イベント現場や撮影、ロケのスタッフのために注文される「現場弁当」。たかが弁当と軽く思われがちだが、実際は現場の士気に直結する重要な要素のひとつだ。見た目や味に気を使うのはもちろんのこと、ゲストやクライアント、スタッフの好み、エリアや予算、ゴミの回収の可否などさまざまな要素を総合して検討しなければならない。
FINDERSの運営会社(の親会社)であり、イベントの企画・運営を行うシー・エヌ・エス社の社員が普段からイベント現場で利用している「現場弁当」を紹介するシリーズ「スタッフ目線で選ぶイベント現場弁当」。
その特別編として弁当選びの際に重宝する弁当配達・宅配デリバリーの総合サイト「くるめし弁当」。くるめし弁当は、業界でも圧倒的な加盟店舗数を誇りながら、弁当を発注するユーザーが「失敗しない体験」を提供するために、サービスの開発・改善に取り組んでいるという。
そんな弁当注文の強い味方である「くるめし弁当」を創業し、多いときには一日で7食もの弁当を試食するという、くるめし社長の石川聡さんに取材を行い、イベント現場でおすすめしたい、「ゲスト向け弁当」と「スタッフ向け弁当」をそれぞれ3品ずつ選んでいただき、くるめし流「失敗しない弁当選び」の極意を教わった。
石川聡
株式会社くるめし、代表取締役
老舗弁当屋さんのサイト制作に携わったことをきっかけに、弁当配達・宅配デリバリーの総合サイト「くるめし弁当」を立ち上げる。弁当屋を運営するお店の背景や、ひとつひとつのおかずにこめられた想いに心動かされ、お弁当マニアへと変貌。これまでに、多い年で年間320店舗、累計2,500種以上のお弁当を食べ歩き、その経験を活かしメディアにも出演。
丁寧にもてなしたいゲスト向け弁当3選
鳳弁当(1800円)
まずは、大切な出演者やゲスト向けに注文する弁当を紹介します。王道でハズさない弁当選びをするときのオススメは、やはり和食か肉ではないでしょうか。1つ目は焼鳥や水炊きを中心とした鶏料理専門店の赤坂焼鳥 鳳の「鳳弁当」です。
お弁当の外装にもこだわっていて、紐を解いたときの高揚感と、蓋を開けたときに香る炭火焼きのような香りが食欲をそそるんです。彩りはもちろんですが、冷めていても焼き鳥ならではの香りや食感が損なわれていないところもポイントです。
お肉系の弁当でも、焼肉弁当はちょっと定番すぎてひねりがないところもあるので、ほんの少し「おおっ」という驚きも味わってほしいという場合は焼鳥がいいですね。
『赤坂焼鳥 鳳』
定休日:祝日
注文締切日時:1日前18:00
配達時間:10:00~20:30
飲み物:プラス100円でお茶も追加可能(180mlパック茶)支払方法:現金 / 請求書 / クレジットカード
お肉とお野菜の25品目バランス弁当(1620円)
2つ目は、自然栽培の無添加・無肥料・無農薬な調味料、食材を厳選したイタリア料理を味わえるカーポラヴォーロの「お肉とお野菜の25品目バランス弁当」です。
やはりお弁当なので、「手にとった瞬間や、蓋をあける前にどういう空気感を醸し出しているか」は、弁当の内容と同じぐらい大事です。このカーポラヴォーロの弁当は、掛け紙に弁当づくりにかける思いが書かれていて、野菜に対しての思い入れの強さや、生産者さんとのつながりを大切にしているという、お店の世界観を食べる人に伝える努力が伝わってくる。こういう文章を読むと、食べる前から気持ちが高まってきますよね。
レストランはどこも盛り付けに気を遣うじゃないですか。ただお弁当は持ち運び時に揺れるので隙間があると崩れてしまうんです。そのため、ぎっちり詰まっていることも大切なんですが、ギチギチすぎても野暮ったくなってしまいます。そういった印象にしないためのちょうどいいバランスを意識されているなと思います。
