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文:岩見旦
現在、全世界のインターネットの普及率は56.1%。実に43億5000万人がインターネットを利用している。逆説的には34億人が未だにインターネットを利用できない環境に置かれている。
しかし、もうすぐ世界中の人がインターネットを使えるようになるかもしれない。
地球上の95%が住むエリアを網羅
Amazonは地球の低軌道に3000基以上もの人工衛星を打ち上げ、地球全体にブロードバンドを提供する計画「Project Kuiper(プロジェクト・カイパー)」を明らかにした。この計画を見つけたGeekWireの取材により、Amazonが公式に認めた。
Amazonの子会社である「Kuiper Systems LLC」が、世界の通信衛星運用を監督する国際電気通信連合(ITU)へ大掛かりな人工衛星の打ち上げ計画を申請し、承認された。
この申請書類によると、高度590kmに784基、高度610kmに1296基、高度630kmに1156基の合計3236基の人工衛星を打ち上げる予定。人工衛星は北緯56度から南緯56度までをカバーするように設置され、地球上の95%が住むエリアを網羅するとのこと。
Amazonの広報担当社によると、世界中のインターネット環境がない、十分でない世界中の人たちに低遅延・高速のブロードバンドを提供するという。このプロジェクトは長期的になる予定であり、今後ビジョンを共にするさまざまな企業が参加するとのこと。
また、Amazonは人工衛星を自社で製造するのか、それとも第三者が開発するのかはまだ明らかにしていない。AmazonのCEOジェフ・ベゾス氏の設立した航空宇宙企業「Blue Origin」と打ち上げ契約を締結するかに関しては「あらゆる選択肢を検討している」とAmazon広報担当者。
宇宙ネット回線戦国時代に突入
宇宙ネット回線の取り組みはAmazon以外でも行われており、現在熾烈な競争が繰り広げられている。
イーロン・マスク氏の手がけるSpaceXは、「Starlink」というプロジェクトが進行中。昨年プロトタイプの人工衛星を2つ打ち上げた。最終的には1万2000基の人工衛星を扱う予定だ。
ソフトバンクが最大の出資先であるOneWebでは、今年の2月に6基の人工衛星を打ち上げ、最終的に900基の人工衛星を軌道に乗せる予定。さらに、Facebookも宇宙ネット回線に参戦する予定だ。
宇宙ネット回線戦国時代、果たしてどこが覇権を握るのだろうか。目が離せない。