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複数の新型ハードウェアが登場するのではないかと期待されていた「Apple Special Event」が、10月30日、ブルックリン音楽アカデミー ハワードギルマンオペラハウスで開催された。ニューヨークでの開催ということで、オープニングのビデオやBGMもニューヨークを意識したものだった。
イベントはAppleの最高経営責任者であるティム・クック氏のスピーチからスタート。伝統ある会場を紹介した後に、Appleがいかにクリエイティブ分野に注力してきたかについて熱く語られた。
伊藤僑
Free-lance Writer / Editor
IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。
「MacBook」ではなく、Retina「MacBook Air」が登場
Appleの最高経営責任者ティム・クック氏(Image by Apple)
ティム・クック氏が最初に紹介したハードウェアは「Mac」だった。
古くからの信者が多いといわれるMacだが、いまや世界のMacユーザーのうち51%が新規ユーザーなのだとか。現役で使用されているアクティブなMacが、ついに1億台の大台に達したことも報告された。Appleの製品ラインナップの中では、どうしてもiPhoneやiPadの陰に隠れがちだが、Mac人気は衰えてはいないようだ。
今回のイベントで発表されるとしたら、13インチに大型化された「MacBook」で、「MacBook Air」はラインナップから外れてしまうのではないか。ネット上には、そんな噂が出回っていたのだが、ふたを開けてみると、登場したのは新たにRetinaディスプレイを搭載した新型「MacBook Air」だったので驚かされた。
出る出る詐欺のように、かなり前から登場が噂されていたRetinaディスプレイ搭載のMacBook Airが、ついに登場したのだ。
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より薄く、軽くなったボディに最新の機能を満載
まったく新しい筐体となったMacBook Airは、象徴的なウェッジシェイプのボディデザインは継承しているものの、贅肉をそぎ落とした15.6mmの薄さと、わずか1.25kgの軽さを実現。素材には環境に優しい100%再生アルミニウムが採用された。ボディカラーは、ゴールド、シルバー、スペースグレイの3色から選ぶことができる。
縁の部分が従来より50%細くなったボディに納められた13.3インチのRetinaディスプレイは、HDディスプレイの4倍にあたる2560×1600ピクセル(227ppi)の高解像度を有し、一世代前のモデルより48%多い色を再現することが可能になった。
新型MacBook Airでは、セキュリティ対策面にも力が注がれており、安全性と使いやすさを両立させた指紋認証「Touch ID」を採用。Apple T2 Securityチップも新たに搭載されており、SSDに格納されたユーザーのデータもすべて自動的に暗号化される。
このほか入力面では、安定性と快適な使い心地を両立させたバタフライ構造のキーボードを採用。感圧タッチトラックパッドのサイズも20%拡大されている。
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パフォーマンス面における向上も目覚ましい。プロセッサには第8世代のIntel Core i5(1.6GHzデュアルコアプロセッサ。Turbo Boost使用時最大3.6GHz)を採用。最大16GBのメモリと最大1.5TBのSSDストレージも搭載可能だ。バッテリーは最大12時間持続できる50.3Whリチウムポリマーバッテリーを内蔵する。
外部入力端子には、超高速の帯域幅と極めて高い汎用性を併せ持つThunderbolt 3(USB-C)を採用。外部ディスプレイやストレージなども接続できる。
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新型MacBook Airの上位モデルが 15万6,800円(税別)なのに対し、iPhone XS Maxの上位モデルは16万4,800円(税別)。iPhoneの価格が年々上がり、ついにMacBookに追いついてしまったようだ。製品ジャンルこそ違うが価格は近いので、どちらを購入するかで悩む人が出てくるかもしれない。
MacBook Air 13インチ Retinaディスプレイ(11月7日発売)
スペック : 8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ / Intel UHD Graphics 617 / Touch ID / 感圧タッチトラックパッド / Thunderbolt 3ポート×2
旧モデルより5倍高速な新型「Mac mini」登場
Mac miniの一世代前のモデルが発売されたのは2014年10月。以来4年もの間、新モデルが出なかったため、Mac miniは製品ラインナップから姿を消してしまうのではないかと危惧する声も出ていた。
しかし、2017年4月にはAppleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏が「Mac miniは我々の製品ラインナップにおける重要な1つ」であると発言。同年10月には、ティム・クック氏も「Mac miniは将来的にみて重要なラインナップの1つ」と語ったことから、Macユーザーの間では、新型はいつ発売されるのだろうと期待が高まっていた。
そんな期待を背負い、満を持して発表された新型Mac miniは、これまでの「お手頃価格のMac」とはひと味違う、Proユースを念頭に置いた「小型だが拡張性の高いMac」として登場した。
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価格も廉価モデルが8万9,800円(税別)からと、Macの中ではまだ安価ではあるが、旧モデルより高めに設定されている。ただし、オプションを追加してフルスペックの構成にすると、価格は跳ね上がり46万3,800円(税別)となる。ディスプレイやキーボードを揃えることを考えると、55万8,800円(税別)のiMac Proとも競合する価格帯だ。
新型Mac mini(11月7日発売)の廉価版と最大構成を比較してみよう。
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新型Mac miniの大きな特徴となっているのが拡張性の高さだ。 Thunderbolt 3ポート×4、USB 3×2、HDMI 2.0、Ethernet、3.5mmヘッドフォンを備えており、ノートタイプのMacBook AirやMacBook Proとの大きな差別化要因になっている。
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外部ディスプレイとの接続にThunderbolt 3ポートを使用すれば、最大2台の4Kディスプレイ、または1台の5Kディスプレイを利用することが出来る。より高度なグラフィック性能が必要ならば、eGPUと組み合わせて使えばいい。
なお、新型Mac miniにも、次世代の高度なセキュリティを提供する Apple T2 Securityチップが搭載されている。
速報その2はこちら。