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脳性麻痺の息子に働く場所を与えるため、パン屋をオープンした母親「息子を人目のつかないところで働かせたくない!」
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  • 2020.01.21
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脳性麻痺の息子に働く場所を与えるため、パン屋をオープンした母親「息子を人目のつかないところで働かせたくない!」

文:岩見旦

障害者雇用が推進される一方、さまざまな問題が浮き彫りになっている。2018年度は障害者雇用数が前年比で7.9%増えた一方、法定雇用率を達成した企業は45.9%と半分以下だ。

そんな中、多くの課題を抱える障害者雇用に一石を投じるニュースが海外から届いた。

「スペシャル・ニーズ・ベーカリー」を開業

米国イリノイ州に暮らすマーガレット・コルテスさんは2018年に失業したことをきっかけに自ら店を開業することにした。マーガレットさんは地元ガルバでどんなビジネスが求められているかを数日間にわたり調査。すると、その前年の年末に80年以上営業していたパン屋が閉店したばかりであることに気づいた。

そこで、マーガレットさんはパン屋をオープンすることにした。この決断をしたのは、脳性麻痺を患っている16歳の息子フランキー君が高校を卒業した後にちゃんと働ける場所を用意するためにだ。

マーガレットさんはこのパン屋を「スペシャル・ニーズ・ベーカリー」と名付けた。

ソーシャル・スキルを培う場に

マーガレットさんは『KWQC-TV』の取材に「フランキーはたくさんの診断を受けています」と明かし、「彼は脳性麻痺を患っており、ダンディ・ウォーカー症候群です。視力に問題があり、片目は見えません」と答えた。

ダンディ・ウォーカー症候群とは、先天的な脳の病気で、2万5000人〜3万5000人に1人の確率で現れるという。フランキー君が生まれ、この病気の存在がわかった時、医師たちは歩くことが出来ないだろうと言ったという。しかし今、フランキー君は歩くだけでなく、店頭に立ち笑顔で接客を行っている。

このパン屋は、単にフランキー君に仕事を与える場所であるだけでなく、社会の中で多くの人と交流しともに生活を送る能力を養う場所でもある。「フランキーは歌うことも、踊ることも、走ることも、飛ぶことも出来ます。彼はあらゆることが出来ます」とマーガレットさん。そして「私にとって重要なのは、フランキーが工場のような人の目のつかないところで働いてほしくなかったです」と付け加えた。

フランキー君もパン屋で働くことが楽しいようで、「私はみんなに敬意を持って接して、みんなを笑顔にしています」と『KWQC-TV』に語っている。パン屋の公式Facebookによると、将来障害のある人を雇いたいと考えているとのこと。

さまざまな特徴を持った人が積極的に交わることで互いに理解し合い、多くの人にとって生きやすい社会になることを望む。


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