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文:岩見旦
都内に住む35歳男性の始めたサービス「レンタルなんもしない人」が注目を集めている。2018年6月にこのサービスの開始をTwitterに告知したところ、瞬く間に拡散され、現在フォロワーは12万人以上。
行列に並ぶ、ただ話を聞く、絵画のモデルになるといった「なんもしない」依頼が殺到しているという。そんなレンタルなんもしない人の体験したあるエピソードが、大きな議論を呼んでいる。
「ポケモンGO」をプレイする女性が同行依頼
レンタルなんもしない人の元に、女性から「ポケモンGO」に同行してほしいという依頼のリピートが入った。「ポケモンGO」とは、実際に街に現れるポケモンを捕獲するARを駆使したスマホゲームで、基本的に一人で遊ぶ。なぜ女性は同行を依頼したのだろうか。
実は、女性1人で「ポケモンGO」をプレイしていると、他の男性から「協力しましょうか」「フレンドになりませんか」など、ナンパ目的で声をかけられまくるという。そう、女性はナンパ避けのためにレンタルなんもしない人に依頼したのだ。
その結果、同行中は一度も男性から話しかけられることがなく、レンタルの効果があった模様。依頼女性も目当てのポケモンをゲットすることに成功し、満足だった様子。
しかし、この依頼女性がレンタルなんもしない人を利用したことをTwitter上に投稿すると、案の定「よかったら僕も同行しますよ」とのダイレクトメッセージが大量に届いたという。
このことが明かされると、同じく過去にこのサービスを利用したことがある女性が同様の迷惑行為を受けたと告白。さらに、急遽予定がなくなったとツイートしただけで知らない男性からランチに誘われたなど、ネット上のハラスメント被害の体験談も寄せられた。
「確かに女性の生きづらさについての自分の認識は甘かった、想像以上だというのが最近思うところです」とレンタルなんもしない人。
ストリートハラスメント、女性の70%が経験
性暴力やセクシュアル・ハラスメントなどを社会からなくすことを目的とする「#WeToo Japan」が、今年1月にハラスメント被害の実態について調べた調査結果を公表した。
関東圏に暮らす男女約1万2000人を対象に実施したこの調査によると、女性の70%が電車やバス、道路などの公共空間で、何らかのハラスメント被害を経験。「自分の体を触られた」「体を押し付けられた」と答えた女性はそれぞれ47.9%、41.9%に上った。また、痴漢被害に遭った際、「我慢した」と約半数が答えた。
ネット上でもリアルの場でも、普通に生活しているだけで、ハラスメント被害を受けている女性たち。男性が想像する以上に、生きづらい日々を送っているようだ。