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BUSINESS | 2024/03/12

地域と密着し、研究開発と人材育成とを一体化して行うことで社会実装につなげる地域産業特化型研究センター

愛媛大学 社会連携推進機構

FINDERS編集部

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経済産業省では、長期的・持続的な日本経済の発展のため、大学や、高専等の機関を中心とした研究拠点より、企業ネットワークのハブとして活躍している産学連携拠点を評価・選抜 (国際展開型と地域貢献型の2類型) する 「J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜事業」 を令和2年度より行っている。

令和5年度についても、令和5年6月27日から7月31日までの公募期間中、19件の申請があり、第5回目として新たに国際展開型3拠点、地域貢献型7拠点が選抜された。

本連載では、新たに選抜された拠点とその研究内容等を紹介する。

Jイノベ 地域オープンイノベーション拠点選抜制度

J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜制度 地域貢献型拠点~愛媛大学 社会連携推進機構

愛媛大学は、地域貢献型の大学として、変容する社会や地域のニーズに応える役割を担っている。その中心となって活動しているのが、愛媛大学 社会連携推進機構だ。地域の永続的な発展に貢献するために、愛媛大学の持つ教育と研究の強みや特色を最大限活用し、「地域とともに新しい価値を創出し、それを利活用する」 という方針のもとで果敢な取り組みを展開している。

具体的には、愛媛県内全20市町を含む公的機関と、23の企業・諸団体との間に連携協力協定を締結、ネットワークを構築した上で14のセンターを設置し、産学連携と地域連携の双核的な機能を持たせ、社会連携体制の整備と拡充を進めている。

「愛大方式」 による地域密着型の地域連携

愛媛大学では、地域連携として 「地域密着型センター」 と総称するセンター群を愛媛県内の必要な地域に設置する 「愛大方式」 と呼ばれる方式で多面的な活動を進めている。

愛媛県の主要な産業である紙産業に関しては、四国中央市に 「紙産業イノベーションセンター」を設置し、鉄の5分の1の軽さで強度が5倍というセルロースナノファイバーの研究や高機能紙の開発を行っている。また、水産業が盛んな愛南町には 「南予水産研究センター」 を設置し、次世代養殖システムを開発して地域産業や自治体等のステークホルダーと連携。さらに、地域農業振興に貢献する 「植物工場研究センター」や機能性食品の開発をすすめる 「食品健康機能研究センター」 でも、大学が持つ研究成果の社会実装を推進している。

これらの研究センターでは、教職員と学生がそれぞれの地域に定住し、地場産業と密に連携して地域産業特化型研究センターとして研究開発、社会実装、産業人材の育成を一体的に進めているのが特徴だ。すでに地域密着型の研究センターとして成果を上げており、愛媛大学の地域連携の取組は、「“その地域の賑わい”=“まちづくり”にもつなげることで、地域活性化に貢献」しているという。

愛媛大学 社会連携推進機構における 「地域産業特化型拠点」 の機能

地域産業特化型研究センターの連携による社会課題の解決

愛媛大学社会連携推進機構の地域産業特化型研究センターである 「紙産業イノベーションセンター」、「南予水産研究センター」、「植物工場研究センター」 は、それぞれが単独で活動をしているだけではない。農学系の分野を中心に深く連携し、共通の社会課題の解決に向けても取り組みを共にしている。いわゆる“3きょうだい”とも言える研究センターは、例えば、マイクロプラスチックの問題では、漁港で使う発泡スチロールの代替として、紙産業イノベーションセンターで耐水性ダンボールを開発、南予水産研究センターで漁港と連携し鮮度分析等を実施。また、植物工場研究センターと紙産業イノベーションセンターが連携して生分解性でできる農業資材の開発も行っている。

社会連携推進機構は、このように“3きょうだい”の研究センターが先頭に立って連携し、地域にこだわり、各地域のポテンシャルを引き出す取り組みを行うことで、県全体のモチベーションUPに貢献している。

社会課題に対応した各センターの主な研究テーマ
紙産業イノベーションセンター (四国中央市)
南予水産研究センター (愛南町)
植物工場研究センター(宇和島市)

地域のネットワークの“ハブ”へ

今回のJ-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点の選抜にあたり、愛媛大学 社会連携推進機構長の若林良和は、「高度な研究力を有する大学には、産業界とこれまで以上に連携し、質の高い研究成果を生みながら、それらを源泉とするイノベーションを創出する役割もあり、社会から注目が集まっています。現在の社会連携推進機構は、産学連携と地域連携の双核的な機能を果たしていますが、今後益々の“まち・ひと・しごと創生”に貢献できる地域産業イノベーションを創出する機能強化を目指し、組織の体制強化を行う予定です。研究の成果によって産業に新技術や製品を生み出し、さらに、社会や市場に好循環を及ぼすこと、すなわち“イノベーション創出”に対して、当拠点が中心的な役割を果たし、地域の企業等とのネットワークの“ハブ”として機能強化を図ります。」と、コメントを寄せている。

愛媛大学 社会連携推進機構長の若林良和

愛媛大学 社会連携推進機構


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