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暗闇でいきなり警察官が出現!?「まもってトート」がバズったホンダに交通安全に対する取り組みを訊いてみた
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  • 2019.12.27
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暗闇でいきなり警察官が出現!?「まもってトート」がバズったホンダに交通安全に対する取り組みを訊いてみた

© Honda Motor Co., Ltd. and its subsidiaries and affiliates. All Rights Reserved.

取材・文:6PAC

警察官と錯覚してしまうトートバッグ「まもってトート」

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12月1日に改正道路交通法が施行され、スマートフォンを操作しながらの運転を意味する「ながら運転」に対する罰則が強化されることになった。また、昨今ニュースとして取り上げられる頻度の多い「あおり運転」も、警察が“免許停止”ではなく”免許取り消し”への厳罰化を検討していると言われている。

いずれも交通安全を念頭に置いた罰則の強化だが、交通安全を推進するために動いているのはなにも政府や警察だけではない。自動車メーカー各社もまた交通安全に対する取り組みを行っている。

本田技研工業株式会社では、長年安全運転教育に取り組んでいる。その一環として今年は自動車のライトが当たると警察官と錯覚してしまうトートバッグ「まもってトート」を、都内の保育園などで無償配布した。

すると、この「まもってトート」が下記ツイートをきっかけに話題となった。

同社「まもってトート」企画チームの、広報部企業広報課の坂実沙子氏に詳しい話を伺った。

『魔の7歳』の危険性を伝えるためのきっかけづくり

坂氏は「まもってトート」を企画したきっかけを「私は来年小学校に入学する子どもがおり、一人で登下校が始まる前に、安全な道の歩き方を身に着けてくれるよう、出かける時は“とまる・みる・まつ”(交差点では必ず止まって、左右を確認して、クルマが来ていなければ渡る)という安全な道の歩き方を繰り返し教えていました。そんな中、社内で話をしている最中に、歩行中の死傷者数は7歳が突出して多いというデータを見て衝撃を受けました。“事故に気を付けなくては”と思っていましたが、ここまで7歳の事故が多いとは知らず、子どもの事故を減らすために何かできることはないだろうか、ご家庭での交通安全教育をもっともっとしていただけるようにしたい、ドライバーの皆さんには子どもを見かけたらもっと安全運転してもらえるようにしたいと考え始めました」と語る。

公益財団法人交通事故総合分析センターの統計によると、例えば2015年の7歳の死傷者数は約1400人で、これは成人(600人前後)の2倍以上の数で、80歳までの全年齢の中でもダントツの多さであり「魔の7歳」として広く注意が呼びかけられている。

「魔の7歳」の危険性を伝えるためには、単なる情報発信ではなかなか伝わらないと思ったという。そこで、興味をもってもらうためのきっかけが必要だと、チームで頭をひねったそうだ。「子どもの交通事故の特徴として、1年のうち日が暮れるのが早くなる10月に事故が多発する傾向があり、反射材を身に着けることが有効です。また、“最近運転していると、反射材をおまわりさんの制服の形に貼り付けた看板をよく見かけるよね。あれを見ると安全運転しなきゃと思う”という話もあり、それらがきっかけで、おまわりさんをモチーフにした“まもってトート”が生まれました」と話してくれた。警察官に錯覚してしまう秀逸なデザインもチームメンバーのアイデアだ。

ヒト・テクノロジー・コミュニケーションの3領域で交通安全を目指す

「親御さんからお子さまへ伝えていただきたい「大切な約束」」のサイトより
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「まもってトート」の公式サイトには、「つくりたいのは「事故に遭わない社会」。道を使うすべての人が安心して暮らせる社会をめざし、Hondaはクルマそのものだけでなく、さまざまな視点から「安全」を考えています」という文言がある。「事故に遭わない社会」を実現するために、「まもってトート」以外に同社が取り組まれていることを訊いてみた。すると、「交通社会に参加する全ての人の安全を守り、事故に遭わない社会を実現するために、“Safety for Everyone”をグローバルスローガンとして掲げ、ヒト・テクノロジー・コミュニケーションの3つの領域で取り組んでいます」との答えが返ってきた。

「まもってトート」だけでなく、小さな子どもがいる親に向けて「親御さんからお子さまへ伝えていただきたい「大切な約束」」には3つの約束が記載されている。これは歩行者サイドからの視点で、小学生に向けての事故回避策となっている。一方で、運転者サイドの事故回避策も、全国7カ所にあるHondaの交通教育センターで参加体験型の実践教育を行っており、「ながら運転」や「あおり運転」と同じく社会問題化している、高齢者ドライバーへの講習も積極的に実施しているという。

「まもってトート」の商品化も検討

ホンダの児童用交通安全プログラム「あやとりぃ ひよこ」の模様
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「まもってトート」が話題になった後、「取材依頼を複数いただきました。また、お客様からも販売してほしいとの声をいただております」という。商品化については、「検討しております。また、市販のトートバッグと反射テープで手作りすることもできますので、ぜひお子様と一緒に作ってみてください。作り方はまもってトートのウェブサイトに掲載させていただいております」とのこと。

「まもってトート」の作り方はホンダの公式サイトに掲載されている
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どれだけ注意して運転していても、ミスをしてしまうのが人間である。カメラ、センサー、AIなどを包括的に組み合わせた「事故を起こさない100%安全」な自動運転車が登場すれば問題解決となるのだろうが、技術力で知られる同社をもってしても、実用化までの道のりはまだ遠いのだろう。それまでは、人間に対する交通安全教育は必要不可欠なようだ。


肩にかけるおまわりさん まもってトート公式サイト

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