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事前に公表されていたイベントのシンボルが、さまざまなデザイン処理を加えたAppleのロゴマークだったことから、クリエイティブ分野に力を入れた製品が発表されることが期待された「Apple Special Event」。予想通り、そのメインメニューはクリエイターが待ち望んでいた製品、フルスクリーンのボディにパワフルなA12X Bionicチップを搭載して、フルスペックのPhotoshopが軽快に動作する「新型iPad Pro」だった。
伊藤僑
Free-lance Writer / Editor
IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。
多くのノートPCを凌駕する性能を誇る「新型iPad Pro」
ここ数年、Appleが発表する新製品の多くは、ほぼ予想通りのデザインやスペックで登場していた。秘密主義で有名だったAppleも、サプライチェーンに関わる人が多くなりすぎて、製品情報のリークを防ぐことは困難になったのだろう。そう思っていたら、今回のイベントで発表された新製品の数々は、いい意味で予想を裏切るものばかり。久しぶりに、Appleの新製品発表イベントらしい、ワクワクするような興奮を味わうことができた。
予想を超えた魅力を備える新型「MacBook Air」、新型「Mac mini」の発表で、最高潮に盛り上がったイベント会場には、再びティム・クック氏が登場。世界中に展開されるすべてのApple Storeが、100%再生可能エネルギーで運営されていること、ショップ内で開催される、クリエイティブ関連からビジネス分野まで多岐にわたるセッションが好評で、さらに拡充していくことなどが発表された。
そして、いよいよ本イベントのハイライトともいえるiPadの話題へ。iPadの販売台数は4億台に達しており、他社のノートPCと比較すると圧倒的ともいえる成功を収めているという。ここで注目すべきは、比較対象が他社のタブレットではなく、ノートPCだということだ。
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AppleはiPadをノートPCと競合できる製品と位置づけており、今回の「新型iPad Pro」の発表においては、もはやノートPCを凌駕するレベルに達していることを強調していた。
ホームボタンを廃し、ベゼルを狭くしてデザインを刷新
発表された「新型iPad Pro」は、なにもかもが新しくなっていた。
まず、デザイン面では、新世代のiPhone同様にホームボタンを廃したことによって、画面がボディ表面のすべてを占めるフルスクリーンを実現。顔認証用のFace IDを新搭載したにもかかわらず、iPhone Xのようなノッチはなく、ベゼル(枠)の中に格納されている。
ベゼルが狭くなり、ホームボタンが無くなったことで、旧10.5インチモデル(250.6×174.1mm)とほぼ同じサイズのボディ(247.6×178.5mm)ながら、新モデルは画面が11インチに拡大。解像度も2224×1668ピクセルから2388×1668ピクセルに増加している。12.9インチモデルの場合には、画面解像度は新旧ともに2732×2048ピクセルとそのままだが、ボディサイズを305.7×220.6mm(旧)から280.6×214.9mmへと若干コンパクトに。
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長らく親しまれてきた側面の曲線的なデザインにも手が加えられ、iPhone SEや5sを思わせる直線的なデザインを採用。厚みも前世代モデルの6.9mmから5.9mm(12.9インチモデル)へとさらに薄くなった。だが、バッテリーの持続時間はネット(Wi-Fi)利用時で10時間と旧モデルと変わりない。
フルスペックのPhotoshop CCも軽快に動作する
性能面では、最先端の7nmプロセスで製造されたA12X Bionicチップセットを搭載。10億トランジスタ/7コアGPU/8コアCPUがもたらす性能は驚異的で、世界で販売される全ポータブルPCの92%よりも高速という。iPad Proは、もはやPCを補完するサブ機ではなく、iPad ProだけでノートPCに求められるすべての処理をこなせるようになったようだ。もちろん、マルチタスク画面やSplit View表示もストレス無く利用することができる。
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すごい「新型iPad Pro」が登場するのではないかという予感は、10月15日〜17日に米国ロサンゼルスで開催されたクリエイティブ・カンファレンス「Adobe MAX 2018」の基調講演を観ていた時からあった。
同イベントには、Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏が登場し、AppleとAdobeが協調して4年間にわたり進めてきたプロジェクトが紹介された。その成果が、iPadに最適化されたフルスペックの「Photoshop CC(2019年発売)」や、AR(拡張現実)オーサリングツールProject Aeroとなって結実しているのだ。しかも、iPadにしかできない、優れた操作性が生かされている点も特筆に値する。
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高度な処理能力を必要とするPhotoshop CCのようなプロフェッショナル用アプリや、「NBA 2K19」のように、リアルな表現で実際の試合を体験しているかのような臨場感を味わえるゲームを、場所を選ぶことなくiPad Proで利用することができるようになる日も近い。
USB-Cの採用で拡張性が向上。Apple Pencilも第2世代に
新型iPad Proでは「USB-C」の採用によって拡張性も向上。ノートPCのように大画面の外部ディスプレイを利用することも可能になった。
パソコンやスマホの多くがUSB-Cを採用していることからも分かるように、USB-Cはこれからの接続ポートのスタンダードになっていくことだろう。AppleもMacBookシリーズなどではすでに採用しており、カードリーダーやバッテリーパックなどの外部接続機器もUSB-Cの採用が進んでいる。新型iPad Proで利用可能な外部接続機器は、今後ますます増えていくことが予想される。
新型iPad Pro用に、Smart KeyboardやApple Pencilも刷新されている。
第2世代となったApple Pencilは、iPad Proの側面に磁力で取り付けることができ、充電は取り付けるだけで開始される。また、新しい操作法として、Apple Pencilを持ったままダブルタップするだけでツールを切り替えることが可能になっている。
新しい「Smart Keyboard Folio」は、必要に応じて装着できるフルサイズのキーボードとしての役割に加え、iPad Proの前面と背面を保護する耐久性に優れた軽量のカバーとしても機能する優れものだ。Macユーザーが慣れ親しんだショートカットも利用することができる。しかも、装着するだけで利用可能になり、スイッチやプラグ、ペアリングの必要もない。
ここ数カ月の間にMacBook Pro 15インチモデルやiPhone XS MAX、第4世代Apple Watchを買ってしまったのに、間を置かず、こんなに魅力的な新型iPad Proを出すなんて……。
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Apple Storeにおける新型iPad Proの価格(税別)は下記の通り。
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iPad Pro11インチモデル(Wi-Fi)64GB 8万9,800円 / 256GB 10万6,800円 / 512GB 12万8,800円 / 1TB 17万2,800円