文:岩見旦
平成も残すところ、あとわずか。
今から30年前、元号と同じ表記で一躍脚光を浴びた岐阜県関市にある平成(へなり)地区が、改元を目前に一風変わった「平成」グッズを販売した。
手作業で缶詰を製作
平成から令和へと元号が代わることを記念し、22日から販売が開始された商品は「平成の空気缶」。平成の空気を未来へ届け、いつまでも大切にしたいという想いから、平成地区で平成最後の空気を採取し、缶詰に詰め込んだ。
平成にまつわる商品を多数企画・開発してきた株式会社ヘソプロダクションが、平成時代への感謝を形に残すため、たどり着いたというこの商品。平成への改元を記念して造成された、日本平成村の「元号橋」にて、制作・販売している。
缶詰の中には、平成の空気の他、「令和」時代でも良いご縁があるよう祈りを込め「平成の五円玉」を密封した。日本平成村のスタッフと手作業で制作しており、当日完成した品を順次「道の駅 平成」に配送。出来たての缶詰を先行で販売した。また、27日から特設ECサイトなどで一般発売を開始する予定だ。
価格は1080円。なお手作業で製造しているため、およそ600個の数量限定販売になるとのこと。製造は4月で終了し、令和の空気は混入しない模様。
「令和になった瞬間…」爆笑した人が続出
よくよく考えてみれば、何も入っていないこの缶詰。メディアで取り上げられると、SNS上ではツッコミ合戦に発展。「この手があったか!」「商魂たくましい(笑)」「令和になった瞬間、缶詰の空気も令和の空気になると思うんですが……」など、思わず吹き出した人からのコメントが殺到した。
また「『人は思い出や体験にお金を払う』の良い例」「こういう無価値なものをアイデア一つで価値あるものにしていくのが、これからの時代」といったユニークな発想に着目した人からの意見も寄せられた。
ちなみに同社は2017年に「忖度(そんたく)まんじゅう」を企画販売し、大ヒットさせたことで知られる。稲本ミノル代表取締役は、その年の「新語・流行語大賞」の授賞式に登壇した。また、すでに「令和クリアファイル」「令和下敷き」「令和チョコバウム」などを新元号にまつわる商品を手がけている。
過熱する改元商戦はしばらく続きそうだ。