CAREER | 2024/11/19

日本のIT業界の未来は明るい!
さまざまな分野から個性豊かで優秀な作品が集結。「U-22プログラミング・コンテスト2024」 最終審査会が開催。

エントリー272作品 (応募者総数:904名) の頂点が決定

取材・文:カトウワタル(FINDERS編集部)

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年々ハイレベルな作品が集まる次世代プログラマーの頂点を決定するコンテスト

U-22プログラミング・コンテスト実行委員会は、22歳以下を対象とした、「U-22プログラミング・コンテスト 2024」 の最終審査会を開催、最高賞となる経済産業大臣賞をはじめ、経済産業省商務情報政策局長賞、スポンサー企業賞、視聴者賞など各賞を決定した。

「U-22プログラミング・コンテスト」 とは、次世代のIT人材の発掘・育成を目的とし、児童・生徒・学生たちが、自らのアイデアをもとに、「プログラミング」 技術を用いて実装し、世の中をもっと便利に楽しくする作品を募集するもので、これまで44回も開催されてきた歴史あるコンテストだ。最終審査会には、今回もゲーム、ユーティリティ、言語、AI、学習&教育、IoTなど、さまざまな分野から22歳以下とは思えない質の高い作品が集まった。

尚、最終審査はプレゼンテーション10分間、質疑応答5分間、採点1分間で行われ、最終選考に進んだ16作品の発表者が、それぞれの思いを込め熱のあるプレゼンテーションが行い、審査員の協議により各賞が決定、「最終審査会結果発表・表彰」 が行われた。

身近な生活のまわりにある課題を解決する作品が受賞

最初に発表されたのが、「経済産業大臣賞」 から、「総合」「プロダクト」「テクノロジー」「アイデア」 の4作品だ。本プログラム・コンテストにおける最高賞となる。

そして、見事 「経済産業大臣賞 総合」 に輝いたのは、母親の趣味である 「ぽんぽん」 づくりを誰もが楽しむことができるようにと開発した 「PomPomPattern -ぽんぽん設計図ジェネレーター-」 を発表した東京都立産業技術高等専門学校武田和樹さん。受賞に際し、「取れるとは思っていなかった。」 という武田さんだが、アイデアもさることながら技術レベルの高さやアプリの完成度の高さも光った作品だ。

東京都立産業技術高等専門学校の武田和樹さん

「アイヌ語」の復興を目指し開発された技術レベルの高い作品

続いて、「経済産業大臣賞 テクノロジー」 に選ばれたのは、絶滅が危惧されるアイヌ語の復興を目指す 「アイヌ語ニューラル機械翻訳アプリ 「tunci:」」 を開発した五十嵐涼さん。「光栄です。作品がきっかけでアイヌについて考えていただけると嬉しいです。」 とコメントした。社会課題を解決することを真剣に考えて開発に臨んだ姿勢も評価された。

五十嵐涼さん

10代とは思えない芸術的なゲーム作品が受賞

次に、「経済産業大臣賞 アイデア」 には、独創的なクリエイティビティ溢れるゲーム 「きのこを狩るもの」 を発表した花田勘太郎さん。スクラッチで制作したという花田さんに、審査員からは 「スクラッチでここまで芸術的な作品は見たことがない」 という驚きの声が上がった。

花田勘太郎さん

プロ顔負けの完成度の高い作品

そして、「経済産業大臣賞 プロダクト」 には、日本工学院八王子専門学校SHADOW ESCAPEが発表したゲーム、「プリズンブレイク」 が選ばれた。サーチライトをうまく活用しているアクションも面白く、「感情曲線」 をもとに開発を進めるなどプロ顔負けのチームだ。

日本工学院八王子専門学校のSHADOW ESCAPE

続いて、「経済産業省商務情報政策局長賞」 が発表された。「経済産業大臣賞」 と同様に、「テクノロジー」「アイデア」「プロダクト」 から各2作品、計6作品が発表された。

「テクノロジー」 
には、Stack Programming Community「スタック指向型スクリプト言語Stack」 、愛知工業大学 町田渉さんの 「LicenSeed - 新しいライセンス付与と管理のカタチ」 が、「アイデア」 には、慶應義塾大学 MonochroPon「InterSense - 感情認識と目線検出によるAI面接練習&分析アプリ -」 と、群馬県立高崎高等学校 西山拓斗さんの 「Bridglass」 が、「プロダクト」 には、桐光学園高等学校 飯塚忠相さんの 「TANE」九州工業大学 二見和磨さんの 「Stacio」 が選ばれた。

その他、スポンサー企業賞各賞が発表され、ニコニコ動画、YouTube視聴者の投票による 「視聴者賞」 には 「アイヌ語ニューラル機械翻訳アプリ 「tunci」」 五十嵐涼さんが輝いた。

総評にあたり、審査員長東京大学 名誉教授近山隆氏は、「多数の応募の中から最終審査会に進んだ作品はいずれも優秀。このコンテストは分野を特定せず、プログラミング一般という大変幅広い対象となっており、さらに今年は使っているテクノロジーも目指している方向性も非常に幅広く、それぞれ目標を持って開発されたものだったため、順位をつけるのはとても難しい作業だった。」 と振り返った。 また、ここ数年の関心を集めている “生成AI” を取り入れている作品が数多くあった点については、「感心したのは、生成AIに頼ってしまうのではなく、上手に使った例が多数見られたのは大変うれしいところでした。」 とコメントした。

 最後に、「今回参加された皆さんも22歳以下であれば何度でもまた応募できますので、ぜひまたチャレンジしてください。今回で最後という方も、これから活躍する場がたくさんあると思いますので、今後の精進をぜひお願いしたいと思います。」 と締めくくった。

「U-22プログラミング・コンテスト」 は来年も開催を予定しており、2025年4月頃に詳細が発表される予定だ。

次世代のIT人材を育成・発掘する本取り組みに、今後も注目していきたい。


U-22プログラミング・コンテスト公式Webサイト
https://u22procon.com/

問い合わせ先
U-22プログラミング・コンテスト運営事務局 (一般社団法人ソフトウェア協会内)
u22-info@saj.or.jp