CULTURE | 2023/04/19

「数学好き」「運動好き」が見るべき現代アートも?森美術館20周年記念展が開催

文:FINDERS編集部
8つの教科の観点から現代アートを紐解く
森美術館の開館20周年を記念した展示「ワールド・ク...

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文:FINDERS編集部

8つの教科の観点から現代アートを紐解く

森美術館の開館20周年を記念した展示「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」が4月19日から9月24日まで六本木・森美術館で開催される。

本展は学校で習う教科を“現代アートの入口”に位置づけ、美術や図画工作といった教科の枠組みから現代アートを解き放つという試み。作品を通して未知の世界に出会い、学ぶ「場」とする本展は、美術館がすべての人に開かれた世界を学ぶ「教室」となる。

展示は「国語」「社会」「哲学」「算数」「理科」「音楽」「体育」「総合」の8セクションに分かれて紹介される。

今回、展示される約150点の作品のうち、半数以上が森美術館の収蔵コレクションとなる。韓国の芸術家ヤン・ヘギュベルリンを拠点に活動するサウンドアーティストのヤコブ・キルケゴール、彫刻家の宮永愛子による新作も展示される。

最大規模で作品が紹介される「社会」では、「社会彫刻」という概念を提唱したヨーゼフ・ボイスが来日した際に残した黒板から始まり、世界各地の歴史、政治、地理、経済、アイデンティティに関わる課題が取り上げられる。

森村泰昌《モデルヌ・オランピア2018》2017-2018年Cプリント、透明メディウム210×300 cm所蔵:森美術館(東京)展示撮影:武藤滋生 

また「国語」では言葉や言語をテーマにした作品、文学や詩の要素を含む作品など言語にまつわる作品が紹介される。

米田知子《谷崎潤一郎の眼鏡―松子夫人への手紙を見る》(「見えるものと見えないもののあいだ」シリーズより)1999年ゼラチン・シルバー・プリント120×120 cm 所蔵:森美術館(東京)

「算数」ではフィボナッチ級数をネオン管で表したマリオ・メルツの大型作品、片山真妃、杉本博司、そして数学的な概念をパフォーマンスに投影した笹本晃の映像作品など、芸術と数字の関わりを表現した作品が並ぶ。

杉本博司《観念の形 0010 負の定曲率回転面》2004年ゼラチン・シルバー・プリント58.4×47 cm Courtesy:ギャラリー小柳(東京)

そのほか物理、生物、化学、自然科学の領域の分野に関する作品が並ぶ「理科」や定まった答えのない問いに取り組み続け、世界の真理を探求する哲学に通ずるような作品が展示される「哲学」などが続く。

単一の科目や言葉、セクションといった枠組みに収まらない領域を横断する作品も紹介される「総合」というセクションで紹介される。

音響の意味や仕組みに着目した作品から音の存否を体感する作品など音にまつわる作品が展示される「音楽セクション」ではヨハンナ・ビリングの『マジカル・ワールド』、身体的な運動や行動、身体そのものなどをアートとして着目した作品が展示される「体育セクション」ではクリスチャン・ヤンコフスキーの『重量級の歴史』といった映像作品が展示される。

4月19日から7月4日の前期と7月5日から9月24日までの後期に分かれて異なる作品が上映される。また映像作品の中から6作品を、展覧会の会期限定でオンライン公開する来場特典も用意される。

音楽 ヨハンナ・ビリング《マジカル・ワールド》2005年ビデオ、サウンド 6分12秒(ループ)Courtesy: Hollybush Gardens(ロンドン)

体育クリスチャン・ヤンコフスキー《重量級の歴史》2013年ビデオ、サウンド25分46秒 Courtesy: Lisson Gallery

また森美術館がこれまで開催した59の企画展、72の小企画展、ラーニングをはじめ数々の関連プログラムなど20年分の歩みを振り返る展示も入口に設置される。

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〈出展アーティスト〉
アイ・ウェイウェイ(艾未未)、青山 悟、ヨーゼフ・ボイス、サム・フォールズ、藤井 光、シルパ・グプタ、畠山直哉、スーザン・ヒラー、ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト、風間サチコ、菊地智子、ヤコブ・キルケゴール、ジョセフ・コスース、ディン・Q・レ、李禹煥(リ・ウファン)、パーク・マッカーサー、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、パンクロック・スゥラップ、ソピアップ・ピッチ、アラヤー・ラートチャムルンスック、ヴァンディー・ラッタナ、ハラーイル・サルキシアン、笹本 晃、瀬戸桃子、杉本博司、田島美加、ロデル・タパヤ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、梅津庸一、ワン・チンソン(王慶松)、ヤン・ヘギュ、イー・イラン、米田知子、ユ・チェンタ(余政達) 


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『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』
期間:2023年4月19日(水)~ 9月24日(日)
会場:森美術館
料金:
〈平日〉当日券(オンライン)
一般 2000円(1800円)
高校・大学生 1400円(1300円)
4歳~中学生 800円(700円)
65歳以上 1700円(1500円)
[土日/休日]当日券(オンライン)
一般 2200円(2000円)
高校・大学生 1500円(1400円)
4歳~中学生 900円(800円)
65歳以上 1900円(1700円)