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BUSINESS | 2024/03/15

さまざまな分野の研究者が在籍し、ニーズオリエンテッドな宇宙開発プロジェクトを遂行する国際的研究開発拠点

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンター

FINDERS編集部

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経済産業省では、長期的・持続的な日本経済の発展のため、大学や、高専等の機関を中心とした研究拠点より、企業ネットワークのハブとして活躍している産学連携拠点を評価・選抜 (国際展開型と地域貢献型の2類型) する 「J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜事業」 を令和2年度より行っている。

令和5年度についても、令和5年6月27日から7月31日までの公募期間中、19件の申請があり、第5回目として新たに国際展開型3拠点、地域貢献型7拠点が選抜された。

本連載では、新たに選抜された拠点とその研究内容等を紹介する。

Jイノベ 地域オープンイノベーション拠点選抜制度

J-Innovation HUB 地域オープンイノベーション拠点選抜制度 国際展開型拠点~北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンター

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターは、宇宙・惑星の探査や地球の観測を目的とする「ミッション」を立案し、それらを達成するためのミッション機器を開発し、さらに自分たちの手で衛星等を運用してミッションを遂行する組織である。

ミッションを最優先に考え、宇宙ミッションの創造を支援する研究開発拠点

従来、日本における宇宙開発は、最初にミッション機器を輸送するロケットや衛星を開発し、次に搭載機器の開発、そして最後にミッションといった順に仕様などが決定されるシーズオリエンテッドな開発が一般的であった。しかし、北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターでは、まずミッションを最優先に考えるニーズオリエンテッドなプロジェクト遂行を行う全国的にもユニークな研究開発拠点である。

その背景としては、北海道大学には、衛星や探査機の観測データを用いて研究を行っている理学・農学・水産学などのフィールドサイエンスの研究者と、衛星・探査機・ロケットの研究を行っている工学系の研究者の双方が数多く在籍している世界でも有数の大学のひとつであることが挙げられる。そのため、北海道大学 創成研究機構には、ボトムアップで宇宙ミッションを立ち上げるために必要な人材・知識・経験を豊富に有している。また、同機構には、既存の研究分野を超えて宇宙理工学に関する研究や、人材育成を支援する宇宙理工学推進室もある。

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターは、そのような北海道大学の研究者ネットワークを活用し、宇宙理工学推進室と連携しながら、宇宙ミッションの創造を支援する組織となることを目指している。

ニーズオリエンテッドなプロジェクト遂行を行う北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンター

宇宙ソリューションの実現に向けた施設・設備や、国際的な人材育成の取り組み

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターは、宇宙開発における民間移行、宇宙機の小型化や低価格化といった世界的な潮流の中で、機器開発からデータ解析までを包括する宇宙ソリューションを実現する拠点である。宇宙ソリューションの提供だけではなく、特徴のある施設・設備を有し、人材育成にも力を入れている。

施設・設備の特徴について触れると、推進系の開発では、地上燃焼スタンドと高空燃焼試験設備(共に定格推力1kN, この規模の高空燃焼試験設備としては国内唯一)を保有し、衛星の開発では、熱真空チェンバー、温度槽、光学積分球、クリーンベンチ、振動試験装置を保有している。衛星の管制は、国内外の地上送受信設備(仙台・函館・スウェーデン・フィリピン)を運用して行っている。

一方、宇宙における国際開発を目指す「アジアマイクロサテライトコンソーシアム」(AMC)の参画国を中心に、東南アジア各国(9か国16機関)と技術や目的を共有しており、各国の30歳代以下の若手開発者10数名が同センターに在籍、大学やスピンオフ企業にて研究開発と教育指導を受け、宇宙開発に携わっている。

また、他大学も協力している教育研究体制(エフキューブ:f3)と連携、企業からの講義提供、開発現場体験、fSTEP(f3 Student Technical-project Education Program)によるプロジェクト定義/管理の実習等を通じシステム工学の思考様式を身に付ける場についても提供している。

研究室の様子 ©︎北大/東北大

小型衛星による宇宙ソリューションなど、社会実装に向けた取り組み

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターの社会実装に向けた取り組みとしては、小型衛星による宇宙ソリューション事業などが挙げられる。小型衛星に搭載したカメラからのデータを取得し、リモートセンシングによる異常気象の予測、農業における収量予測や害虫対策、感染対策、森林計測による大規模山火事(Wildfire)の早期発見等に活用している。

また、自国の衛星だけでなく、各国の衛星をネットワーク化することで、世界中のデータをリアルタイムで活用するため、日本主導での衛星利用のプラットフォームの構築についても働きかけている。

小型衛星によるリモートセンシング ©︎Phil-Microsat

今後の展望〜アカデミアからビジネスまで拡張

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターの高橋幸弘センター長によると、今後の活動について、以下のようにコメントしている。「アカデミアからビジネスまで拡張した活動を展開します。ハイブリッドエンジンの量産、リモートセンシングによる農業・環境などの情報サービスを基盤に製造から解析までをカバーする世界随一の国際拠点を目指します。そして、世界初の宇宙ソリューション拠点「一般社団法人 北海道広域宇宙センター(仮称)」を設立します。」

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンターの高橋幸弘センター長

北海道大学 創成研究機構・宇宙ミッションセンター


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