CULTURE | 2021/08/11

あらゆるものをコンテンツ化し、今までの貨幣中心の「価値」を変える可能性を秘めたNFT とは?【連載】ブロックチェーンと暗号資産が切り拓く未来の世界(3)

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最近ネット上で話題になっているNFT(Non Fungible Token...

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最近ネット上で話題になっているNFT(Non Fungible Token ノン・ファンジブル・トークンの略)を一言でいうと、価値がその形でしたか保たれない1点物のトークンです。

NFTを理解するにはまずFT(ファンジブル・トークン)を理解することが重要です。NFTと相対するFT(ファンジブルなトークン)というのは、割っても価値が保存されるトークン。例えば日本円などの通貨はFTです。1万円を半分の5千円ずつに分けても全体の価値は減っていません。ノンファンジブルトークン(NFT)はその逆です。半分に割ってしまうと価値が無くなるトークンです。例えば100万円の絵画を半分に破ってしまえば、価値は失われてしまいます。破れてしまった半分の絵画に50万円の価値は無いので、トークン化されたデジタルアートはNFTとして扱われます。

仮想戦士ロイ

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早稲田大学中退。メルボルン大学物理学部卒。シンガポール在住。元プロゲーマー。クラウドファンディングやE-sports x Lifestyle のブランド立ち上げを経て現在クリプトに夢中な28歳。自宅でETHのマイニングを行ったり5つ以上のブロックチェーンでDeFiを利用した資産運用を行う。クラブハウスでブロックチェーンプロジェクトのホワイトペーパーの解説もしており、常にクリプトの最前線の情報を仕入れている。

NFTの活用事例

では、実際にどのような分野でNFTを活用できるのか。ユニークなデジタル情報であれば何でもNFTとして一点物のトークンを発行できます。つまり一番期待される活用方法は証明書としてのNFTです。特に、今まで簡単に複製されアートとして価値を見出しづらかったデジタルアートの本物証明書。他にもCovid-19のワクチン証明書や診断書などの医療分野、土地や物件の証明書などの不動産分野、婚姻証明書や住民票などの行政分野。ユニークなデジタル情報であればどんな物でもNFTとして活用することができます。そしてこのNFTは中身を改ざんされず、誰にでも渡したり貸したりすることが出来ます。

NFTはインターネットのSNSと同じ

ユニークなデジタルデータに形をもたらせるNFTはインターネットでいうところのSNSに似た活用方法が期待されています。SNSではユーザーが好きな文字や画像データを共有できます。NFTはテキスト、画像データだけではなく全てのデジタルデータに拡張して共有することができます。さらに作成者や作成時刻がブロックチェーンに記載されていますので、著作権やソースが最初からデータに紐づいているのも魅力の一つです。SNSのように私生活、ビジネス、そして政治にも欠かせないものとしてNFTを日々利用するようになります。

では、未来のNFTxSNSはどんなものになるか?

まず、すべての行政や医療などの公共事業サービスをSNS上で行うことができます。政府の専用アプリを作ったり、医療機関統一のアプリを全国民に普及させるには物凄いコストと時間が掛かります。政府や医療用のブロックチェーンでNFTを発行させそれを各アプリ会社に利用できるようにすれば、公共事業者が各自で専用アプリを作る必要もありません。そもそもユーザーは使い慣れたSNSのUI・UX上で普段の生活に必要な手続きが出来るので安心です。さらにSNSのユーザー同士が情報を拡散することで広告費を削減することができます。皆が各自で必要なサービスにアクセスして自分の分の仕事を自分たちですれば公務員などの事業者側の負担も大幅に減らすことができます。

選挙の投票などもSNS上で簡単にできるようになります。SNSはあくまでフロント、ブロックチェーンとユーザーを結ぶ画面というわけです。画面の裏側はブロックチェーン技術によって守られた改ざんできないデジタルデータを扱うインフラをNFTで作っているわけです。全てのサービスとリンクした公共のSNSは暗号技術で守られているNFTとブロックチェーン技術によって可能になります。

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