文:岩見旦
『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』などの作品で知られるジブリ映画。今なお多くの人から支持を集めている。人気のジブリ映画のモデルとなった場所は、格好のインスタ映えスポットであり、多くの観光客を集める。
しかし今、あるジブリ映画のモデルとされる場所である問題が起こっている。
『千と千尋の神隠し』の舞台と名指しされた船舶修理の作業場
そのジブリ映画とは、日本歴代興行収入1位にして、アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』。千尋がハクを救うため、カオナシとともに海面を走る電車に乗り込むシーンは本作の見どころのひとつだ。
そのシーンのモデルとなった場所は、愛媛県伊予市の下灘駅から近くの船舶修理の作業場という情報が最近ネット上に流れた。確かに下灘駅は、降りると目の前に美しい海が広がる絶景スポットだ。
下灘駅
しかし実際はその場所は『千と千尋の神隠し』の元となった場所ではない。この情報は完全なデマだ。
ところが、問題はそれだけで収まらなかった。モデルの場所と名指しされた船舶修理の作業場は私有地であり、毎日大量の観光客が無断で押し入り、所有者が迷惑を被っていたのだ。所有者はその悲痛な胸の内を、自身のFacebookに訴えた。
しかも押し寄せた観光客はゴミのポイ捨てをしたり、船を巻き上げて修理する船台の上に乗るなどの迷惑行為を繰り返し、さらには注意をすると逆ギレをすることもあるという。所有者の家族は精神的に追い詰められていると投稿した。
知らなかったでは許されない! 注意喚起に14万リツイート
Twitterユーザーのクロサチさんは、所有者の訴えをFacebookで目撃。より多くの人へ周知するため、所有者から転載の許可を得て、Twitterに投稿した。
3月8日に投稿したこのツイートは、瞬く間に拡散。現在14万リツイートを突破し、「所有者がかわいそう」「常識がない」「入場料って書いたほうが抑止力あるのでは」などの怒りのコメントが寄せられた。このデマは情報サイトにも取り上げられており、中には私有地と知らずに侵入した人もいた様子。
言うまでもなく、不法侵入は犯罪だ。知らなかったでは済まされない。たかだかSNSに投稿するために罪を犯すことにならないよう、デマにはくれぐれも注意してもらいたい。