さらに、盛り付けやすいように弁当に入っている具材はご飯含めて全部同じ大きさなんですよ。これなら作る側は、弁当をどう詰めるのか細かく考えなくていいので、大量調理しやすい。そこまで考えて作っていることが一目でわかるというのもオススメポイントです。
『カーポラヴォーロ』
定休日:日曜日
注文締切日時:1日前12:00
配達時間:10:30~19:00
飲み物:プラス250円のお茶も追加可能(330mlペット茶の場合)
支払方法:現金 / 請求書 / クレジットカード
シーフードミックスカレー(1404円)
3つ目は、宅配欧風カレー専門店オーベルジーヌの「シーフードミックスカレー」です。
テレビ番組の出演者や現場スタッフの定番のロケ弁としてメディアでも数多く紹介される有名店。カレーの種類は結構あるんですが、個人的にはシーフードミックスカレーがとても好きなんです。
初めて食べたのが十数年前ですが、その衝撃は未だに忘れられなくて。現在の店主は3代目になりましたが、先代から代替わりするタイミングからお世話になっていたので、味はもちろん、昔から変わらない良さと新しい変化を起こそうという気概を感じられるんです。美味しいカレーを食べてほしいっていうシンプルな熱があるなと思います。
現場弁当は、発注者として「なぜこの弁当を選んだのか」、その理由を語れることが大事だと思うんですよね。少しハードルが高いかもしれませんが、実際にお店に行って、そこで一言二言お店の方と話しをしてみると、その弁当について深く知れますし、お店側も聞かれて嬉しいのでいろいろなお話をしてくださるんですよ。僕もなるべくお店に行った際は話しかけるようにしていて、みなさん喜んで語ってくださるんですよね。こうして生きた情報を仕入れておけば、現場でのコミュニケーションにも役立つのではないか、と思います。
『オーベルジーヌ』
定休日:なし
注文締切日時:2日前15:00
配達時間:9:30~21:00
飲み物:340mlの烏龍茶缶が付属
支払方法:現金 / 請求書 / クレジットカード
限られた予算でも注文できるスタッフ向け弁当3選
ブリ大根とおろポンしゃぶしゃぶ弁当(864円)
次は、スタッフの方々に向けた弁当を紹介したいと思います。手作り弁当のマザーの「ブリ大根とおろポンしゃぶしゃぶ弁当」です。
「ブリ大根の大根ってこんなに大きかったっけ!?」「ブリ大根を再定義しているのか!?」というインパクトがあって、開けたときの驚きで選びました。
マザーさんは、もともとは自宅の前でキッチンカーを使ってお弁当を手売りしたところからスタートしたそうです。だんだんと地元で人気になって、そこからテレビのロケ現場にじわじわ広がっていきました。初期の頃からくるめしも関わっていて、もっとこの弁当が広まるべきだなとすぐに思ったんです。
家族で弁当作りをしているということ自体がとてもユニークじゃないですか。地域から愛されていたというストーリー性もあるし、昔から変わらずの味で、ロケ弁といえばこれという感じですね。
『手作り弁当のマザー』
定休日:なし
注文締切日時:1日前15:00
配達時間:9:00~19:00
飲み物:プラス100円でお茶も追加可能(500mlペット茶)
支払方法:現金 / 請求書 / クレジットカード
枝豆とレンコン入り自家製メンチカツ弁当(699円)
2つ目はおばんざいが味わえる手豆やの「枝豆とレンコン入り自家製メンチカツ弁当」。神田の店舗にはいつも行列ができるほど人気店です。
弁当を開けた瞬間まず目に飛び込んでくるのがメンチカツ。枝豆とレンコンが入っていて、メンチカツってこんな感じだっけ?と、マザーさんのブリ大根と同じく、嬉しい驚きがある弁当です。
