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文:岩見旦
多くのソーシャルゲームに実装されている「ガチャ」。課金することでランダムでアイテムをゲットすることができるこのシステムは高い人気を誇っている。
しかし、この「ガチャ」がアメリカでもうすぐ姿を消すことになるかもしれない。
「ガチャ」などの課金が禁止に
アメリカ上院議員のジョシュ・ホーリー氏が「The Protecting Children from Abusive Games Act(悪質なゲームから子どもを保護する法案)」を発表した。この法案は、18歳未満の子どもを対象にしたゲームにおいて、「ガチャ」やゲームを有利に進めることのできるアイテムを現金で購入できるシステム「Pay to Win」などの課金を禁止するというもの。『ワシントン・ポスト』によると、子ども向けゲームだけでなく、子どもがプレイする幅広い年齢向けのゲームも対象になるとのこと。
課金は多くのゲームにとってビジネスモデルの主流であり、人気ゲーム「フォートナイト」は昨年30億ドル以上(約3300億円以上)の利益を生み出したと報じられている。
しかし、こと「ガチャ」においては、プレイヤーが目当てのアイテムをゲットできればゲームで有利になることはもちろん、仲間内で称賛を受けることも多いため、射幸心を煽るギャンブルであると批判が挙がっていた。
問われるゲーム開発者の法的責任
ホーリー氏は自身のTwitterに「ゲーム会社は『Pay to Win』や『ガチャ』といったシステムを利用し、夢中になった子どもたちに親の金を使わせている。ゲーム業界は、アメリカで拡大する中毒経済における自らの役割について前向きに考える必要があり、子どもからの搾取を辞めるべきだ」と投稿した。
『Kotaku』によると、ホーリー氏は報道資料の中で、パズルゲーム「キャンディークラッシュ」を例に挙げ、基本無料で遊べるこのゲームに150ドル(約1万7000円)の課金アイテムが存在すると述べた。
「子ども向けのゲームで、ゲーム開発者は中毒から収益化するべきではない」とホーリー氏。「大人向けゲームを子どもがプレイする時も、強迫的な課金から保護する必要がある。子どもから搾取しているゲーム開発者は法的責任を問われるべきだ」とも。
世界で進む「ガチャ」規制の動き
ベルギー政府は先月、「ガチャ」はギャンブルに関する法律に違反すると発表。中国は、1日に利用できる「ガチャ」の数を制限するなど、「ガチャ」規制の動きは世界中で進みつつある。その一方、アメリカのゲームのロビイスト団体エンターテイメント・ソフトウェア・アソシエーションは、イギリスやドイツ、オーストラリアなどでは「ガチャ」はギャンブルに該当しないと判断したと主張した。
日本おいてはまだ「ガチャ」の法規制はないものの、エンタメビジネスに詳しい木曽崇氏のブログによると、欧米発の規制議論が日本政府側に非公式の形で持ち込まれているという。ゲーム産業の未来はどうなるのか、要注目だ。