EVENT | 2022/03/04

みんながメディアになる時代、ソーシャルメディアは若者の選択肢を増やすのか【連載】Z世代の挑戦者たち(8)

聞き手:米田智彦 文:髙田理世
FINDERS 創刊編集長 米田が審査員を務め「FINDERS賞」を選出した、学生エバ...

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聞き手:米田智彦 文:髙田理世

FINDERS 創刊編集長 米田が審査員を務め「FINDERS賞」を選出した、学生エバンジェリストアワード2021Autumn。

当アワードは、NPO法人学生ネットワークWAN(理事長:森戸裕一)が、エバンジェリスト西脇資哲氏(日本マイクロソフト社)をプロデューサーに迎えて企画・運営する「次世代リーダーを発掘し、全力で”応援”する」アワードだ。

2021年7月から8月に地域や分野を問わず応募を受け付け、およそ4ヶ月にわたるチャレンジ期間(活動のサポート、および一般投票や動画による審査等)を経て、同年12月、沖縄アリーナで開催された表彰式にて受賞者を発表した。

FINDERSではこのアワードにおいて、「ソーシャルメディアとリクルーティングの可能性を追求し、若者の人生の選択肢を増やす」ことを掲げる石井勇輝さんに「FINDERS賞」を授与した。

学生・若者であることをポテンシャルに、Webメディアとの提携、LinkedIn Japanとの共同企画などを手掛ける石井さんに、「ソーシャルメディア」に感じる可能性や、それに対する彼自身のアプローチについて伺った。

石井勇輝

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2歳から遺伝により腎臓病を患い、中学卒業時まで食事制限と運動制限のある生活を送る。そうした自らの経験から、ハードルやトラブルに憚られることなく、それぞれの想いが実を結ぶような「機会づくり」や「コミュニティづくり」「環境づくり」に尽力し始める。2017年から2年間、学生団体の立ち上げと運営を行う。2018年から2020年にかけて、長期的インターンに参加。2020年からは個人事業主として開業し、学生向けの起業コミュニティ作成や企業向けの新卒採用支援、SNS運用支援を行う。支援実績として、兵庫県西宮市が運営する就労支援事業と共同企画を実施。株式会社パソナグループ 淡路島スタートアップイノベーションコンテスト プログラムサポーター就任。
Linkedinプロフィール:https://www.linkedin.com/in/yuki-ishii/

「もっと多くの人と、場所を問わずに交流したい」と考えた

ーー石井さんはいま「ソーシャルメディア」に注目して活動していますが、具体的な活動を教えてください。

石井:発信する内容としては主に2軸あります。一つは、24歳になる歳なので、「若者目線」という切り口で、最近のトレンドやZ世代の常識について発信しています。

もう一つは、若者・大学生のリアルな価値観です。エンタメや遊びというよりは、働き方や仕事観、キャリア観についてなど、若者がどのように考えているのかについて発信しています。

ーーどういった経緯で発信をスタートしたんですか?

石井:より多くの人と交流したい。という小さな願望から始めたように思います。本格的に取り組み出したのは2年前の2020年頃でした。開業届を出したばかりの新米だったので、必死に発信していました。

ある程度継続してやっていく中で実感として分かったことなんですが、発信したことって、資産として貯まっていくんですね。

「人に会う」ということを考えた時、発信しない限りは、そこに居合わせた人で考えを共有することしかできません。当たり前ではあるんですが、僕自身、関西に住んでいて、「会える人」というのは、地域性に影響されてしまうと日々感じています。

「もっと多くの人と繋がりたい、場所を問わずに交流したい」と考えた時、過去の発信が溜まっていくというのは、非常に大きいことだと感じました。

見てくれている人は圧倒的に社会人、特に30〜50代でビジネスに精通された方

ーーSNSだけでなくブログもやってるんですか?

