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バカッターから迷惑系YouTuberへ。ネットに生息する「バカ」はどのように進化したのか【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(14)
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  • 2020.07.29
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バカッターから迷惑系YouTuberへ。ネットに生息する「バカ」はどのように進化したのか【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(14)

バカッターは画像から動画へ

Photo By Shutterstock

このアイスケース男の登場以後、続々とバカッターが登場し、日本のバカ人材の層の厚さを示すこととなった。登場したバカをいくつか挙げる。多いのがバイトの若者が職場でバカなことをしている様子である。

・米屋で精米機の中に入るバカ
・ソバ屋で食洗機の中に入るバカ
・ステーキハウスの冷蔵庫に入るバカ
・ハンバーガー店で大量のバンズの上で寝るバカ
・ラーメン屋でソーセージを咥えるバカ

あとは、電車のホームから線路に降りてピースサインで記念撮影をするバカなども登場した。あ、そういえば同様の話で言えば、松本伊代と早見優が線路に入って記念撮影をしてブログに投稿して書類送検された件もあったな。この2人もバカッターだった!

2013年の夏はバカッターが次々と登場し、退学に追い込まれる者が出るほか、ソバ屋は廃業に追い込まれてしまった。連日のようにバカッターの話題がネットをかけめぐり、挙句の果てにはテレビもこの様子を報じることとなる。

秋になり新学期が来ると各地の大学や高校は学生・生徒に「SNS利用上の注意」を呼びかける事態となった。一体あの夏はなんだったのだろうか……。とんでもなく暑い夏だったことは覚えているのだが、若者が次々と自爆テロのようにバカ画像を投稿し、身元が特定されて「人生ヲワタ」状態になってしまったのだ。そして、彼らの行為については「バイオテロ」ならぬ「バイトテロ」とも呼ばれるようになる。

そして2015年夏にも少しだけバカッターは登場し、2017年夏、再びバカッターは猛威を振るい始めた。恐らく2013年に同世代の人間が次々と処分されたりネットで誹謗中傷に遭う様を見ていた当時の若者(10代後半~20代前半)は、教育を受けてバカッター画像を投稿しないようにするメンタリティができたのだろう。だが、2013年に中高生だった少年少女が4年の時を経てSNSをやるようになり、再びバカッター画像を投稿するようになった。つまり、バカッターの「世代交代」が発生したということである。

学校や職場も「さすがにもうバカッターはしないだろうな」と2014年~2016年にかけて感じ、2017年にはSNS教育をキチンとやっていなかったのではないだろうか。コロナ禍ではないが「気のゆるみ」があったのかもしれない。かくして2017年にもバカッターが次々と登場したが、パワーアップしていた。

動画になったため、よりバカ度合がハッキリと分かるようになり、楽しんでいる声なども出るためよりインパクトが強くなったのだ。そして2019年に入るとこうしたバカ動画が再び多数登場するようになる。セブンイレブンの店員が熱々のおでんを口に入れ、それを外に出したかと思えば売り物のタバコを棚から一斉にガーッと落としたりする動画が炎上。「くら寿司」の店員が一旦ゴミ箱に入れたブリの刺身を俎板の上に戻す動画も波紋を呼んだ(動画自体は前年に撮影されたもの)。セブンイレブンの店員については、高校時代の友人を名乗る人物が登場し「こいつは昔からつまらないヤツだった」などと暴露される事態に。

恐らく彼らはSNSの仕様をよく分かっていないのではないだろうか。自分の友人しか見られないものだと思い、LINEのグループ機能のようなものだと考えていたのかもしれない。

次ページ:ネット誹謗中傷へ有名人が訴訟、相次ぐ

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