文:岩見旦
アメリカの人気公開オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に、カリフォルニア州出身の22歳の男性が出場。驚異のパフォーマンスで、全米を感動の渦に巻き込んだ。
ゴールデン・ブザーを獲得した予想外のパフォーマンス
杖を持ったコーディ・リーさんは、母親のティナさんに付き添われて、ステージに登場。「ピアノで歌を皆さんに届けに来ました」と独特の話し方をするコーディさん。実は自閉症を患っており、しかも盲目なのだ。
コーディさんが幼少期から音楽を愛していたと説明したティナさんは、「彼は音楽に耳を傾けると、目を大きくし、歌い出しました」と語った。そして、「私は彼がエンターテイナーだと気付きました。音楽とパフォーマンスを通して、彼はこの世界で生きていくことに耐えてきました。なぜなら、彼は自閉症で他の人がすることが難しいからです。音楽に彼の人生は救われました」と明かした。
この直後、誰もがその言葉の意味を知ることになる。
ピアノの前に座ったコーディさんは、ダニー・ハサウェイの「A Song for You」を演奏。それまでの振る舞いからは想像が出来ないほど、ソウルフルで力強い歌声を響かせ、観客を魅了。審査員のジュリアン・ハフさんの頬には涙をつたった。
パフォーマンスが終わると、会場はスタンディングオベーションで、コーディさんを包んだ。審査員のサイモン・コーウェルさんは「驚くべきことが起きました」と話し、「私はこの瞬間を生涯忘れることはないでしょう」と褒め称えた。
そして、審査員のガブリエル・ユニオンさんはシーズン中に一度しか使うことの出来ない「ゴールデン・ブザー」を押し、コーディさんはライブショーとなる準々決勝のステージに進出することが決定した。
世界に25人しかいない才能
SNS上では、コーディさんのパフォーマンスに心を揺り動かされた人からのコメントが殺到。人気司会者のオプラ・ウィンフリーさんも、立ち上がって称賛したとツイートした。
コーディさんの公式サイトによると、コーディさんは音楽の分野で優れた才能を持つサヴァン症候群で、その才能の持ち主は世界でわずか25人しかいないとのこと。コーディさんの活躍は、世界中の自閉症の人たちを勇気づけたに違いない。