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文:手塚大輔
あなたは、SNSなどネット上で知り合った人をどこまで信用しているだろうか。いくら仲良くなっても個人情報を伝えるのは躊躇するだろう。
そんな中、8000キロも離れたところにいるネット上の知人が、命の危機から救ったという話題が注目を集めている。
オンラインゲーム相手が突然発作
今年1月2日、英国ウィドネスに住むエイダン・ジャクソン君(17歳)は自宅の2階でオンラインゲームをしていた。ゲームの最中、ボイスチャット機能を使って、米国テキサスに住むディア・ラソラさん(20歳)と会話をしていると、突然ジャクソン君との話が止まった。
ラソラさんはその時の気持ちを、後の『Liverpool Echo』の取材で「ヘッドセットからは発作としか思えない音が聞こえてきました。私は不安になり、彼に大丈夫か尋ねました」と述べた。
ラソラさんの予想通り、ジャクソン君は部屋の中で一人発作を起こしていたのだ。ラソラさんはすぐにジャクソン君が住んでいる地域の緊急用電話番号を調べ、警察へ通報し、ジャクソン君の自宅の住所を伝えた。
警察の到着まで両親はまったく気付かず
ジャクソン君が発作を起こしているその最中、両親は自宅の1階でテレビを見ており、ジャクソン君の様態にはまったく気付いていなかった。外でパトカーのランプが点滅しているのを見て、「近くに何かの用事があるパトカーが来たのだろう」程度に思っていたとのこと。
両親がジャクソン君の様態の変化に気づいたのは、警察が自宅に到着した時。誰も警察に通報してもいないのに、警察が駆けつけたことに両親はびっくり。警察は「アメリカから通報が来た」と伝えたという。ジャクソン君の母親キャロラインさんは「ラソラさんに感謝しています。私たちが下の階にいたのに、何も出来なかったことに申し訳なく感じています」と述べた。ジャクソン君は2019年5月にも同じような発作を起こしたことがあったのだ。
現在、ラソラさんの通報の甲斐あってジャクソン君は順調に回復に向かっている。
8000キロも離れたアメリカからイギリスの少年の命を救ったこのニュースは瞬く間に世界を駆け巡った。世界中では「信じられない!」「ゲームをしている時は1人じゃない」「世界がとても小さく感じる!」などの大きな反響が寄せられた。
私たちがネット上の人間を信じるか否かについて重要な問いを投げかけているようにも思える。