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長時間労働だけが正解じゃない。自分のレストランを持たない「起業家シェフ」が考える、SNS時代の働き方|田村浩二(Mr.CHEESECAKE)
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  • 2019.07.18
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長時間労働だけが正解じゃない。自分のレストランを持たない「起業家シェフ」が考える、SNS時代の働き方|田村浩二(Mr.CHEESECAKE)

毎週日・月のそれぞれ朝10時からのみ予約販売を行い、1本4000円弱という決して安い価格ではないにも関わらず、現在でも即完売が続いている人気のチーズケーキ「Mr.CHEESECAKE」。

同ブランドを立ち上げた田村浩二氏は、これまでフレンチのシェフを目指して修行を重ね、彼の師匠たちがそうしてきたように、レシピ本の出版や食品のプロデュースなど、さまざまな展開を模索してきた。そうした流れで始めたブログやSNSで火がつきMr.CHEESECAKEが誕生したことから、いわゆる「ネットのバズをビジネスに昇華させた、イケてる起業家」の一人のようにも見える。だが田村氏はあくまでも“職人”であり続けながら、「心から美味しいと思えるものをより多くの人に届けること」をいかに実現させるかを考え続けていると語る。

現在、Mr.CHEESECAKEの人気があまりにも急激に上昇してしまったことから、生産体制を強化する設備投資を目的としたクラウドファンディングをMakuakeにて実施している(7月29日まで)同氏に、新しい時代のシェフの働き方、キャリアの考え方をうかがった。

聞き手・文・写真:神保勇揮 構成:平田提

田村浩二

2006年 調理師専門学校卒業後、乃木坂「レストランFEU」 2007年 六本木「エディション・コウジ シモムラ」ミシュラン二ツ星 2009年 都内イタリア料理店 2011年 表参道「L'AS」 2015年 渡仏。南仏「ミラズール」現ミシュラン三ツ星、World50世界1位、パリ「Restaurant ES」 2016年 帰国。TIRPSE入店。2017年 1月現店シェフ就任。世界のベストレストランランキング『World50best』でDiscovery series アジア部門選出 18年レストランガイドブック『ゴーエミヨジャポン2018』期待の若手シェフ賞受賞。2018年独立、Mr.CHEESECAKEを立ち上げる。

レストラン以外の活動もするのが当たり前だった

― ― 学生時代はずっと野球部で、それからシェフを目指されたんですね。

田村:そうですね。調理師専門学校卒業後にいくつかのお店で働いた後フランスに修行に行き、2016年に日本に帰ってきました。本格的にシェフになったのは翌年からですね。TIRPSE(ティルプス)というお店で2年働いて、その間にもアロマティーの「L'Aromatisane(アロマティザン)」を出したり、高付加価値食品のプロデュース会社「dot science(ドットサイエンス)」を立ち上げに参加したりしました。dot scienceではバラのアイスクリーム「FRAGLACE Rose」のプロデュースを手がけたりしていますし、肉じゃがとチーズケーキのレシピ本をそれぞれ出版したりもしています。

dot scienceがプロデュース・販売する食品シリーズのひとつ「アタラシイヒモノ」。明治10年創業の老舗干物屋「魚伝」の魚を、田村氏がフレンチのアレンジで味付けしてパッケージ。公式サイトでは時短・お手軽・おしゃれをコンセプトにしたレシピも多数掲載している。写真は「金目鯛の干物」を南フランス風にリデザインした「金目鯛 ハーブ&ガーリック」で、価格は大2700円(税込)、小1944円(税込)となっている。

― ―  いちレストランのシェフに留まらない、多彩なお仕事をされてますよね。

田村:僕が今まで働いてきたお店のシェフは、みんなレストラン以外の仕事もしていたので、それが普通だったんです。最初に働いたお店「EdiTion Koji Shimomura(エディション・コウジ シモムラ)」のシェフは、若い時にマクドナルドのアドバイザーをやっていたり、シェフになった後も無印良品のスープの監修に入っていました。次に働いたイタリアンのシェフはテレビの料理教室に出てゲストの人と一緒に料理を作る仕事をしていたり、フランスに行く直前には「L'AS(ラス)」というお店で働いていたんですけど、このシェフはレストランと別にデリカテッセンのテイクアウトのお店をやっているんです。

自分がシェフになる前も、パリから日本に帰ってくる時も、レストラン以外でも自分の能力を発揮してできることが何かないかなと常に考えてきました。特別に副業をやろうと思ったわけではなく、それが当たり前の流れでしたね。

―― レストランのシェフとして働く以外の時間って、どういう風に捻出していたんですか?

