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BUSINESS | 2023/11/08

なぜ慶應SFCはこれほど「ネットワーク」にこだわるのか。7つの視点で見る『デジタルツインキャンパス コンソーシアムワークショップ』レポート

文:白石倖介 写真:北野翔也

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10月11日、慶應大学三田キャンパス北館ホールで『デジタルツインキャンパス コンソーシアムワークショップ』が開催された。慶應義塾大学SFC研究所(以下SFC)が推進する「デジタルツインキャンパス」の活動や意義について周知するワークショップであり、最新の情報インフラの研究開発や、その先端技術に関する詳細の紹介も行う催しである。

SFCでは2018年からソフトバンクとともに5Gのインフラを元にした共同研究を行っており、昨年2022年よりキャンパス内に基地局を立ててローカル5Gネットワークを構築。さまざまな研究及びそれを活用した課題解決に取り組む「デジタルツインキャンパス」の活動を進めており、こうした活動の報告とそれを元にしたディスカッションが行われる場となった。今回はイベントの様子と、メインコンテンツとなった7つのトークプログラムについてレポートする。

「OS」のような役割を果たすインフラ

はじめに登壇したのはワークショップの開会挨拶も努めた慶應義塾大学環境情報学部の中村修教授。「進化するデジタルツインキャンパス基盤」と題されたトークプログラムではソフトバンクとともに構築した5Gネットワークの概要と研究の現在地について、ソフトバンク 先端技術研究所の研究者である小林謙吾氏が紹介するという。中村氏の紹介で壇上に上がった小林氏はSFCのキャンパスを借りてインフラの研究をする上で5Gネットワークを整備するのと同時に様々なセンサーを学内に配置してデジタルツインの実証実験を行っていると語った。

中村修教授

「デジタルツイン基盤に繋ぐためのセンサーには大きく3つあるんですが、ひとつは基地局と同じように構内の建物の上に置いているLiDARセンサーによる定点的なセンシング。また自動運転バスにもセンサーがいろいろ付いていますので、それらの情報をネットワーク上に上げています。最後にデバイス情報です。今回の実験環境で使われている端末、例えばスマートフォンですとかM2Mルーターですとか、そういったものから受け取った情報をプラットフォームに上げるような仕組みがあります」(小林)

小林謙吾氏

小林氏はデジタルツイン時代に求められる機能のイメージとして「さまざまな種類のセンサーを集約し、多くのユースケースへ適用していく世界観」を提唱する。

「例えばナビのためには位置情報が必要ですが、今後はますますいろんなセンサーが増えて、しかもそれが通信に繋がってくるので、それらのデータを全て吸い上げて、ユースケースによらない一元的なデータを配るということができるのが、デジタルツインの役割だと考えております」(小林)

小林氏は具体例として学内で運行するバスのセンシングについて触れた。複数のLiDARセンサーでバスの動きを検知すると、それぞれのセンサーでの検出結果が出力されるため、現実では1台しかバスは走っていないのに、デジタル空間上で2台のバスと認識されてしまう。こうした課題を解決するためには、異なるセンサーの情報をかけ合わせる「センサーフュージョン」という技術が有効であるとした。

また将来的には5G基盤を通してこうしたデータに誰もがアクセスできる状況が生まれれば望ましい、とつづけた。

「5Gの通信基盤はWebの技術を取り入れており、APIで各ファンクションにアクセスできる仕様になってます。これの何がいいかというと、我々キャリア以外のところから通信の制御を一部できるというところです。例えば自動運転やドローンといった、それぞれのユースケースに合った通信の品質がそれぞれあるので、それをキャリアでマネージするのではなく、外部の使いたい人がそのタイミングで動的に変更するというようなことができる。そういったAPIから例えば端末の情報を抜き出すことや、基地局にいる端末の数を出すとか、そういったことができるので、今後はよりいろんな方が使いやすい形のAPIというのを定義していくことになるでしょう」(小林)