石井:現段階では、私自身のブログは運営しておらず、株式会社アースメディアのオウンドメディアに掲載する記事制作に携わらせて頂く形で執筆活動を行っています。私自身のブランディングや自己認知を目的とした発信は、TwitterやLinkedInといったメディアを通じて行っています。

ーー日本では学生でLinkedInを活用しているユーザーは未だ少ないですよね? 

石井:そうですね、少ないように感じています。そのために有難いことに学生で発信している人も少なく、目立ちやすいポジションにいるので発信の際には常に「バランス」に気を付けています。

まず、見てくれている人の多くが社会人であり、特に30〜50代のビジネスに精通された方が多いので、言葉遣いや文字の表記などには細心の注意を払っています。

また、自分がどう見られやすい立場か、を前提に考えて発信しているつもりです。基本的には堅い内容であることが多いですが、あくまで事実に即した形式で、客観性を担保しつつも「どう感じているのか」というリアルな主観を書くように心掛けています。

ーージャーナリズムは、嘘をつかないということが大前提としてあります。PVだけを稼げればいいという考えではなく。

石井:はい、私自身も、最近イベントへの登壇などもあり、告知が続いてしまうことが時折あるのですが、ここでも「バランス」には気を遣っています。

見てくださっている方にとって有益な情報、興味深いと思っていただける発信をどれだけできるか、ということですね。

最近、告知する機会も多くバランスを崩してしまい反省しているのですが…基本的には、自分に利益があるような発信は1割未満になるように気を付けています。

ーーバランスは非常に大切ですね。メディアを通して表現は人々が求めているものを出していくことも必要です。しかし、本当に意義があると思うことを軸にしないと、会社・組織・ビジネス・ブランドに傷がついてしまうと思います。

「ポジティブな空間」を、オンライン上で作りたい

ーー春からはどのような活動を?

石井:就職しない選択肢を選べる状態になりたくて2年前、個人事業主になりましたが、2022年の4月からはChatwork株式会社に就職する予定です。この時期だからこそきっと面白いことができるだろう、とビビッときたからです。

一方で、会社の看板におんぶに抱っこするつもりはありません。むしろ自分の発信力はもっと強化させていきたいと考えています。そのためにも今、「自分自身」を出せるようなバリューを作っていこうと、まだ在学中ではありますが、大学での講演活動を行ったりしています。

ーー継続は力なりで、フォロワーとの繋がり・信頼関係みたいなものも生まれていきます。実名でやっていくことが大事ですね。責任も伴いますが、実名でしない限り実績にはならないですから。今、PV数やフォロワーなどの数字的な部分はいかがですか? 

石井:主な発信をしているのはTwitterとLinkedInです。フォロワー数でいえば約5500名ほどいます。LinkedInに関しては毎日投稿していた時期もあり、1つの投稿に対して閲覧数2000〜3000を獲得していたため、少なく見積もって1月あたり6万回程度見られていた計算になります。

ただ、どちらかと言うと、毎回数名〜数十名の方々ににコメントをいただくなど、コミュニケーションを重視しており、平均的にエンゲージメント数100を超えるようになってきました。SNS上での距離感の近さを大切にしたいなと考えています。

ーー素晴らしいですね。これからも、フォロワーの「数」ではなく「密接度」だと思います。これからの時代はみんながメディアになる。現場にいる人が現場記者になる。そのような状況下で、メディアを積極的に活用している点を評価し「FINDERS賞」を授与しました。最後に、ご自身の抱負といいますか、改めて一言いただけますか? 

石井:今あるSNSという土壌の上で、今後も軸は変えずに発信を続けていこうと思います。一方で、もっと多くの人が、フラットかつ、思っていることを発信していく中で切磋琢磨できるような「ポジティブな空間」を、オンライン上で作っていきたいと考えています。 

ーーありがとうございます。オリジナリティのある、強い言葉のある人というのは、物事を内省し、突き詰めて考えている人です。考え抜いた末に、抽象的なことを言語化して、自分に言い聞かせている。行動の指針にしている人です。口にした瞬間は「何それ?」と言われるんですが、「実は、、、」と話をすればわかってもらえます。頑張ってください!


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