文:仲田拓也
新型コロナウイルスの感染拡大により、海外ではロックダウン(都市封鎖)という厳格な措置が取られている。思うように家族や友人に会えず、苦しい思いをしていた人も少なくないだろう。
ロックダウンが解除され、久々の再会を果たした時の喜びは大きいが、それは人間同士だけではないようだ。
男性とロバの種を超えた友情
2万7000人を超える死者が発生したスペインでは長期間にわたり、ロックダウンが実施され、国民は日常生活に大きな制約を課されることになった。
スペインのマラガ在住のイスマエル・フェルナンデスさんもロックダウンの影響を受けた一人。イスマエルさんは約2カ月の間、自宅を出ることができなくなった。近くで農場を営む家族に会えないことはもちろん、イスマエルさんには大きな気がかりがあった。それがイスマエルさんの兄がペットとして飼っていたロバのバルドメラだ。
ロックダウン前は週に1度、兄の元を訪れていたイスマエルさん。その時には必ずバルドメラと遊んでいたが、ロックダウンによってその機会は失われてしまった。
「多くの人がバーに行きたいと思っていたのと同じように、私はバルドメラと会いたくてたまらなかったです」と、イスマエルさんは『The Dodo』の取材に答えている。
久々の再会にロバも感動の涙
ようやくスペイン南部でロックダウンが緩和された5月18日、イスマエルさんは久しぶりに兄の農場を訪問。最初はバルドメラが自分のことに気づかないかもしれないと考えていたイスマエルさん。しかし、名前を呼ぶと、バルドメラはすぐに駆け寄ってきた。
バルドメラの身体をなでるイスマエルさんは、久々の再会に感動し涙。すると、バルドメラも嬉しくなったのか、イスマエルさんを見てむせび泣いているような声を上げた。