小林氏のプレゼンを受けた中村氏はデジタルツインキャンパスのインフラが、実質的にオペレーティングシステム(OS)のような役割を果たしていくだろうという見解を示した。「OS」は、さまざまなデバイスやセンサーからのデータを集約し、それをユーザーに提供する。その結果、アプリケーションは通信を直接行えるようになる。現在の課題は通信のQoS(Quality of Service)をどのように担保するのかという部分にあるが、この進化はデジタルツイン基盤が提供する一元的なデータ管理と、そのデータを利用するアプリケーションとの間の相互作用に新たな可能性をもたらすだろう。

自動交通網をアップデートしていく次のステップ

つづくセッションでは、慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科の大前学教授が登壇し、「SFCの自動運転シャトルバスにおけるデジタルツインキャンパス基盤の活用」と題してプレゼンテーションを行った。

このセッションでは、慶應義塾大学の看護医療学部と総合環境情報学部の敷地間を運行しているシャトルバスの運行を自動化し、2022年5月より定時運行しているという事例を紹介した。デジタルツイン技術を利用して自動運転を実現し、そのプロセスで遭遇した課題や解決策、さらにはその技術がもたらす可能性について深く掘り下げる。

大前学教授

「道路のセンターラインの座標をカメラで確認して、『この道路のセンターラインの左側1.5mを走りなさい』という指示を与えて走行します。信号の色などもデジタルツインから情報を取得しますから、バスの中に信号機の残り時間を表示できるんです(大前)

バスのルートには一部公道の区画があり、自由に車を走らせることのできる校内の私道と、それを公共の場所でどのように運用するのかをいずれも試せる点でこのルートは魅力的だという。現在は手動運転バスのほうが運行速度を出せるという事情もあり、自動運行と手動運行を組み合わせて運用しているとのことだ。

また、合わせて登壇したソフトバンク 先端研究所の榎本光洋氏は自動運転バスの事例を引き合いに出しながら「5Gを使ったネットワーク処理オフロード」について解説する。たとえばバスの停留所に人がいるかを確認する作業を自動化する場合、バスに搭載したカメラによって停留所で待つ人が何人いるのかを検知することになる。こうしたセンサーから取得した情報を車載のPCで解析する場合、バスがデバイスに供給できる電力の限界や、計算機の設置スペースの排熱環境等の制約が生じる。5Gネットワークを利用してセンサーの取得情報をアップロードし、こうした高負荷な処理は外部計算機で行おうというのがオフロード処理の設計思想である。

榎本光洋氏

複数台の自動運転車が混在するような環境でも、AIモデルの重みやソフトウェアのアップデートなどを一元的に管理できるようになります。今回ここで話したのはほんの一例で、こうした処理オフロードの機能は自動運転車以外にもロボットだったりドローンだったり、あるいはスマートフォンだったり、様々なもので使えると思います」(榎本)

ちなみに学内を運行するバスに対する学生からの評判はというと、「自動運転はスピードが出ない」という理由で手動運転のほうが人気だという。安全な運用とユーザー心理のすれ違いの解消も、今後サービス定着に向けた重要な指標となりそうだ。

現実世界の問題を“把握”し“解決”するネットワーク

次のセクションでは、さらに異なる観点から、デジタルツインキャンパスが紹介される。慶應義塾大学の佐藤雅明特任准教授は「X2N:すべてが繋がるモビリティ社会のためのプラットフォーム」と題したプレゼンテーションを行った。

佐藤准教授は、デジタルトランスフォーメーションがもたらすモビリティの変革に焦点を当て、その中核となるコンセプトを解説した。"X2N"という用語は、あらゆるもの("Everything")がネットワーク("Network")に接続されるという概念を指す。

佐藤雅明特任准教授

彼の話の中で注目すべきは、インターネットが我々の生活に不可欠な存在となり、その普及が私たちの日常生活や社会全体にもたらす影響の大きさを指摘している点である。佐藤准教授は、インターネットは「現実世界を知ること」と「現実世界のものを駆動すること」がこれまで苦手であったが、技術の進化によってこれが克服されつつあると指摘。特に、現実世界で何が起こっているかを把握し、それに応じた問題解決が可能になってきていると述べる。

また、モビリティと人間の基本的な欲求についての洞察も示された。移動自体が人間の基本的な能力の一つであると佐藤准教授は指摘し、技術が進歩しても、人々が移動を望む本質的な欲求は変わらないとする。その上で、不必要な移動は減少するかもしれないが、楽しみや探求心に基づく移動はこれからも続くであろうと述べ、そのための新しいサービスやシステムの開発が必要であると語った。

