累計応募1万通を超える 「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」 コンテストから第9弾となる書籍を刊行
超高齢社会を背景に需要が高まる 「終活」 に関するさまざまなサービスを提供する鎌倉新書は、2025年3月31日、書籍 「今は亡きあの人へ伝えたい言葉9」 を発行した。一般公募による 「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」 手紙コンテストの入賞作を収録したシリーズ第9弾だ。
このプロジェクトは、コンテストの形で2010年にスタート、これまでに累計1万通以上の応募が寄せられてきた。2023年秋から募集を行った第9回は、全国から2,000通超の応募があり、選考委員にはフリーアナウンサーの堀井美香と文学YouTuberのベル氏を迎え、金賞・銀賞・銅賞をはじめとする全82作品を選出。昨冬には授賞式および朗読イベントも初開催した。
家族・友人・恩師・ペットなど、さまざまな存在に宛てた手紙を収録。喪失を経験しながらも“今”を大切に生きようとする人々の声が収められている。




また、今回収録されている漫画家のヤマザキマリによる 「亡き母への手紙に寄せて」 には、20代の頃フィレンツェでの苦しい生活の中で母に宛てた手紙と、それに対する母の返信のエピソードが綴られている。
ヤマザキマリ
何十年ぶりかに母の友人の女性と会いました。横浜からわざわざ北海道までやってきた彼女は、カバンの中から「これ、あなたに」と一通の古い切手が貼られた封筒を私に手渡しました。
そこには、私がかつてフィレンツェに暮らしていた頃、「苦悩の中でもがきながら、なんとかやっています」という近況を綴った、母宛の手紙のコピーが同封されていました。
もう1枚の便箋には母の字で「相変わらず大変そうですが、どんなに苦しくても悔いのない人生となるよう、毎日祈り続けています」と綴られていました。リョウコは生前、私にそんな慮る言葉をかけてくれたことなど一度もありません。
照れ臭くも、切なくなりました。今回、母に宛てた手紙は、そんな母に対する私からの返事です。
<手記>亡き母への手紙に寄せてより抜粋

日本女子大学 国際文化学部国際文化学科 特別招聘教授、東京造形大学客員教授。
1967年東京生まれ。84年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。比較文学研究者のイタリア人との結婚を機にエジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなどの国々に暮らす。
2010年『テルマエ・ロマエ』でマンガ大賞2010受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2024年『プリニウス』(とり・みきと共著)第28回手塚治虫文化賞のマンガ大賞受賞。著書に『ヴィオラ母さん』『ムスコ物語』『扉の向う側』作品集『ヤマザキマリの世界 1967-2024』『世界逍遥録II』『続テルマエ・ロマエ』など。現在、『続テルマエ・ロマエ』を集英社「少年ジャンプ+」で連載中。
今は亡きあの人へ伝えたい言葉9
編集者:「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」 実行委員会
発売日:2025年3月31日(月)
定価:1,760円(税込)ISBN 978-4-907642-43-3
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