ヤフオク!で2月28日・19時過ぎに「マスク」と検索バーに入力し表示された画面
文:神保勇揮(FINDERS編集部)
既に高額転売品は規約変更で出品禁止。さらなる対応も必要に応じて検討
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、マスクが品薄になってからおよそ1カ月。
開店前にでも並ばない限り、ドラッグストアなどにいつ行っても「完売です」の文字の前に立ち尽くすのみ。菅官房長官が記者会見で「毎週1億枚以上を供給できる見通しである」とは言い続けているものの未だ改善の兆しはなく、メルカリやヤフオク!といったフリマアプリ・オークションサイトでは多数の転売品が並んでいる。
こうした状況を受け、経済産業省では2月27日にウェブサイト「マスクや消毒液の状況 ~不足を解消するために官民連携して対応中です~」を公開。リアルタイムで国内の生産状況や輸入・海外生産状況を更新している。
経済産業省「マスクや消毒液の状況 ~不足を解消するために官民連携して対応中です~」より
同サイトの記述(2月28日11:30時点)によると、国内メーカーは24時間体制で通常の3倍の増産、週1億枚の供給を継続しており、加えてマスクの生産設備の導入などを行う事業者への補助金第一弾として3件を採択。また中国などから1千万枚レベルでの輸入を先週から再開しており、4月1日以降、さらに週に2千万枚レベルの輸入増を目指しているという。
加えて27日夜から28日朝にかけて、複数のメディアから「経産省がオークションサイトなどに対して、一定の猶予期間を設けたうえでマスクの販売自体の自粛を要請する」という報道が流れた。これにより、各事業者のさらなる高額転売への規制強化・阻止が期待できるのか。ヤフオク!を運営するヤフー広報に取材を行い、本日19時に回答を得た。
※なお、同じタイミングでメルカリにも取材を行い、記事にしているのでぜひお読みいただきたい。
止まらないマスク転売。経産省がフリマ・オークションアプリに出品自粛を要請。今度こそ転売ヤー撲滅なるか?メルカリに聞いてみた
https://finders.me/articles.php?id=1713
―― 27日夜から28日朝にかけて、複数のメディアから「経産省がマスクの出品を自粛するよう要請する」という報道が出ています。御社は2月7日に「ヤフオク!ガイドライン細則の改定について(マスクの出品について)」というプレスリリースを掲載し、「災害などの緊急事態において、供給不足により人の身体・生命に影響がある物品を不当な利益を得る目的で入手し、出品していると当社が判断する出品」があった場合、削除する可能性があるとしています。今後、らに対策が強化されるということでしょうか。その場合、具体的にどんな内容になるのでしょうか?
A:経産省の要請を踏まえ、関係省庁と連携、協議を行いつつ、慎重に対応を検討させていただきます。またユーザーの皆様においては引き続き、マスクが必要な方が確保できるよう配慮の上、サービスをご利用いただきたいと考えています。
―― 現在、ヤフオク!では多数の高額転売マスクが出品されています。私自身も実際に違反報告をしてみたのですが、オークション取り消しの通知メールが届いたのが肌感覚としては5件に1件程度という印象です。このような現象はなぜ生じてしまうのでしょうか? また、何か対策を取っている場合、その内容と成果をお教えください。
A:具体的な削除基準や方法については、悪用防止の観点から回答を差し控えさせていただきますが、当社が不当な利益を得る目的で入手したと判断した場合には、出品の削除措置を実施しています。
―― 一部地域では「トイレットペーパーやティッシュが品薄になる」という情報が流れ、御社サービスでも実際に高額転売商品の出品が確認されています。今後、同様の生活必需品の転売品が増加した場合、対策を取る可能性はございますか? 対策を取る場合、具体的にどんな内容になるのでしょうか?
A:マスク以外の出品につきましても、社会情勢に鑑みて慎重に判断し、個別の運用については適時適切に対応を検討していきます。
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2月28日19:30現在、ヤフオク!上で「マスク」と検索してみると、残念ながら依然として1万円~100万円のレンジで入札が進むマスク転売オークションが多数行われてしまっている。質問欄を覗くと「領収書を発行してもらえますか?」というものも見受けられ、まとまった数のマスク入手に苦慮する企業・団体が買ってしまっているのではないかとも想像する。
現時点でまだヤフー側はどのように対応するかのアナウンスを出してはいないが、現行の「削除」ではなく経産省の要請通り「出品」自体が禁止され、具体的に実行されるようになれば、また状況は変わってくるはずだ。
増産・輸入増によって市中に出回るマスクが増えるのが先か、転売ヤー撲滅が先か。まだ苦しいいたちごっこが続きそうだが、この記事を読んでいるあなたはきっと、そうした買い占めに手を出さない人であるだろうと願っている。