このセッションでは、さらに自動車の情報化、特にインテリジェントトランスポートシステム(ITS)について深掘りされていく。ITSは、人、車、道路インフラが協調して動作するシステムだ。これにより交通の安全性や効率性が向上するとしている。佐藤准教授は、これらの技術がどのようにして現実世界の問題に対応し、社会や個人の生活に影響を与えるのかについて、具体的な事例を交えながら説明した。

また、こうした技術の利活用のさらに先には、人の身体性も通信に乗せることが可能になるとして、研究中の「デジタル神経」についても解説した。

「今のネットワークの通信速度はとても速くて、これは人間の神経の伝達速度を超えています。何かを考えて指先を動かそうと思っても、この反応速度の限界って大体100ミリ秒ぐらいで、トレーニングしても100ミリを下回ることはないんですが、SFCの5G構成であれば、脳からネットワークに行ってまた戻ってきても、20ミリ秒くらいです。かなり時間的余裕があるので、この時間の間にコンピューティングで人間の動きをサポートしてあげたり、あるいは遠く離れた人間と体験・行動を一緒にすることができます。

こうした状況の中で「デジタル神経」は250ミリ秒というのを一つの基準として、複数の地点を繋げて動かしてみるような実験をしています」(佐藤)

感情に寄り添うネットワークとは

続くセッションは慶應義塾大学環境情報学部の大越匡准教授による「人とコミュニティ: デジタルツインキャンパス上の心と体」。

大越匡准教授

大越准教授はデジタルツインのテクノロジーとしての価値に着目しつつも、それを利用するのは人間であることを強調。さらに接続している人間の身体に対してもデジタルツインを用いることで有益なフィードバックを返すことができ、広い意味でのウェルビーイングに資することができると語る。

「コロナの期間、アプリケーションを用いて大学生の歩数を集計したんですが、ステイホームしていると、1日の歩く歩数は約2分の1、50%減少していることが明らかになりました。こうした体の動きの変化を観測することもデータとセンサーで実現したことです。スマートフォンのセンサーデータや、検索のキーワードなどを組み合わせてユーザーの心の雰囲気、ムードを推定することもできます」(大越)

また、こうしたデータを用いたフィードバックを人間に返す際には、人間の行動に対して最適なデータを最適なタイミングで提供することが重要であるとする。そして人間は必ずしも合理的な選択を取るとは限らず、ダイエットアプリを例に取り、人間の非合理性へのアプローチについて解説する。

「今日の食事はどれだけカロリーオーバーなのか、歩数が何歩足りません、みたいなことはいくらでも情報としてわかるわけですが、いろんな理由で我々は飲みに行き、食べに行くわけです。われわれはあるべき行動・合理的な行動だけをできるわけではない。それは経済学で言うと行動経済学の領域で、要は経済的な主体が必ずしも合理的行動をとれるわけじゃない。言ってしまえば『行動情報学』といいましょうか。情報システムもこういった人間の合理的でない、むしろ感情的な側面もわかってあげて、それでも優しく寄り添ってあげるようなシステムが重要です」(大越)

こうした人間の行動研究と5Gネットワークを結ぶ取り組みとして、現在コミュニケーション型アバターロボット「newme」を開発するavatarin株式会社と共同研究を行っており、SFCのプライベート5Gネットワークの中で高品質なリモートコミュニケーションの確立に付いての実験を行っているという。

この発表はデジタルツイン技術が人間の「心と体」にどのように関わっていくか、またそれが個人やコミュニティのウェルビーイングにどのように寄与できるかという新しい視点を提供した。大越准教授の研究は、テクノロジーが人間の内面に迫ることで、より健全で心地よい社会を構築するための可能性を探るものである。

メタバースは「ナレッジベース」を更新しうるのか

次のセッションは慶應義塾大学環境情報学部・脇田玲教授による「Virtual Campus as a Computational Playground」。

脇田玲教授

このセッションでは現実のキャンパスをデジタル化することで、新しい教育の形、コミュニケーションのスタイル、研究開発のプラットフォームを提供するというビジョンを提示。バーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)技術が、従来の教育方法に革命をもたらす可能性を示す。