田村:単純に寝ないということです(笑)。あと僕は自分しかできない仕事には価値がないと思っていて、技術的なことはスタッフに教え込むというか。なので、最終的なチェックと味を作る部分は自分でやりますが、それ以外はほぼ任せるようにしていたので、そんなに自分のタスクで追われる環境にならないようにしていたのはありますね。あと、調理って「玉ねぎをひたすら千切りにする」みたいな単純作業も結構あるんですけど、そういう時は別のことを考えたりもしています。

あとはやりたいことがあると寝ずにできるタイプなので、睡眠時間が短くてもそんなに苦じゃないというか、仕事だけが趣味という感じでお酒もそんなに飲まないから友達と飲みに行くこともないですし、一般の人が自分の時間に充てたい部分を僕は全部自分の仕事に充ててきたというか。

自分の原体験を見つめ直して生まれたMr.CHEESECAKE

― ― Mr.CHEESECAKEの会社を立ち上げたのは、どういう経緯だったんですか?

田村:『Gault&Millau(ゴ・エ・ミヨ)』というガイドブックの2018年版で、「期待の若手シェフ賞」をいただきました。それまでミシュランの星を欲しいと思ってやってきたんですけど、賞を取った後って、お客さまの層が変わるんです。そういう情報に敏感な人とか、食通みたいな人が来るようになって。

― ― 「どれどれ見てみるか」みたいな感じですね。

田村:僕はそれに少し違和感があって。賞を取る前も取った後も、僕という人間は何一つ変わらないのに、来る人も評価も変わる。結局、お皿の上じゃなくて作っている人の上に何が乗っかっているのかを見ているんだと思ったら、すごく馬鹿らしくなってしまって。

もともと高校の親友たちにケーキを作って喜んでくれた経験が、自分が料理人になりたいと思う原体験だったので、そこからちょっとズレてきていると思ったんです。ガストロノミーの料理は分かる人には良いけど、分からない人には比較対象もないし、どれくらいおいしいかが分かりにくい。 誰が食べてもおいしい、みんなが分かるものを作りたいと思ったんです。

僕はチーズケーキが大好きなんですが、おいしいと思う市販のものがあまりなかったので、2018年の2、3月ぐらいに自分でちょこちょこと試作を始めました。4月ぐらいにこれは自信作だと思えるものができたので、Instagramのストーリーに載せたら、「食べたいんだけど、どうしたらいい?」という連絡が5、6件いきなり来て。多くは当時のレストランのお客さまがフォローしてくれていたんですが「ではこんな値段になりますけれどいいですか?」という感じで販売してみました。

― ― なるほど。試作品にいきなり反応があったんですね。

田村:そうですね。買っていただいた一人が食べ歩きをよくされている方で、12、3人で集まる花見の会にデザートとして持っていかれて、そこで食べた女性が田中麻衣さんという、高校生ぐらいからブログを8年、9年やっているインフルエンサーの方で。田中さんがブログに上げてくれたら、それを読んだ200人ぐらい若い女の子たちが、僕のInstagramを一斉にフォローしてくれて。

あとでまた詳しくお話ししますが、もうこれは個人レベルでは対応しきれなくなってきたなということで会社を立ち上げ、今回設備投資のためのクラウドファンディングを実施しています。

― ― それはすごいですね。

田村:2017年末に賞を取った後からTwitternoteを真面目にやり始めたんですが、2018年の4月ぐらいまでは鳴かず飛ばずで、フォロワーも30人ぐらいしかいなかったんです。でも、いろいろ考えながらツイートしていったら徐々に増えてきて、5月に入ったころには1000人ぐらいになっていました。Twitterを見てチーズケーキを買ってくれる方も増えて、あるときエルメスさんというフォロワーが7万人近くいる方がツイートしてくれたらさらに売れ出して、200本ぐらい一気に売れたんです。

その後、ヨーグルトにドライマンゴーを刺すとおいしくなるというツイートがバズって、フォロワーが一気に1万ぐらい増えました。Mr.CHEESECAKEも同時に拡散されて認知が広がり……とラッキーがどんどん重なっていった感じです。

