外食需要は以前ほど戻っていないものの、テイクアウト頼みだったレストランもほとんどが営業を再開し、目の前のお客様とお店のウイルス対策に注力している店舗が多くなった。
一方で、テイクアウトで食事を楽しむ事が定着しつつあり、選択の幅が広がったのも事実。今回は、オフィス街・新橋と新宿で行列店のランチのテイクアウトにフォーカスした。
いつもなら行列に並ぶ必要のある人気店でも、テイクアウトなら三密を避けられる上、時間の短縮にもなって一石二鳥!
チェリー先生
食べ歩き部・部長
東京生まれ東京育ち。10代では外食好きな家族と、20代では目上の方々にあまたの東京レストランガイドをしていただき、30代以降は自分で開拓するのが楽しくなり、あらゆるスタイルの「外食」を楽しんできたグルメ女。プロならではのこだわりが見える瞬間、女王様気分を味わえる接客、味というよりも人に惹かれる瞬間などに魅力を見出し、レストランの楽しみ方を広げている。
新橋「むさしや」オムライス800円(+トッピングでミニハンバーグ250円)
サラリーマンの聖地・新橋の、彼らのオアシス的存在とも言われる「ニュー新橋ビル」。1階に老舗の洋食屋があるのをご存知だろうか。立ち呑み屋かと見紛うL字カウンターだけの店が創業明治18年の「むさしや」だ。
10席にも満たない小さな店だが、800円前後で誰もが好きな王道洋食メニューをお腹いっぱい食べられるとあって、昼時を外しても行列が絶えないので有名なのだ。
スパイスたっぷりな本格的なカレー、昔ながらのナポリタン、煮込みハンバーグ等、魅力的なメニューは多数あるのだが、ダントツ一番人気なのがオムライス。今回は欲張ってミニハンバーグもトッピングした。
待つ事数分、「お待ちどうさまです!」と厨房から直接手渡された袋は、ずっしりとかなりの重量感がある。皿状の容器ではなく、深めの丼ぶり容器にぎっしりと入っている。
丸みを帯びた黄色と赤のオムライス、遠慮がない量のナポリタン、ミニと言っても食べ応え充分なハンバーグ、そしてテイクアウトでも温かい味噌汁が付いているのも、昔ながらの洋食屋ならでは。
薄い玉子の膜にスプーンを入れると、赤いケチャップライスが顔を出す。玉ねぎ、鶏肉、グリンピース、と具材は決して多くはないが、ケチャップを均一に纏い、はらりとしたライスが何とも香り高く旨い。懐かしい様な不思議と安堵感のある旨さだ。
庶民的な見た目に反し、バターたっぷりなリッチな味わいで、ハンバーグのデミグラスソースを絡めながら食べると幸福感が増す。
デミグラスソースの味が馴染んだ肉々しいハンバーグ、甘いマヨネーズのキャベツ、胡椒の効いたナポリタン、バターがまろやかなオムライス。この無限ループにハマる人は多いはずだ。
郷愁とロマンと、少しばかりの気怠さが滲み出る「ニュー新橋ビル」。2022年には解体予定となっている昭和なビルで、昭和な洋食ランチを体験して欲しい。
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