LIFE STYLE | 2020/03/05

すべての女性に生理用品を無料提供へ。スコットランド、世界初となる法案を可決

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文:赤井大祐
人類のおよそ半数に起こる現象でありながら、女性特有のもので...

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文:赤井大祐

人類のおよそ半数に起こる現象でありながら、女性特有のものであることを理由に、社会の目から遠ざけられてきた「生理」。昨年は雑誌『SPUR』が、渋谷のド真ん中で生理用ナプキンを配布する企画を行うなど、少しずつではあるが社会全体のものとして受け入れられつつある。

そんな生理を巡って、スコットランドが革新的とも言える大きな一歩が踏み出そうとしている。

革新的な法案がほぼ全会一致で可決

今年2月、スコットランド議会はすべての女性にナプキン、タンポンなどの生理用品を無料で提供する法案を、賛成112、反対0、棄権1のほぼ全会一致という形で可決した。現在法案は第一段階を突破し、調整段階へと移行。この法案が正式に実施されれば、スコットランドは世界で初めて、すべての女性に対して生理用品を無料で提供する地域となる。

とはいえ、この施策を実施するために年間2400万ポンド(約33億円)もの費用必要となるため、政府はいくつかの修正案を提出する予定だと『BBC』は伝えている。この法案は、労働党のモニカ・レノン議員が2017年より推進してきたもので、まずは第1段階をクリアしたことを、自身のTwitterで喜びとともに発信し、称賛の声が寄せられた。

「タンポン税」を廃止し、貧困問題解決へ

この法案が提出された背景には「Period Poverty(生理の貧困)」と呼ばれる社会問題が存在する。2018年の世論調査によると、イギリスに住む女性のうち、経済的な理由により生理用品を購入できず、その影響で学校や仕事に行けなかった経験があると回答した人が25%以上にものぼった。原因の一端として、EUでは生理用品は生活必需品としてみなされず、5%が課税され、女性に経済的な負担を強いてきたのだ。

この税金は「タンポン税」と呼ばれ、EU諸国だけでなくアメリカなど世界中で適用されており、反発の声が広がっている。2017年には、アメリカの法律・政策機関「Period Equity」がモデルのアンバー・ローズを起用し、キャンペーンを実施。「Periods are Not a Luxury. Period. (生理は宝石じゃない)」という動画が公開され、生理用品を嗜好品と同じように課税するべきではないと訴え、話題を集めた。

スコットランドのこの法案が実施されることで、世界の潮流はまた大きく変わっていくはず。すべての女性が、少なくとも生理用品を無料で手に入れることができる世の中になればと思う。