―― すごい! ただ急に売れ出すと生産がなかなか大変そうですね。

田村:当時は制限なく、いつでも買えるようにしていたんです。最初は振込先や送付先のやりとりなんかも全部DMでやって、1本4000円で200本ぐらい販売しました。生産はもちろん、梱包や発送も全部自分でしてたんですが、既存の仕事をこなしながら睡眠時間を削って対応していたのでさすがに厳しくなり、知り合いに相談したらECサービスのBASE(ベイス)を紹介してくれて。すぐに戦場をBASEに移し、そこからの3カ月でひと月200万円ずつぐらい売りました。

― ― ラッキーとおっしゃいましたが、本当にいいものを作っていたら発見されたって感じですよね。

田村:それまでにノンアルコール飲料やアイスを作ってはいましたが、ちょっと尖り過ぎていたところもあったんです。一般ウケしないし、数字は伸びていなかった。だから、より誰もが知っていて分かりやすいものを、誰よりもおいしく作ろうとしたんだと思います。最初にチーズケーキを作ろうとやっていたらうまくいっていなかったかもしれない。そういう意味で、ずっと考えながらチャレンジしてきたのは良かったなと思います。

すごいことを分かりやすく伝えることに価値がある

― ― 田村さんはこれまでどちらかというと高級志向のレストランにおられたわけですよね。そこから広く受け入れられる「分かりやすいもの」を目指されたことについて、もう少し詳しく教えてください。

田村:今のレストランシーンを見た時に、10年後どうなるか全く読めないし、10年後も分かる人にしか分からないことを続けた時、ネガティブ要素のほうが多いと感じたんですね。自分が作ったもののおいしさが分かりやすい方が可能性があると思ったのと、難しいことを難しくではなく、よりシンプルな強いメッセージとして届けられる方が、情報がこれだけ溢れている時代には刺さるのではないかと。

「何となくすごい」とか「何となくおいしそう」は、見た目と情報量だけで戦えますが、それを本当においしいと思わせる作業の方が僕にとっては難しいと思うし、「おいしかったけど、具体的にどうおいしかったかよく分からないもの」は人に説明しにくくて、伝えたくならない。

みんなが知ってるチーズケーキだけど、めっちゃおいしいんだよと言われても、聞いた相手は「でもチーズケーキでしょう、食べないと分からないんだよ」という口コミの広がり方がすごく今っぽいとも思って。

― ― なるほど。

田村:あとはマウンティングをしたくないと思ったんです。「この良さが分からないなら、まだまだですね」みたいな空気感がすごく嫌で。

シェフたちもお客さんに対してわざわざフランス語で説明したりするんです。「このお魚料理は~」と言えばいいのに「このPoisson(ポワソン)は~」と言うと、すごく伝わりにくいじゃないですか。

― ― 確かに。

田村:自分たちのコミュニティでは常識でも、相手にとっては常識じゃないかもしれないと理解できていない時点で、僕は駄目じゃないかと思う。すごいことをやって、さらにそれを相手に分かりやすく届けることに僕は価値があると思って、こういうシンプルなものを作るようになったんだと思うんです。

僕はおいしいものを作ることをゴールにはしていません。それを食べた人がどう思うかとか、それを食べてもらって世の中がどう変わるかをゴールにしているので、料理はあくまでも手段でしかない。だからこそ伝え方も考えないといけないし、それをどう広めていくかも考えなければいけない。作ったら終わりではなく、いろいろな人に知ってもらって初めて意味があるのだから、そこまで設計しないといけないと思ってやっています。

自分自身を客観的にプロデュースすること

― ― 「良いプロダクトができた、買ってくれたお客さんの評判も良い」となっても、さらに“売れる”ためにはもうひとつ要素が必要なんじゃないかという気が最近しているんです。作っている人にこんな過去や思いがあってこれをミッションとして掲げている、ということをアピールして、だから皆応援したくなるんだというストーリーテリングの重要性がどんどん大きくなっているんじゃないかというか。

田村:時代がそういう流れになっているので、ある程度はSNSをやったり、自分でメディアに出たりしていろいろやるのも大事だと思います。ただそれは自分の作ってきたものをより人に知ってもらうためにやっているだけで、インフルエンサーになりたいわけではないです。「誰々が作ったからおいしい」ではなくて「このおいしいのは誰々が作っていたんだ」という順番の方が僕は正しいと思う。

