文:宮西瀬名
五体満足であることを当たり前と思い、何気なく日常生活を送っている人は多いが、実はその当たり前は非常に尊いものだ。
色覚異常の少年が初めて「色」に触れる動画が、そのことを教えてくれた。
初めて「色」に触れた少年の動画が2万8000リツイート
米国ミネソタ州に住む12歳の男の子のジョナサン・ジョーンズ君は、生まれつき色に対する感覚が正常と異なる「色覚異常」だった。偶然にもジョナサン君の通うレイクビュー・パブリック・スクールのスコット・ハンソン校長も色覚異常で、普段は色覚補助眼鏡をかけて生活していた。
このことに気付いた同校のジョーン・フォーリー先生はあるアイデアを思いつく。それはハンソン校長の色覚補助眼鏡をジョナサン君にかけさせてあげるというもの。
色覚異常に関する科学の授業中、ハンソン校長から色覚補助眼鏡を手渡されたジョナサン君は自分の眼鏡を外し、恐る恐るその眼鏡をかけてみた。すると、初めて目にする「色」のついた世界に驚いたように周囲を見渡し、まもなくジョナサン君の目から涙が溢れ出した。そしてハンソン校長とハグを交わし、感動を共有した。
ハンソン校長は生徒たちに向かって、世界の美しさについて語り、「私たちは感謝しなければならない」と述べた。ジョナサンくんのリアクションを見て、かつて自分が色覚補助眼鏡を初めてつけた時のことを思い出したのかもしれない。
ジョナサン君の兄のベンさんは11月24日、この感動的な映像をTwitterに投稿。すると、瞬く間に拡散され、2万8000件のリツイート、13万8000件の「いいね」を獲得し、大きな反響を集めている。
ベンさんは「彼は感情的になるのは好きではないですが、あまりに圧倒されて自分を保つことが出来ませんでした」「彼は宇宙で最もかわいい子です」と『FOX 11 Los Angeles』の取材に語った。
寄付金が3万ドル集まる
ベンさんのツイートは大きな反響を呼び、ジョナサン君の家族の元にサポートの声が多く寄せられた。これを受けてジョナサン君の家族は、クラウドファンディングサイト『GoFundFun』でジョナサンくんや色覚補助眼鏡を必要としている人を支援するためのプロジェクトを立ち上げた。現在約3万ドル(約330万円)の寄付が集まっており、目標達成額の350ドルを大きく上回っている。ジョナサン君のお母さんは「会ったこともない我が子に優しい手を差し伸べてくれる人が、多くいることにとても驚いています。みなさんの愛情や思いやりに感謝します」と綴った。
この寄付金が色覚異常の人たちの生活を、文字通り彩り豊かにすることを願っている。