AIが言葉を運ぶ時代に、劇場で生身の身体と向き合う『人間失格』
太宰治が1948年に発表した『人間失格』が、コンテンポラリーダンスと現代アートの手法によって舞台上に立体的に再構築される。合同会社Upalupa Entertainmentが、2026年11月26日(木)から11月29日(日)まで、新宿の劇場「雑遊」で上演する。脚本・演出を手がけるのは、俳優・脚本家・演出家として活動する小池樹里杏である。
本作が独自なのは、主人公・大庭葉蔵が抱える孤独や自己否定を、言葉だけでなく俳優の身体そのもので描き出す点だ。誰かを愛しながら恐れること、笑いながら孤独を感じること。そうした矛盾や葛藤を、コンテンポラリーダンスによる身体表現で浮かび上がらせる。さらに葉蔵の記憶や感情、幻想を体現する「栞」と呼ばれる存在を複数配置し、物語を語る「私」、葉蔵本人、そして葉蔵の内面を表す「栞」たちという異なる視点が交差する構成になっている。
作品を象徴する色彩には紫とオレンジが用いられ、紫は孤独や死の影を、オレンジは温もりや生きようとする力を表す。対照的な二色と身体表現を通じて、一人の人間の中に同時に存在する光と影を描き出す狙いがある。AIが膨大な情報や言葉を瞬時に届ける時代だからこそ、俳優の呼吸や声の震え、客席に流れる空気といった、その場でしか成立しない時間を劇場で共有する意味を問いかける舞台である。
Wキャストと「物販なし」の選択が生む、一度きりの体験
主人公・大庭葉蔵役は、TBS日曜劇場『VIVANT』第2シーズンに出演中の榎本響【紫】と、俳優・イベントMCとして活動し本作が初舞台となる雨宮希雄【暁】がWキャストで演じる。公演は2026年11月26日(木)から29日(日)までの4日間で全8公演、紫・暁それぞれの回で物語の響き方が変わる構成だ。
脚本・演出の小池樹里杏は、「舞台は映像のように巻き戻すことも、同じ瞬間を再現することもできない」と語り、俳優の呼吸や観客が感じる空気のすべてが重なり合う一度きりの時間を、観客と共有したいとコメントしている。
本公演では公演グッズの物販を設けず、観客が劇場で感じた時間そのものを持ち帰ることを重視している。チケットは一般前売5,500円(税込)、当日6,500円(税込)で、2026年10月1日(木)より一般販売が始まっている。情報や言葉に次々と触れる日常から離れ、一つの文学作品とじっくり向き合う時間を求める人にとって、足を運んでみたい舞台である。
舞台『人間失格』
原作:太宰治『人間失格』
脚本・演出:小池樹里杏
公演期間:2026年11月26日(木)〜11月29日(日)
会場:雑遊(東京都新宿区新宿3-8-8 新宿O・Tビル1F)
公演スケジュール:11月26日(木)15:00【紫】19:00【暁】/11月27日(金)15:00【暁】19:00【紫】/11月28日(土)15:00【暁】19:00【紫】/11月29日(日)13:00【紫】18:00【暁】(全8公演・Wキャスト)
チケット料金:一般前売5,500円(税込)、当日6,500円(税込)
一般販売開始:2026年10月1日(木)
チケット予約
https://forms.gle/3xdqCnEgRPdrAbq69
公式サイト
https://upalupa.tokyo