EVENT | 2020/07/15

Apple、Facebookなど巨大IT企業「GAFAM」の収益構造をグラフ化してみたら、あるキーワードが浮かび上がってきた

文:赤井大祐
世界中の人々の生活を支える巨大IT企業。中でも「GAFAM」と称される、Google(Alphabet)...

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文:赤井大祐

世界中の人々の生活を支える巨大IT企業。中でも「GAFAM」と称される、Google(Alphabet)、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社の年間売上高の合計は9000億ドル(約99兆)にものぼり、これはオランダのGDPに匹敵する。

では各企業どのようにこれだけの莫大な売上を上げているのだろうか?『Visual Capitalist』が作成したこの5社の2019年度の収益構造のグラフを紹介する。また、2018年度のデータと比較し、この1年でどのような変化が起きたのかも辿りたい。

Amazon:年間売上高2802億ドル、純利益116億ドル

EC最大手のAmazonは売上高の半分以上をオンラインストアが占めている。収益構造の比率はほぼ変わらないものの、前年から大きく売上高を伸ばした。中でもオンラインストアとサードパーティ・セラー・サービスの売上高は300億ドル近く増加している。一方、Amazonの次なる一手として日本でも話題となった、レジ無し型コンビニAmazon Goなどの実店舗事業は、事業の中で唯一成長することができなかった。

Apple:年間売上高2619億ドル、純利益552億ドル

現在世界2位の時価総額を誇るApple。売上高の54.7%をiPhoneが占めているが、前年と比べると約250億ドル近く減っている。一方、Apple PayやApple Musicなどのサービスの売上高がおよそ100億ドル増加、iPadも約30億ドル増加。ワイヤレス型イヤホンAirPodsの大ヒットもあったものの、全体で見ると売上高、純利益がともに5社中で唯一減少する結果となった。ただ、純利益の額は5社中トップであることは変わらず。Appleの躍進はまだまだ続きそうだ。

Alphabet:年間売上高1619億ドル、純利益343億ドル

Google親会社のAlphabetは売上高の70%をGoogleやYouTubeからの広告収入で賄っており、広告関連を合計すると前年より200億ドル増加した。またGoogleが提供するクラウドサービスGoogle Cloudも順調に成長を続け、89億ドルもの売上高を出した。またAlphabetは新たな収入源を見つけるべく、気球によるインターネット接続を提供するLoonや自動運転のWaymo、スマートホームデバイスのNest、ドローン配送のWingなどに投資をしている。

Microsoft:年間売上高1258億ドル、純利益392億ドル

Microsoftは前年と比較すると、ほぼすべてのカテゴリーで売上高を伸ばした。特に注目すべきはクラウドサービスのMicrosoft Azur。売上高は全体の25.9%に達し、主力事業のOfficeの25.2%を上回った。Windowsが16.2%、ゲームが9.1%、Bingが6.1%と続いており、バランス良くさまざまな事業から利益を上げている。

Facebook:年間売上高708億ドル、純利益185億ドル

5社の中で最も大きな成長率を見せたのがFacebook。売上高が前年比で26.88%の増加となった。Facebookは売上高の98.5%を広告収入が占めており、特にアメリカ、カナダといった北米地域からの売上高は、世界平均に対し5倍近くにも上る。一方で純利益は前年から減少。トランプ大統領の人種差別的なコメントをFacebookが放置していたことに対して展開された「#StopHateForProfit」運動によって、ザ・ノース・フェイス、パタゴニアといった大企業が広告出稿を停止する発表もあり、順風満帆とは行かなそうだ。

巨大IT企業はそれぞれ異なる収益構造だが、今年は「クラウド」が一つキーワードとして例年より存在感を放っていたように感じる。今後5GやXR技術の普及が期待されている中、それぞれの収益構造がどのように変化していくのか、注目だ。