誰々が作ったからおいしい・売れる、そういう観点で仕事を依頼してくる人もいます。僕が作るチーズケーキを広めるために僕自身が前に出るのはいいんですが、自分をインフルエンサー的に押し上げて「何をやっても固定ファンに売れる」みたいな状態にはしたくないし、田村浩二という名前ではなくて、自分の技術で作った商品が世に出てほしいという思いの方がすごく強いです。

― ― 田村さんはご自身を客観的な目線でプロデュースしているという感覚はありますか?

田村:基本的には「これをやったらいい」と思ったことをやっているだけですが、このメディアに出た方がいいのか迷うこともあります。職人としての自分は出たくないと思うこともある。でも、客観的に田村浩二を見た時に、いやいや、使えるものは全部使った方がいい、出た方がいいよ、と自分が田村浩二のマネジャーだったときにどうしたらいいかはすごく考えます。

「レストランを開く」以外の選択肢を用意する重要性

― ― 田村さんはご自身もプレーヤーですが、経営者的な考え方も同時に持たれていますよね。長い修業を経て、名前の出るいちプレーヤーとして料理を作ることも楽しくなってきた時期なのではないかとも思うのですが、「自分が作るから良い料理になるんだ」という考え方に留まらないのがすごいと思うんです。

田村:もっと料理人は視野を広げた方がいいんじゃない?と思っていて。僕は数字が好きで、レシピも全部数字に落とし込んだりマニュアルも作り込んだりするタイプなので、僕がいなくても再現性高く商品を作れるのが僕の一番強いところなんじゃないかと思っています。

―― 田村さんのような活動はこれまでの場合、レストランの、一国一城の主によるプラスアルファの活動、という位置付けが強かったと思うんですが、田村さんの場合はガチの職人でありながらあえて“自分の城”を持っていない、新しいスタイルなんじゃないかという気がします。

田村:フードテックの業界もそうですけど、食の業界をどうにかしようとしているスタートアップ界隈に料理人があまりいないんです。でも、どう考えてもそういう人が関わった方がより良いものができるわけじゃないですか。自分と同じことをできる人が増えた方が自分の仕事は軽くなるし、業界も成長する。僕はそっちの方が未来があると思っています。

飲食業界は、ミシュランとかThe World's 50とか外的評価を頼みの綱にしてみんな生きているから、もっと自分の評価で生きた方が楽じゃない?とか、職人でもない人たちの外的な評価に一喜一憂するの?ということを、賞を取った後により強く思ったので。

― ― それで働き方も変わったんですか?

田村:自分が目指す幸せな人生を歩むにはどうしたらいいかを僕はすごく考えます。レストランで長時間働いていたら、結婚して子供ができても家族の時間もなくなりそう。ひたすら働き続ける人生は僕にとってハッピーではないと思いました。今年で34歳になるんですけど、これから44歳ぐらいまでの一番良い10年間をレストランに捧げて、果たしてその先に未来があるのかと考えると、あまり描けなかった。

だったら、ゼロになって失敗するかもしれないけど、さらに可能性のある業界に足を踏み入れた方がいいんじゃないかと思って、独立してチーズケーキをメインの事業にし、いろいろなことをやっているんです。

― ― それは一方で「いち店舗でやるにはもうこれ以上は無理かも」と思えるまでやりきって初めて見えたことですか?

田村:そうですね。それまで、シェフは独立してオーナーシェフになるのが一つのゴールという流れがありましたし僕もそう思っていたんですが、本当にそれがゴールかなと思ったんです。これだけお店があるのに出店してどれだけ戦えるか、分からないじゃないですか。お店を持たないシェフ、フリーランス的な働き方をするシェフがいてもいいと思ったんです。Twitterもフォロワーが増えたり、noteの有料マガジンを始めてうまくいきそうな気配もあったので、とりあえず死ぬことはないなと思ったので踏み切りました。

あとは勝手に回るビジネスを持っている方がいい、先にビジネスを作って、その上で改めてレストランをやりたいと思えばやればいいとも考えました。そしたら、いつでも辞められるじゃないですか。でも、レストランだけでは、レストランを辞める選択肢を持てないのがすごくヘルシーではないと思ったんです。

― ― 未来に悩むシェフの人たちは、どういうことからやっていけばいいと思いますか?

