文:coolpolaris
フライドポテトだけを挟んだハンバーガーの販売開始や、2軒隣の閉店するマクドナルドに対する縦読みメッセージなどで、世間を賑わせるバーガーキング。
今度はカビにまみれたワッパーの広告で注目を集めている。
ワッパーにカビが生える衝撃的な45秒間
米国バーガーキングは19日、同社のハンバーガー「ワッパー」が34日間かけてゆっくりと腐っていく様子を、45秒間の早回し映像にまとめたCMを発表した。緑色のカビが徐々にワッパーを侵食していく様子がアップで捉えられており、同社の看板商品がグロテスクな姿に変化しているのが分かる。
BGMは、アメリカを代表するソウルシンガーのダイナ・ワシントン「What a Difference A Day Makes」。「1日で何が変わるのか」という楽曲を選ぶところも、バーガーキングらしい。
人工保存料など添加物を使っていない証明
なぜバーガーキングは、消費者の不快感や反感を買いそうなCMを発表したのだろうか? それはCMのラストにヒントが隠されている。
このCMは「人工保存料を使用していないことの美しさ」というメッセージで締めくくられている。リアルな食品劣化を見せることで、人工保存料などの添加物を使用していないことを訴えたのだ。
同社ではすでにフランス、スウェーデン、スペインなどのヨーロッパ数カ国とアメリカの約400店舗で、添加物を取り除いたワッパーを提供している。さらに年内には、すべての店舗で取り組む予定だ。
近年伸びる自然食品、有機食品の需要
自然食品や有機食品の需要は、ますます伸びている。自然食品スーパー大手ホールフーズから委託を受けた英国の調査会社ユーガブは昨年9月に、ミレニアル世代とその親世代の半数以上が、5年前に比べてオーガニック商品を多く購入していると発表した。また、2018年のニールセンの調査では、若い世代は少し高くても、自然で環境に優しい成分で作られたものを買うと報告している。こうした流れを受け、カビだらけのワッパーをあえて見せることで、安全性と誠意を伝えたのだ。
バーガーキングを含む米国三大ハンバーガーチェーンのうち、マクドナルドは2018年に、7つのハンバーガーで着色料、香料、保存料を使用しないと発表している。ウェンディーズは『CNN』がコメントを求めたが回答していない。健康的で有機的な食材の利用に業界全体がシフトしていく中で、今後も各社の動向に注目したい。