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「骨髄を提供する意思がなくなったのなら、ドナー登録を解除してほしい」白血病患者の嘆きに反響
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  • 2019.07.10
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「骨髄を提供する意思がなくなったのなら、ドナー登録を解除してほしい」白血病患者の嘆きに反響

Photo By Shutterstock

文:岩見旦

今年2月、競泳女子の池江璃花子選手が白血病であると公表したことを受け、治療法のひとつである骨髄移植への関心が高まっている。

日本骨髄バンクのドナー登録者数は、今年1月が2888人だったのに対し、今年2月は1万1662人と急増。現在の登録者数は50万人を上回っている。しかしその一方、意外な弊害も起きているようだ。

白血病患者の投稿が8万9000リツイート

今月5日、急性白血病であり、骨髄提供を待っているという女性がTwitterを更新。池江選手の告白の影響でドナー登録者数が増加したものの、実際に登録した人が候補になると「皆さんそこまでの覚悟はないようで、断られ続けています」と投稿した。

骨髄バンクでは、ドナー登録者と患者の白血球の型が適合すると、お知らせの書類が届く仕組みになっているが、この書類は決められた人数までしか出せない上、書類でのやり取りのため、非常に時間が掛かるという。

女性は「どうか骨髄を提供する意思がないのであれば、登録を解除してください。もしくは、意思のない旨をすぐさま返信してください」と訴えた。女性の身体は刻一刻を悪化しており、「生きる邪魔を、未来を望む邪魔をしないでください。ミーハーで殺されたくありません」と嘆いた。

投稿されたこのツイートは8万9000件のリツイートを記録。「やりきれないな」「ドナーについてしっかり知ってから登録してほしい」「いざ自分が選ばれると怖いもの」といった声が寄せられた。

ドナーが背負う骨髄移植のリスク

現在の骨髄移植の流れはこうだ。お知らせの書類が届いたドナー登録者は、提供の意思を返信。すると、確認検査、最終同意が行われる。その後、通常3泊4日程度の入院をし、全身麻酔をした上で腰の骨から骨髄液を採取する。

もちろん手術であるため、ドナーは100%安全というわけではない。麻酔が覚めた後の痛みは通常1〜7日で消えるが、まれに1カ月以上残る場合もある。年に数例ではあるものの、しびれ感や違和感など、知覚的な問題が長く続き、保険金が支給されたケースがある。また、入院のために1週間程度、仕事や学校を休む必要が出てくる。

このようなリスクに備えるため、骨髄バンクでは退院後も体調確認や健康診断といったフォローを行っている。また、万が一の事故に備えて「骨髄バンク団体傷害保険」に加入しており、最高1億円の補償が用意されている。さらに、ドナーの経済的な負担をサポートするため、全国230以上の地区町村では、骨髄バンクを介したドナーに対し、助成金を支給する制度が導入する取り組みを行っている。

大手術をする割に、金銭的な見返りがほとんどないドナー。現状、社会のバックアップ体制が整っているとは言い難い。骨髄移植に対する理解が、少しでも世間に広まってほしい。


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