劇場発のプロダクションが、国際的に知られるパフォーマンス集団と手を組む理由
「イベントに芸人を呼びたい」「商品をタレントと一緒に盛り上げたい」——企業からのそうした相談を日々受け止めてきた劇場が、キャスティングの仕組みそのものを事業化しようとしている。東京都板橋区大山で劇場「板橋シアター咲」を運営する咲ネクスト株式会社は、パフォーマンス集団「電撃ネットワーク」とキャスティング・イベント領域での協業を開始したと発表した。
電撃ネットワークは1990年に結成され、海外では「TOKYO SHOCK BOYS」の名でも知られるパフォーマンス集団である。身体を張った独自性の高いパフォーマンスを武器に、国内外のイベントやメディアで長年活動を続けてきた。今回の協業では、企業・自治体・商業施設等のイベントへのキャスティングを中心に、双方の強みを生かした企画やコンテンツ制作についても検討していくという。
注目したいのは、この協業が所属契約ではないという点だ。咲ネクストと電撃ネットワークは、それぞれ独立した活動基盤を持ちながら、必要な部分で連携する「協業」というかたちを選んでいる。専属所属という従来型の関係に縛られない座組みは、企業と芸能人・パフォーマーが組む際の一つの選択肢として、今後増えていく可能性がある。
咲ネクストは劇場運営やプロダクション事業と並行して、2つの自社サービスを展開している。一つは、企業が無料でプレスリリースを配信できる「Zero Press」。もう一つは、企業とお笑い芸人・タレント・インフルエンサー・アーティストをつなぐキャスティングサービス「NEXT CAST」である。NEXT CASTでは、タレントごとに対応可能な媒体や活動内容、NG事項をあらかじめ確認したうえで、企業側から直接キャスティングを依頼したり、案件を公開してタレントを募集したりできる。
同社が目指すのは、「発信する」「人に届ける」「タレントとつながる」「企画を実現する」という一連の流れを分断せずに提供することだ。Zero Pressで企業の情報発信を担い、そこからSNSやプロモーションでの芸人・タレントの起用へつなげ、NEXT CASTで具体的なキャスティングへ落とし込む。オンラインだけでは完結しない企画については、劇場「板橋シアター咲」というリアルな場やイベント運営機能で受け止めるという設計である。
代表取締役の西田 幸貴氏は「Zero Pressで企業の発信を支え、NEXT CASTで企業とタレントをつなぎ、さらに劇場やイベントというリアルな場まで持っている。この一連の仕組みを生かして、単なる『出演依頼』を超えた面白い企画をたくさん生み出していきたい」とコメントしている。芸人やアーティストが持つ知名度や表現力を、舞台やライブに限らない収益機会につなげる「エンターテインメント・ライツ事業」を今後強化する方針であり、電撃ネットワークとの協業はその足がかりの一つに位置づけられている。
単発の出演依頼にとどまらず、企画段階から芸人・アーティストと組める窓口を持つという点は、プロモーションの切り口に悩む企業にとって新しい選択肢になり得る。芸人やアーティスト側にとっても、舞台やライブに限らない活動機会が広がる仕組みとして、今後の展開に注目したい。
咲ネクスト株式会社
https://theater-saki.com/