LIFE STYLE | 2024/02/06

ゲストの9割は外国人!まるで海外のリゾートにいるかのよう!? なぜ「ニセコ」は世界が注目するスノーリゾートになったのか?

現地でなければ分からないその魅力とは〜「ニセコ」滞在レポート〜

文・写真:カトウワタル(FINDERS編集部)

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世界有数のパウダースノーや壮大な景色を誇る世界的リゾート「ニセコ」

世界有数のパウダースノーと、「蝦夷富士」こと羊蹄山をはじめとした壮大な景色が魅力の「ニセコ」は、北海道倶知安(くっちゃん)町とニセコ町にまたがるリゾートエリアだ。かつては日本のどこにでもあるスキー場にすぎなかったニセコだが、今や世界各地から富裕層をはじめとした外国人旅行客が押し寄せるだけでなく、海外からの投資も盛んとなり、パークハイアットやリッツカールトンといったラグジュアリーホテルの開業も相次ぐ世界的な高級リゾート地だ。

この度、幸いにも3日間ほどニセコでの滞在機会に恵まれたので、ゲレンデや人気スポットなどの紹介も交え、ニセコの街の様子をお届けしたい。

他のスキー場ではなかなか味わえないパウダースノー|運良く天候にも恵まれた

ニセコの人気が高いのは、その雪質だけでなく広大で多彩なコースにある。ニセコエリアには、「ニセコHANAZONOリゾート」、「ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ」、「ニセコビレッジスキーリゾート」、「ニセコアンヌプリ国際スキー場」という代表的な4つのスキー場(ニセコユナイテッド)がある。今回は短い滞在のため、残念ながらHANAZONOとグラン・ヒラフの2つのゲレンデしか滑ることはできなかった(とは言えこの2つだけでもかなりの広さがある)が、4つのスキー場は頂上でつながっており、全てのコースへ移動することができるので、長期滞在者も飽きることはないだろう。

山頂付近より|「蝦夷富士」と称される羊蹄山を中心とした壮大な景色が拡がる

滑走した感じは「まさに極上のパウダースノー」。新雪で非圧雪のゲレンデにおいても、板がすっと雪面に入っていき、見た目ほど抵抗力も感じない。(ただ山頂付近の傾斜のきついゲレンデはやはりタフなコースであった。)

ゲレンデも圧倒的に外国人の数が多く、スキー場で働くスタッフやスキースクールのコーチにも外国人の姿が数多く見受けられた。年齢層も若者からシニア世代と幅広く、国籍もオーストラリア、アメリカ、中国、韓国、台湾と世界各地から多くのスキーヤーが訪れている印象だ。

「ニセコユナイテッド」公式ページよりNISEKO UNITED PV 2021-22

レストランに一歩足を踏み言えると、やはりそこも日本ではない、海外のカフェに入ったような光景が広がる。驚かされたのが、一部メディアなどを通じ見聞きはしていたものの、各メニューの料金設定だ。正直「HANAZONO名物 かにラーメン」(3,800円)など誰が食べるのだろう?と思ったが、意外なことに人気のメニューのようで、美味しそうにラーメンをすすり、楽しそうに蟹を穿る外国人観光客を何人も見ることができた。ドリンクも4リットル、5リットルの特大サイズのビールピッチャーや、3万円を超える高級ワインやシャンパンまで品揃えは豊富だ。

ニセコHANAZONOリゾート内にあるレストラン「HANAZONO EDGE」

外資系高級ホテルが続々オープン

一方、ニセコの雰囲気を洗練されたものにしているのは、やはり外資系高級ホテルやコンドミニアムだ。なかでもスタイリッシュな外観でひときわ存在感のある「パークハイアット ニセコ HANAZONO」はその代表格だろう。

コロナ禍の2020年11月にオープンした「パークハイアット ニセコ HANAZONO」

また、この「パークハイアット ニセコ HANAZONO」では、2024年2月25日(日)まで期間限定にて「ルイ・ヴィトン ニセコ ウィンターリゾートポップアップストア」がオープン。日本国内のリゾート地にルイ・ヴィトンが出店するのははじめてのことで、店内にはダウンジャケットやブーツなど、寒い日に活躍しそうなアイテムが並んでいるほか、ゲレンデには「ルイ・ヴィトン」デザインの「ゴンドラ」や「ユルト」も登場し、多くの人が記念撮影などを行っていた。まさにリゾート地としてのニセコが、“特別な場所”だと感じることができるイベントだ。

「ルイ・ヴィトンデザイン」の「ゴンドラ」
ゲレンデ内に突如現れた「ルイ・ヴィトン」デザインの「ユルト」、ブランドの世界観を表現するもので、中には入ることはできない

夜の街に繰り出すと、日本各地のスキー場や温泉リゾート地とは異なる独特の雰囲気を味わうことができる。足を踏み入れたくなるような個性的なレストランが軒を連ね、人気で予約困難なレストランも数多くあるという。レストランのメニューは日本語より英語表記が先で、北海道の豊かな食材を提供する和食店や、各国の料理をアレンジしたオリジナリティ溢れるレストランなど、クオリティの高い食事を楽しむことができる店も多い。もちろんレストランスタッフはほぼ全員英語での対応が可能で、中には日本人スタッフが一人もいないレストランや、中国語や韓国語対応が可能なレストランも珍しくない。

洗練された雰囲気のあるニセコの夜の街並み
東京にあっても人気が出そうな雰囲気のレストラン(ニセコで人気のレストラン「TEMPORADA」)
メニューは英語のみ(「TEMPORADA」)

インバウンド需要が高まる中、これからの日本のリゾートのあり方とは?

今回は、わずか3日間という短い滞在であったため、ニセコの魅力を存分にお伝えすることは叶わなかったが、ニセコという街が、海外資本を中心とした近代的なホテルやコンドミニアムなどの施設だけに頼るのではなく、そうした素晴らしい施設に相応しい、ゲストの快適さを提供する本当のホスピタリティを街全体で提供しようと務めていることを強く感じた。

それは訪日する外国人が心地良く過ごすことのできような多言語化対応はもちろん、さまざまなサービスやイベントなどの演出などに見ることができるが、これが外資系ホテルなどに限らず、地元の方々や他の地域からニセコに魅せられて移住して来た人たちによっても、もたらされているところに着目したい。これこそが、豊かな観光資源だけでなくニセコが世界有数のスノーリゾートになった理由ではないかと思う。

固定観念を捨て、いままでにない価値観を受け入れ、新しいアイデアを生み実行していくことこそ、今後ますます高まることが予想されるインバウンド需要へ向けた取り組みとして重要ではないだろうか?

さらにニセコでは今後、2027年に高速道路のニセコICが完成、2030年には北海道新幹線倶知安駅の開業も予定されているため、さらに世界中からの多くの観光客が訪れるようになるはずだ。そうした変化にも注目しつつ、ぜひ一度ニセコを訪れ、新しい日本のリゾートのあり方を体感していただきたい。