文:武者良太
How-To Geek's Best of CES 2020 awardsの「ベスト・コンピューターアクセサリー」を受賞
HHKBはプログラマー、ライター、エディターそしてさまざまな分野の研究者から長らく愛されてきたプロダクトだ。
毎年年初にアメリカ・ラスベガスで開催されるCESは、世界最大級のテクノロジー系見本市だ。今年も1月7日〜10日の期間中、世界各国から様々なプロダクトや試作品が集った。ソニーは自動運転車両「VISION-S」を展示し、大豆由来の成分で作られたインポッシブル・ポーク(Impossible Foods)も大いに話題となった。
それら数多くのプロダクトの中から、世界最大級のテクノロジーWEBマガジンHow-To Geekが独自の目線で選出した"Best of CES 2020 awards"の中で、「ベスト・コンピューターアクセサリー」を受賞したのがHHKBこと「Happy Hacking keyboard」だ。
HHKBという略称がそのまま愛称となったHappy Hacking keyboardは、東京大学名誉教授の和田英一氏とPFU研究所との共同研究によって生まれたハイエンドキーボード。薄く弧を描くキートップのカーブが指先に沿い、キーボードと指、すなわちPCと脳が一体化するような快適感を生むシリンドリカルステップ構造を持った初代モデルが1996年に誕生して以来、日夜キーボードを叩き続ける職種のユーザーから高い評価を受けている。
最新モデルはトップモデルの「HHKB Professional HYBRID Type-S」、ミドルモデルの「HHKB Professional HYBRID」、そしてエントリーモデルの「HHKB Professional Classic」。それぞれに英語配列・日本語配列・無刻印などのバリエーションを持ち、全16種のラインナップとなっている。
「HHKB Professional HYBRID Type-S」と「HHKB Professional HYBRID」はキーマップ変更機能、マルチペアリング機能などを持ち、Bluetooth接続に加えUSB Type-Cによる有線接続もサポートしたモデル。さらに「HHKB Professional HYBRID Type-S」は静音かつ高速打鍵時の快適性を求めたキーチューニングがほどこされている。「HHKB Professional Classic」はUSB Type-Cのみの接続に対応。シンプルな設計となっている。
いずれもキースイッチに静電容量無接点方式を採用。物理的な接点がないために耐久性に優れており、深く滑らかなキーストロークは自然なタイプを可能としている。長時間キーを打ち続けると、これが効く。個人的にも歴代モデルを使い続け、現行モデルの試用版も試したが、他の方式・形状のキーボードと比較して明らかに疲れにくく、肩こりも緩和される。
フルサイズキーボードだがファンクションキーなどを排除(英語配列版はカーソルキーすらない!)したことで、A4ハーフ強のコンパクトサイズを実現。バッグに入れて持ち歩くプログラマーも少なくない"プロの道具"だ。
本質は20年以上も変わらず、変化は最小限にとどめたある意味レガシーな存在。そんなHappy Hacking keyboardがBest of CES 2020 awardsに選ばれたというのはなかなか感慨深い。イノベーティブも、トラディショナルも大事だということをHow-To Geekは深く理解しているのだろう。