文:赤井大祐
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、世界的に経済活動が停滞している。その影響として渋谷駅前の屋外看板への広告出稿が止まったことや、電車内の中吊り広告が目に見えて減少したことなど、世の「広告」が減ったことに気づいた人も多いのではないだろうか?
そんな中、『Visual Capitalist』が市場調査企業WARCの情報を基に制作した、2020年の世界の広告費予測をコロナ禍の前後で比較したインフォグラフィックスを公開した。企業の経済活動を後押しする広告は、果たしてどれだけの影響を受けたのだろうか。
ネット広告全盛の時代へ
こちらのインフォグラフィックスでは、出稿メディア別(上)、出稿業種別(下)に2020年の広告費の前年比成長予測を示しており、白地がコロナ禍以前で、黄緑はコロナ禍以降だ。
コロナ禍以前、2020年の広告費予測は前年比7.1%の増加が見込まれていた。ところが現在は-8.1%と見込まれており、コロナ禍以前の成長予測を考慮に入れると、損失総額は964億ドル(約10兆6000億円)にも上る。
そして出稿メディア別で見ると、明暗がはっきりと別れた。旧来の4マス媒体と言われる「テレビ」(-13.8%)、「ラジオ」(-16.2%)、「新聞」(-19.5%)、「雑誌」(-21.5%)は軒並み減っており、さらに「屋外広告」(-21.7%)、「映画館」(-31.6%)に至っては壊滅的減少となった。
その一方でインターネット広告は依然好調だ。「SNS」(+9.8%)、「ネット動画」(+5.0%)、「バナー広告」(+2.1%)、「検索」(+0.9%)については、コロナ発生以前の増加予測には及ばずとも、それぞれプラスを維持。自宅で過ごす人々は従来のテレビではなくNetflixをはじめとしたストリーミングサービスへ流れたことも大きな要因として考えられている。インターネットが従来のメディアに取って代わったことを感じさせる結果となった。