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文:岩見旦
現在、ほとんどの企業が採用している週休2日制。平日は残業でヘトヘトになるまで働き、休日はその疲れを癒やすだけで精一杯という人も多いのではないだろうか。
しかし、近年は国を挙げて働き方革命を打ち出しており、企業側も多様な働き方を推進。1週間で4日働き3日休む「週休3日制」が話題に上ることも増えてきた。
そんな中、ニュージーランドの企業が、週休3日制を試験運用したところ、ポジティブな効果が得られたというレポートが注目を集めている。
ニュージーランドの企業が給与そのままで週休3日制を導入
週休3日制を試験導入したのは、ニュージーランドで金融サービスを手がけ、遺言信託などを請け負う「パーペチュアル・ガーディアン」社。従業員240人を対象に、2018年3月から8週間にわたり実施した。1週間の労働時間を37.5時間から30時間に短縮し、その間給与は維持した。
オークランド大学、オークランド工科大学の協力を得て実施された調査結果によると、社員のリーダーシップ・責任感・興奮度・自由度がいずれも2017年の同調査と比較して上昇。いずれも約20%アップし生産性が上がったため、総作業量は変わらなかった。
また社員のストレスレベルは45%から38%と7%減少し、ワークライブバランスに関するスコアは54%から78%に増加した。
同社の創業者であるアンドリュー・バーンズ氏は、新しい働き方をテストすることを「正しい方法だ」と語り、「私たちは人々がオフィスにいる時だけでなく、自宅にいる時も最高の状態であることを望んでいる。それは自然な解決策だ」と述べている。
日本における週休3日制は課題あり
日本においても週休3日制を導入する企業が増加している。厚生労働省が公開している「平成30年就労条件総合調査」によると、完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度を採用している企業は、全体の6.9%に上る。日本において週休3日制を導入している企業は、次の2つのタイプに分けることができる。
佐川急便、ファーストリテイリング、アルペン、トットメイトなどは1日の所定労働時間を2時間増やし、10時間勤務を週4日勤務する。1週間の労働時間は40時間と、週休2日制と労働時間は変わらない。
一方、日本KFCホールディングス、ヤフー、日本IBMなどは、1日の所定労働時間が8時間で、勤務日数は週4日以下。しかし、週の労働時間が減るため、それに伴い給料も減少する。
本来、企業が社員に求めているのは、労働時間ではなく成果のはずである。しかし、日本のケースの場合、労働時間当たりの給料が変わらないので、上記のニュージーランド企業のようにモチベーションが上がらず、結局のところ生産性も向上しづらいのではないだろうか。
まだまだ課題の残る日本の週休3日制。企業にとっても従業員にとっても、双方にメリットのあるベストな働き方を考えていく必要がある。