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星野リゾート「マイクロツーリズム戦略」が好調。稼働がほぼ昨年水準まで回復する中、秋冬の見通しを星野代表に訊く
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  • 2020.09.18
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星野リゾート「マイクロツーリズム戦略」が好調。稼働がほぼ昨年水準まで回復する中、秋冬の見通しを星野代表に訊く

世間の3割は、旅行に行ってもいいのかどうか迷っている

―― 今後、秋から冬のシーズンにかけてどんな見通しを持っていらっしゃいますか。

星野:私は意外と楽観的です。第一波は自粛して人の移動を制限し、大きな経済的ダメージがありましたが、第二波では経済との両立を重視してGo Toキャンペーンも始めた一方、直近では感染者数はピークの山を下って減少傾向にあります。死亡者数や重傷者率もそこまで高くないですし、色々な対策によって人々の「気をつけ方」も上手くなってきた。三密回避の意識も高まり対策も徹底的にできてきています。“ニューノーマル”の考え方が秋冬にもっと当たり前になってくるのではないかと思っています。

インバウンドが急に戻るということはないでしょうから、まず国内の需要をしっかりと戻していく、私たち事業者のノウハウも高まってくるし、コロナに対して「こういう風にすれば大丈夫だ」という感覚を持つ旅行者が増えるのではないかと期待しています。

―― インバウンドはまだ当面戻りそうもないと考えますか。

星野:1つの目安は来年夏、オリンピックをやるのかどうかです。やるならばインバウンドを解禁せざるを得ないでしょう。それは部分解禁かもしれませんし、隔離期間やPCR検査が必須になるかもしれませんが、オリンピックの選手はそうもいかないでしょう。何らかの方法を考えざるを得ない。

新型コロナがなかった時ほどの旅行者数にはならないかもしれないが、ある程度の人は入国してきますから、そこで何らかの方針を出していく。世界的に見てもそれぐらいの時期に国際的な移動を緩和しようとなっているかもしれないので、かなり大事な機会になるんじゃないかと思います。

―― もしオリンピックが開催されなかった場合はどうでしょうか?

星野:次は延期ではなく中止になるでしょうが、そこから先にどういう機会を捉えてインバウンド再開を目指すのかという作戦を練り直さなければいけないと思います。しかし先ほども言いましたが、インバウンドは日本の観光市場の7%でしかないので、中止になった場合は覚悟を決めて次のチャンスを狙おうと思います。

―― 星野リゾートとしても今年4月から1年半・18カ月の経営計画を立てたそうですね。

星野:4月初頭は社内的にも混乱していましたので、とにかく「売上9割減が1年半ずっと続くわけではない。緩和期に必ず需要が戻ってくるから、まず国内需要をちゃんと狙っていこう」ということを示すために作りました。

この計画では「ゴールはワクチンの登場であり、それまでに日本政府は必ず自粛を要請するからその時は冬眠し、緩和期は国内需要を捉えていく。その繰り返しなんだ。だんだんその波に対応していけるようになろう」と言ってきました。

経営的には売上の3~4割ダウンまでに抑え、コストを15%削る一方、人材の維持は必ずやる。この3つを目標にしようという方針を立てました。

星野リゾートとしては、今の段階だと「売上3~4割ダウン」よりはもう少し良い成績になりそうな気配が見えてきています。ただホテル業界全体を考えると、政府・自治体支援もうまく活用しながら生き延びていく必要があると考えています。

例えばGo Toトラベルであればマイクロツーリズム推進のサポート、そして閑散期を下支えするような需要の平準化策にならないかという話をしています。そして人材維持のためには雇用調整助成金、三密回避対策では持続化給付金といったサポートを私たちの作戦に活かしていくということです。

―― 星野リゾートでは今年6月に2万人規模での「2020年末までに国内旅行に行きたいと思いますか?」という独自アンケート調査を行ったそうですが、その結果は「確かに世間の空気感はこんな感じなのだろうな」という納得感が強いものでした。

星野:ここで「行きたいと思わない」と回答した層の多くは昨年も旅行していないそうです。国内含めてあまり旅行していない人が3割ぐらいいます。この層は除外して考えると、旅行しているマーケットのうち半分が迷っていて、その理由をさらに聞くと「コロナが怖い」ではなくて「行っていいのかわからない」のであると言っています。東京から行くと迷惑がかかるんじゃないか、歓迎されないんじゃないかと恐れている人がこれだけいる。その層をどれぐらい戻せるかが勝負所だと思います。

―― そうした旅行者の“空気感”は経営努力によって大きく変えられると思われますか?

星野:どうにもならない部分も大きいですが、私たちもHPの案内や動画で「最高水準のコロナ対策宣言」を打ち出しています。

最近コールセンターへの問い合わせが増えているのですが、大半の内容が「今は行っても大丈夫ですか?」ということです。「私たちはいつでもウェルカムです」ということは常に伝えていきたいですし、そうした取り組みの積み重ねが旅行者の空気を変えることにもつながると考えています。


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