EVENT | 2019/10/11

LOFTでも大ヒット。キャラ弁が超簡単に作れてしまう「食べられるアート」開発元のフロンティア株式会社に訊く

©2018-2019 FRONTIER co.,ltd.
取材・文:6PAC

能崎真弥
龍谷大学政策...

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取材・文:6PAC

能崎真弥

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龍谷大学政策学部卒業後、フロンティア株式会社へ入社。同社で食べられるアートの開発に携わる。

テレビやSNSで情報が拡散、LOFTではすでにヒット商品の仲間入り


シリーズの中でも特に人気な「フェイス/ファニー」
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SNSが普及するに従って、“映える”ことを意識した「フードアート」が一般的にも認知されるようになった。野菜を使ったベジタブルアート、果物などを使ったカービング、エスプレッソなどのコーヒーの泡を使ったラテアート、パンケーキや普通のケーキを使ったケーキアート、キャラ弁など幅広いジャンルがある。

そうした時代背景を追い風に、大阪のフロンティア株式会社が2018年6月に発売したのが、「食べられるアート」というデコレーションフィルムだ。フィルムをキッチンバサミなどでカットし、食材に貼り付けるだけで簡単にキャラごはんが完成してしまう。フィルムの原料はトウモロコシや海藻由来のでんぷんや寒天で、フィルムに描かれた絵は食用インクで印刷されている。「食べられるアート」は、テレビやSNSで情報が拡散し、取り扱い店舗の1つであるLOFTなどではすでにヒット商品の仲間入りを果たしている。

元々、あぶらとり紙やレターセットといった、紙素材中心の製品を手掛けていた同社がどういった経緯で「食べられるアート」の発売に至ったのか、製品開発に携わった同社の能崎真弥氏に詳しい話を訊いた。

本業の紙製品で培った印刷技術を応用

能崎真弥氏
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約5年前から食品用資材の分野へ参入していた同社。紙製品で培った印刷技術を活かして、「食品分野で何か新しい事業が出来ないか」と考えたのが開発のきっかけだという。

ヒット商品となった「食べられるアート」はもちろんのこと、食パンにのせて焼くだけで、簡単にかわいいトーストが出来る「トーストアート」も好評を得ているという。「紙製品も食品も成熟した業界ではありますが、新しい角度からの提案で可能性はまだまだあると考えています」と語る。同氏の話を一通り伺った後、任天堂でゲーム開発に携わっていた故・横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」という言葉を思い出した。

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「食べられるアート」に限らず、消費者サイドは常に簡単・手軽・廉価といった要求をしてくるものだ。「食べられるアート」を開発した同社も、「可食フィルムや量産に対応出来るフードプリンターの開発には苦労しました。また、スーパーや食品問屋などと取引が無かったため、一から販路を築いていくのは大変でした」といった生みの苦しみを経験した。

「食べられるアート」には、サンリオとタイアップした「ハローキティ」や「ぐでたま」といったキャラクター商品、映画『今日も嫌がらせ弁当』とのコラボ商品、自社オリジナル商品の「フェイス/ファニー」といったラインアップを取り揃えている。1番の売れ筋は、「弊社オリジナルデザインだと“フェイス/ファニー”で、キャラクターだと“すみっコぐらし”です」とのこと。中でも、貼るだけで食べ物がキャラクター化されるフェイス柄は、消費者にとって使い勝手が良く、売れ行きもそれに比例しているという。

「食べられるアート」がヒットした理由は、簡単・手軽・廉価・映えといったところにあるのではないかと思い率直に訊いてみた。すると、「我々も手軽に可愛い料理ができ、写真映えするといったところがヒットした要因だと考えています。数年前から薬を飲む時などに使用するオブラートに、食紅や食用の竹炭パウダーで絵を描いた“オブラートアート”や、海苔を切ってキャラクターを表現する方法も流行っていますが、“道具を揃えるのが大変”、“細かい作業が苦手”、“時間がかかる”といった意見も見受けられました。食べられるアートは、忙しい方や細かい作業が苦手な方にも手に取っていただきやすい商品ですので、ヒットにつながったのではと思います」と説明してくれた。

需要増への準備は抜かりなく。海外展開も視野に


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「食べられるアート」は公式サイトでのオンライン販売には対応していない。リアル店舗では、全国の食品スーパー、LOFTや東急ハンズなどの雑貨店で購入可能となっている。また、オンラインではウルトラミックスや選食菜(せんやさい)のほか、取り扱い店舗のECサイトなどでも購入可能だ。

ヒット商品となった「食べられるアート」だが、同社では「まだまだ売れると予想しており、販売状況に合わせたオペレーションが可能な体制を組んでおります」と需要に対応できる準備は抜かりがない。また、「海外からのお問い合わせも多数いただいております。海外でもキャラクターモチーフのスイーツやご飯を作られている方が多く、食べ物へのデコレーション文化も盛んなので食べられるアートの需要はあると思います」とのことなので、近い将来の海外展開も視野に入れているようだ。

“映える”アイテムということで、消費者は思い思いのお弁当写真をSNSに投稿している。「想定外の使い方というよりは、パッケージに載っている料理をアレンジしてくださる方がとても多いです。特に“フェイス/ファニー”を使ったおにぎりの写真はとても人気で、1番投稿されています。おにぎりの形や頭に載せている食材で表情がガラっと変わって、オリジナリティが出るのが面白いですね」と話す。

「食べられるアート」を楽しんで使用している消費者からは、「作るのも食べるのも楽しい」、「見るだけですごい可愛くなるので、とても重宝しています」、「かわいい商品を作ってくれてありがとうございます」といった声が同社によく届くそうだ。「お子さまから大人の方まで楽しんでいただいているようで、このような声が開発の励みになっています」とのこと。

キャラクター関連グッズと言えばタイアップ商品がお約束だが、せ今後もタイアップの可能性は無限大だ。今後はどういったタイアップ商品を予定しているのか尋ねると、「具体的な予定はお伝え出来ませんが、さまざまな業種の企業様とタイアップ予定です」という。まだまだ面白い「食べられるアート」が登場してきそうだ。


「食べられるアート」公式サイト