文:山田山太
米連邦最高裁は今月、性別による雇用差別の禁止などを含む公民権法をLGBTQへも適用し、性的指向や性自認を理由とする解雇は違法であるとの判決を下した。
性的マイノリティの社会進出を後押しする歴史的な一歩が踏み出されたことを記念し、昨年大きな話題となったとあるゲイカップルの愛と勇気にあふれる行動を捉えた写真を紹介したい。
ホモフォビア(同性愛嫌悪)の団体の前でキス
2019年9月、英国チェスター出身のジョー・ファーガスさん(当時24歳)と彼のボーイフレンドであるロバート・ブルックスさん(当時21歳)は、地元劇場「ストーリーハウス」へミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」を観にきていた。
同作は主人公がパン・セクシュアル(全性愛者)であるなど多様な性の形が描かれており、1970年代に生まれた作品にも関わらず、今なおLGBTQ を中心にカルト的な人気を誇っている。
しかし観劇を終えた2人が外に出ると、地元教会のホモフォビア(同性愛嫌悪)の団体がさまざまな聖書の言葉が書かれた看板を手にし、LGBTQコミュニティと作品へ抗議活動をするために待ち構えていた。
この様子を目撃したファーガスさんとブルックスさんは、抗議団体に対し華麗に応えた。2人は抗議団体の目の前でキスをして見せたのだ。抗議団体の一人は「あなたたちは忌まわしい」と叫んだが、観客たちはみな2人を応援したという。
この時の写真が9月18日、地元のLGBTQグループ「Chester Pride」のFacebookページに掲載されるとたちまち話題に。「今まで見てきた写真の中でも最も素晴らしい一枚」「とても象徴的な写真ですね。素晴らしい!」など称賛の声が寄せられた。
ファーガスさんは『Pink News』の取材に「劇場の外に出てみると、抗議団体と観客の間で叫び声が上がっていました。憎しみに憎しみをぶつけても意味がないので、私たちは愛を広めることにしました」と語り、「私たちは私たちの権利とコミュニティを支持したかったので、他の人にも同じことをするよう強くすすめます」「私は誰もが自分の意見を言う権利を尊重します。でも同じように、私が好きな場所でボーイフレンドにキスをする権利もあるはずです」と続けた。