文:岩見旦
クリスマスシーズンに家族でショッピングモールに行って、行列に並び、サンタクロースに会う。泣きじゃくって喜ぶ子どもとサンタクロースで記念写真を撮影。買い物客でごった返すショッピングモールで見られる、アメリカのクリスマスの伝統行事だ。
しかし、明るくにぎやかな環境と真逆の空間で、子どもたちがサンタクロースに会える企画が今、全米のショッピングモールで行われている。なぜこのような企画が行われているのだろうか。
トレーニングを積んだサンタクロース
全米のショッピングモールで今、静かで落ち着いた環境でサンタクロースに会うことが出来るイベント「サンタ・ケアーズ」が実施中だ。大きな光や強い音が苦手である自閉症の子どもたちのため、早朝のショッピングモールで行っている。
イベント会場は音楽が静かで、照明もやや抑えめ。サンタクロースもそのような子どもたちに対するトレーニングを積んでおり、イスの後ろに立ったり、床に寝そべったりして、子どもたちが快適に過ごせるようにするという。親も安心して、子どもを楽しませることが出来るだろう。
この「サンタ・ケアーズ」を企画したのは自閉症の啓蒙活動を行う非営利団体「Autism Speaks」。サンタクロースとの記念撮影イベントサービスなどを提供するCherry Hill Programsと協力して行っている。
約8066万円以上の寄付が集まる
Autism Speaksのヴァレリー・パラディス氏は「私たちの目標は自閉症の人のための包括的な世界を作ることです。このイベントは家族が安心し、理解され、受け入れられるようにするため、有意義な影響を与えます」と『CBS NEWS』に語った。「私たちはCherry Hill Programsと再び一緒にこうした自閉症に配慮したイベントを行えることを嬉しく思います」とも。
今年はアメリカとカナダの582のショッピングモールで、747件の「サンタ・ケアーズ」を開催するという。Autism Speaksは「サンタ・ケアーズ」と同様のイベントを、イースターでも「バニー・ケアーズ」として行って、この2つのイベントは2015年以降、73万3318ドル(約8066万円)以上の寄付を集めている。
クリスマスの恩恵は、あらゆる子どもたちに送られるべきだ。そこに自閉症であるか、いなかは関係ない。「サンタ・ケアーズ」に集まった子どもたちの笑顔が、それを証明しているだろう。