田村:「とりあえずSNSをやれば?」と言いたいです。やっている人がほとんどいないので、自分のことを知ってもらう、自分のファンを増やす上でプラスになると思います。レストランは客単価と客数と営業日数で上限が決まってしまう、売上を減らさない戦いなんです。伸ばすものがないので、上に伸びる事業を考えた方がいい。それにシェフたちは技術があるんだから、それを再現できる商品、レシピとスキームを作って物販をやる方がプラスアルファの売上を伸ばせると思います。

ファンが応援してくれたクラウドファンディング

Makuakeでのクラウドファンディング募集ページ。リターンにはMakuake限定フレーバーもあり、欲しいタイミングでいつも完売、という悔しい思いをしていた人も確実に入手できるチャンスだ

― ― Makuakeで実施中のクラウドファンディングは、チーズケーキの本腰を入れた生産体制の確保のために始められたんでしょうか?

田村:はい。調達したお金で大きな急速冷凍機を買います。製造本数が増えてきて作業効率が上がらなくなり、どうしてもスタッフの労働環境がキツくなっていて、これは良くないと考えました。基本的に1日8時間の土日祝日休みという前提で会社をやっていこうと思っているので、設備投資ができるとスタッフもハッピーだし製造数も増えてお客さんもハッピー。ということでクラウドファンディングをやってみたら、思ったよりもMr.CHEESECAKEのファンの方が多くいてくれたようでありがたいです。

―― ちなみに、1本のチーズケーキを作るのに、どれぐらい時間がかかるんですか。

田村:冷凍して型を抜いて梱包して配送できる状態にするまでに4時間、5時間ぐらいです。冷蔵庫に入れてからの時間が長いんですけど、作って焼くまでで1時間半ぐらい、オーブンに1時間入るので。そこから2時間か2時間半ぐらい冷やして型に入れて梱包、みたいな感じです。

初期のころはオーブンの関係で同時に16本しか焼けなかったので、週に5日間焼いて80本渡せればいいかなと思っていたんです。でも、あまりにも注文が多くなってきたので1日に32本を作るようにして、5日間で150本ぐらい作れるようにして。

―― 単純に作業時間を増やしたということですか?

田村:はい。一人のころは本当に心が折れそうになりました。

― ― それは本当にキツいですね…取材時点だと、もうすぐ目標金額の10倍、2000万円に到達しそうです。

田村:そうなんです。こんなに喜んでくれる人がいたんだ、という感じでした。パトロンみたいな人がいて、規模が大きい金額を購入してもらって一気に数字を伸ばすとか、クラウドファンディングに挑戦するときはある程度仕込みをする人も多いんですよ。僕にはそういう人がいなかったので、知り合いに少しだけ伝えて動かしてみたら、それ以外にも、Mr.CHEESECAKEを購入してくれた皆さんが盛り上がってくれて、一気に数字がばっと伸びて……驚きました。

「トーキョーチーズケーキ」というカテゴリーを作りたい

― ― 今後の展開について教えてください。

田村:とりあえず今はチーズケーキを多くの人に知ってもらうようにしたいですね。バスクやニューヨークのように、「トーキョーチーズケーキ」というカテゴリーを作りたい。そのためにパリとニューヨークで、とりあえずポップアップストアでもいいので何かイベントをやりたいです。日本での認知もですが、それよりも早めに世界に持って行きたい気持ちもあるので、今後それを進めていきたいと思います。

― ― 常設の店舗も作っていくんですか?

田村:都内に1店舗作ろうと思っていますが、単純にチーズケーキを販売する場所というより、コミュニティのような場所にしたいと思っています。そこでしか食べられない焼き菓子も作れると人が来る理由にもなるし、人の流れも変わるかな、とかいろいろ考えています。

あと、生産者と消費者をうまくつなげたいので、そういうことを気兼ねなくできるように、ある程度のお金を貯めたり資金調達したりしてきたいです。そのためにも、まずはMr.CHEESECAKEをできるだけ多くの人に知ってもらえるよう、成長させていきたいと思います。


Mr.CHEESECAKE

Makuakeでのクラウドファンディング募集ページ

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