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文:岩見旦
大切な人との永遠の別れは、何にも代えがたいほど辛いものだ。涙が止まらなくなり、立ち上がる気力もなくなるだろう。誰もが直面するこの辛い経験を、どのように乗り越えればいいのだろうか。
あるお坊さんの説法が今、注目を集めている。
「家族を失った遺族が一番知りたいこととは?」お坊さんの説法が話題
『敏感性自滅ガール~吹奏楽部エッセイ~』などで知られる漫画家の大塚みちこさんは、祖母の三回忌に参加。お坊さんから、家族が亡くなったとき寂しさや喪失感を和らげる提案を聞いた大塚さんは、その経験をマンガにして公開した。
人が亡くなったとき、寂しさや喪失感に襲われるが、それが大切な親族ならば想いが深い分なおさらだ。お坊さんは、亡くなった人と関わってくれた家族以外の人たちの声を活用する方法を提案した。
人は誰でも家では家の顔があり、外では外の顔がある。残された遺族が一番知りたいことは、亡くなった人が外ではどんな人だったのかだとお坊さんは説く。葬儀に参列する人は、亡くなった人と関わりがあった人であり、そんな人たちと会える機会は滅多にないと語り、ノートを使った具体的なやり方を勧めた。
そのやり方とは、葬儀の際、受付にノートを置き、参列者に亡くなった人宛てに自由に書いてもらうというもの。残された遺族が参列者とゆっくり話したいと思っていても、実際の葬儀では忙しくて難しい。葬儀が終わってから、もっと話したかったと思う遺族が多いとのこと。
実際にノートを置いて実践した遺族は関わってくれた人たちの記憶から亡くなった人のいくつもの姿を教えてもらい、とても嬉しかったと感激していたという。ノートに書くことで形に残し、人との関わり合いを感じることで心が安らぐとお坊さん。
「もっと早く知りたかった」SNS上で心を揺さぶられる人、続出
3月30日に公開されたこの投稿は現在、2万3000リツイートを記録。「ぜひ真似させてほしい」「もっと早く知りたかった」「素敵なアイデア」「新しい発見もたくさんありそう」などの心を揺さぶられた人からのコメントが挙がった。
人は二度死ぬと言われている。一度目は肉体が生命を終えたとき、二度目は人の記憶から消えたときだ。ノートという形に残し繰り返し読まれることで、亡くなった人はずっと人の心の中で生き続けることが出来る。
遺族がノートを用意するのも良いが、忙しい葬儀で忘れてしまう可能性があるので、参列者側でノートを用意して、遺族にプレゼントするのもいいかもしれない。