バーチャルキャンパス上では、ユーザーは物理的な制約を超えて様々なシミュレーションや実験を行うことができ、これにより、実際のリスクやコストなしに、新しいアイデアやアプローチを自由に探求することが可能となる。

例えば、学生たちはバーチャルラボで実験を行い、即座にフィードバックを受け取ることができる。これにより、理論を実践的なコンテキストに適用し、深い理解を促進することができる。また、この技術を使用して、リモートでのコラボレーションやチームベースのプロジェクトも容易になる。

しかし、ここでの挑戦は技術的な再現性だけではない。デジタルアイデンティティの管理、プライバシーの確保、著作権といった問題も、この新しい環境を取り巻く重要な課題として挙げられた。

大学の「モデリング」には3つのフェイズが存在すると説明。

フェイズ1では「モノのモデリング」として、建築物や人、オブジェクトなどをモデリングする。いわゆるメタバース空間もこれにあたるという。フェイズ2は「活動のモデリング」授業や研究、課外活動をいかにモデリングし、それを支援していくかが鍵となる。そしてフェイズ3で示されるのが「社会関係のモデリング」だ。

従来の学びのスタイルを超えた、より自由で創造的な教育環境として、たとえば社会で面白い活動をしている学生には、それを根拠に大学の単位を与えるシステムを考えること。慶應義塾大学が誇る日本最大の学閥「三田会」の繋がりをいかにより強固なものにしていくかといったことも「モデリング」によって考えうる射程だ。

そして、こうした空間では既存のメタファーに依らない、全く新しいナレッジベースが求められるとし、そうした空間を作るパートナーとして、スペーシャルコンピューター「MEs」の開発を行うO株式会社のCEO・a春氏を紹介した。

a春氏

a春氏によれば現在の知識とクリエイティビティの情報が集約される「ナレッジベース」の在り方が過去半世紀近くアップデートされておらず、ことメタバース内においては人間の知能や知識が集約される場所としての機能を十分に果たしていないという。

これに対する解決策として彼が提案するのは、従来のファイルベースのナレッジベースではなく、ワールドやアバター、マテリアルを用いた「空間的なナレッジベース」である。これにより、知識の整理方法も、50年以上も使用されてきた従来の方法から、よりインタラクティブでクリエイティブな方法へと変化するという。

その一環として、a春氏は慶応SFCとソフトバンクとのコラボレーションを発表。彼らが目指すのは、ただのデジタルツインを作ることではなく、デジタルでの意味や機能を備えた、新しいタイプのキャンパスの構築である。このプロジェクトは、真っ白なキャンバスに学生や教授、卒業生が新しいプロジェクトや研究、アイディアを投影し、それが集約されることで、過去から未来へと続く新しい学びの空間形成と言えるだろう。

このセッションは、デジタルツインキャンパスが目指す未来のビジョンを特に視覚的に表現した。脇田教授とa春氏の独創的かつ具体的な提案は、参加者に新たな視点とインスピレーションを提供し、デジタル時代の教育と研究における新しい地平を示唆している。

“ローカル”にこそネットワークを

続いて登壇した植原啓介教授は、「MECを実現する技術の検証」について深く掘り下げた。MEC(Multi-access Edge Computing)は、データ処理のエッジをネットワークの近くに位置づけることで、通信遅延を削減し、データ通信の効率を向上させる技術である。植原教授はこのセッションで、インターネットが苦手としている領域を挙げ、それを解消するアプローチについて語った。

植原啓介教授

「インターネットはいろんなことを繋いできたんですけれど、未だに二つのことが不得意なんです。一つは『個人の特定』。これはやっていいのかよくないのかっていう部分もありますが、不得意であることに間違いはない。もう一つの苦手なことは『情報の地産地消』です」(植原)

インターネットは隣の家と、地球の裏側とをほとんど同じように通信でつないできたわけだが、『デジタルツインキャンパス』においては、そういった発想とは逆となる、「情報の地産地消」が重要となってくると語る。

