といったアーティストが登録しており、エンブレムが購入できる。従来のクラウドファンディングやギフティングではどうしてもプロジェクト単位の単発的な取り組みになってしまい継続的な支援につながりづらかったが、CHACCAではエンブレムが優待や特典などの権利を得るためのチケットとしても機能するため、ファンはその都度エンブレムを購入する(あるいは初期段階で多めに買う)必要があり、これが継続的なアーティスト支援につながるというわけだ。
サービスを運営するEnter Tech Labは経営メンバー全員が音楽活動や音楽業界での仕事に携わっており、音楽業界において既存のビジネスモデルが機能しづらくなっている中で、アーティストとファンの継続的な関係を構築するための新たなエコシステムの創出を目指している。8月からは新人アーティスト発掘のためのオーディションも開催する予定で、2022年までに同サービスを活用するアーティストを1000組にまで広げることを目標にしている。