CULTURE | 2019/09/30

愛猫家に朗報!猫も犬と同じように、飼い主に対して強い愛情を抱いていることが科学的に証明される

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文:佐郷顕
ペットとして代表的な動物である犬と猫。ペットフード協会の20...

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文:佐郷顕

ペットとして代表的な動物である犬と猫。ペットフード協会の2018年の調査によると、犬の飼育数は890万3000匹に対し猫は964万9000匹と、猫の飼育数が犬を上回っている。

しかし猫は気まぐれな性格である印象があり、犬と比べると飼い主への愛情が薄いと感じている人も多いのではないだろうか。

そんな中、アメリカの学術雑誌『Current Biology」に発表された、オレゴン州立大学の研究グループが実施した、猫の愛着行動に関する実験の研究結果が話題を呼んでいる。

猫を「愛着理論」の4つのパターンに分類

研究グループは、生後3カ月から8カ月までの猫79匹に次のような心理実験を行った。まず猫と飼い主を2分間同じ部屋で過ごしてもらう。その後、飼い主が部屋の外に出て、猫を2分間放置。再び飼い主が戻り、2分間猫と同じ部屋に過ごす。各段階における猫の鳴き声や行動から、猫のストレスの変化を計測し、「愛着理論」をもとに愛着パターンに分類した。

愛着理論とはイギリスの心理学者ジョン・ボウルヴィが提唱した科学理論で、人間が他人に示す愛着行動を「安定型」「不安定型」「回避型」「混乱型」の4つの愛着パターンに分類するというものだ。

かつて同グループは、人間の子どもや犬などを対象に同様の実験を行ったが、果たして猫の研究結果とどのような違いが出たのだろうか。

猫も人間の子どもや犬と同様の愛着行動

同グループは79匹の猫の内70匹の猫の愛着パターンの分類に成功。そのうち60%以上の猫が「安定型」に見られる振る舞いを示した。飼い主が部屋を去った時ストレス値が上昇したが、再会した後は健全な愛着行動をとったのだ。

一方、およそ30%の猫が安定ではない愛着行動をとった。飼い主と再会した後も依然としてストレス値が下がらず、飼い主に過剰な接触をする「不安定型」や、ほとんど近づこうとしない「回避型」、無秩序な行動をとる「混乱型」などに分類された。この割合は、過去の実験で示された人間の子供や犬の愛着行動の割合とほぼ一致しているという。

また、2カ月後に行われた同じ猫たちへの追跡実験や、1歳以上の猫38匹に対して行った対照実験においても、比較的同じような結果が得られた。

つまり猫は飼い主に対して愛情を抱いていることが証明されたのだ。多くの愛猫家にとって喜ばしい研究結果が、科学的に導かれた。