インターネットはグローバルに広がっており、ユーザーの数は50億人以上とも言われるが、これをローカルな情報の流通に使おうとすると、コストパフォーマンスの問題でうまくいかない。

しかし、私たちの実際の生活で日々接するのは「地球の裏側」ではなく「隣の家」である。つまり生活とは極めて「ローカル」なものであり、であればこそ、そのローカルをつなぐネットワークも重要である。

これを解消する「狭いVirtual Enviroment」というものの成立を目指し、そのためにはMECとクラウド、これらを連携したネットワークサービスが不可欠になるという。

また、また植原教授に続くかたちでソフトバンク 先端技術研究所の堀場勝広氏も登場。自身も中村教授、植原教授に師事したSFCの卒業生だ。植原教授の語るローカルネットワークの管理の難しさ に重ねて、モバイルがさらに難しいということを強調。

堀場勝広氏

通信インフラの標準化についても触れ、様々な標準化団体が存在し、それぞれが独自の技術やプロトコルを推進している現状について説明。この多様性がある反面、どの技術が最適なのかの判断を難しくしていると指摘した。特に、MECを実現するための技術は数多く存在し、アプリケーションに最適な通信方式の選定が、現在のところ明確ではないと述べた。

キャンパスのネットワークはより「自由」に

最後のセッション「次世代キャンパスのNW」は、慶應義塾大学の中村修教授が主導する部分で、キャンパス内のネットワークインフラに焦点を当てたものである。このセッションでは、特にプライベート5Gというキーワードのもとに、ネットワーク技術の未来について深く掘り下げられた。セッションの初めには、シスコシステムズ合同会社から小林智典氏が登壇し、同社がどのようにプライベート5Gネットワークをデジタルツインキャンパスに提供しているのかを語った。

小林智典氏

小林氏は、シスコシステムズが提唱するネットワーク基盤に求められる新たな要素として、「ゼロトラストの徹底」「フルスタックの可視化」「インフラの自動化」「無駄なく柔軟な投資形態」の4点を挙げた。特に、ゼロトラストに関しては、ネットワークセキュリティの観点から重要な要素であり、「誰も信じない」スタンスで、必要な認証を経て初めてアクセスが許可される体制を強調した。この点は、研究機関や大学が取り組むべき重要なセキュリティ対策の一環と捉えられる。

また、「無駄なく柔軟な投資形態」という点では、現在は研究のネットワークとして使われている5Gを教員・学生にも開放していくという。実際に、これまであったWi-Fiや有線のネットワークに、プライベート5Gを加えることで、教員、学生にとってより自由度の高いネットワークの活用を実現していく。

中村教授自身の話に移ると、彼は過去の経験から、モバイルネットワークの構築とオペレーションには専門知識が必要であること、特にWi-Fiとは異なり、多大な労力と時間が必要であることを強調した。過去に自身が関わったプロジェクトでの経験を踏まえ、キャリアに依存する形でのネットワーク利用に疑問を感じていたが、プライベート5Gの可能性に気づき、これを研究の一環として進めることに意義を感じていることを明かした。

重要なのは、中村教授が提案するビジョンは、研究者や学生が自由にアクセスし、実験や研究に利用できるオープンなネットワーク環境の構築である。これには、シスコの技術とソフトバンクとの協力が含まれ、新しいネットワークの概念をキャンパスに導入することを目指している。プライベート5Gの研究プロジェクトが前進することで、新しいコラボレーションの形成、そして新しいネットワークの世界の創出が可能になると強調した。

総じて、今回のセッションは、現代のキャンパスが直面する通信インフラの課題に対する包括的な解決策を提示するものであり、次世代のネットワーク技術が教育と研究の両面でどのように貢献できるかを探求する試みである。それは、単なる技術的な進歩ではなく、教育機関が情報社会と高度に連携し、知識の創出と共有において、より重要な役割を果たすためのステップと言えるだろう。

デジタルツイン技術の進化は、リアルタイムデータの収集と分析に依存している。これは、高度なセンサーテクノロジーとの統合によって可能になる。将来的にこれらの技術がどのようにして都市インフラやメタバースと統合され、より効率的で持続可能なソリューションを提供するかには、引き続き注目したいところだ。