なによりこのクオリティで600円代という価格ですよね。このぐらい安価な弁当は、普通だったら既製品をうまく使って価格を抑える必要があるんですが、手豆やさんの弁当は、おかずが手作りで弁当屋としてのプライドを感じるんです。僕の母も手豆やの大ファンで、実はいろいろな現場でも「母が好きなんです」というのはものすごく推しやすい理由だったりもします。
『手豆や』
定休日:なし
注文締切日時:2日前14:00
配達時間:10:00~18:00
飲み物:プラス86円でお茶も追加可能(500mlペット茶)支払方法:現金 / 請求書 / クレジットカード
チキンソティー&白身魚のフライ&鮭塩焼き&若鶏の唐揚げ弁当(870円)
3つ目は洋食シーザーの「チキンソティー&白身魚のフライ&鮭塩焼き&若鶏の唐揚げ弁当」です。
一つの弁当で洋食のさまざまなおかずをつまめるのでおすすめです。洋食の弁当でおかずの品数が豊富かつ限られた予算で注文できるものって少ないんですね。
やはり、品数を担保するのは弁当を作るうえで大変ということも関係していると思います。それでも、品数の多い弁当を提供しているのは「いろんなおかずを食べてほしい」というお店の思いが想像できますね。
たとえばですが、1日1000食を受注できるような弁当屋さんって、一度に大量に均一な弁当を生産しなければならないので、どうしても内容にバラエティをもたせられなかったり、味の特徴が見えなくなってしまう傾向にあります。良い悪いではなく役割の話なんですが、洋食シーザーさんは、1日に作れる弁当の数はそれほど多くないのですが、大量生産できる業者さんには難しい、一つひとつの完成度にこだわったお弁当を提供されていて、不思議と作り手のぬくもりが伝わってくる。スタッフの方々に提供する弁当に大切なのは「ぬくもりが伝わるかどうか」だと思うんです。
『洋食シーザー』
定休日:水
注文締切日時:2日前15:00
配達時間:9:00~20:00
飲み物:プラス150円でお茶も追加可能(500mlペット茶)
支払方法:現金 / 請求書 / クレジットカード
1日7食を食べるのは「失敗しない体験」のため
―― ご紹介ありがとうございました。この連載ではこれまでもイベント現場の社員の声を聞きながら、さまざまな条件や抑えるべきポイントから弁当屋さんを紹介してきたのですが、「弁当を語れるか」という視点はありませんでした。
石川:くるめしにはお弁当の問い合わせ窓口としてコールセンターを設置しています。メールなどテキストベースのやり取りだけでなく電話窓口も設置しているのは、弁当発注のなかで発生する不便を解消したいという思いがあるからなんです。つまり、「ここのお弁当はどうだったか」「どんな人が作っているのか?」といった質問につぶさに答えるために、くるめし側も弁当を語れなければいけない、そしてそれがサービスの価値になる、と考えたんです。
実際に一人ひとりが全部の弁当を食べているわけではないですが、試食したものは全員レビューを書いています。くるめし掲載用の商品開発をする過程でマネージャー陣が試食をし、基準を下回るものは掲載しないというクオリティ管理をしているチームもあります。必然的に私の弁当を食べる量も増えます。気づいたら1日に7食も弁当を食べていたこともありました。
―― ただの情報サイトではなく、弁当への情熱を持って運営しているんですね。
石川:そうやってお客様が弁当発注で「失敗しない体験」をするためには何を改善すればいいのか?と試行錯誤しています。個人で注文したときに到着が遅れたとか弁当の中身がいまいちだったとかは、そこまで気にならないじゃないですか。でも年に一度の大事な仕事で、お弁当を注文する際に、自信を持って食べてもらえないようなお弁当だったらもうそれだけで気持ちが落ち込みますよね。そういった体験をなるべく避けたいと考えているんです。
最後に新たな機能を紹介させてください。現在「シーン別の評価機能」というものを作っています。
実はレビューを公開している弁当サービスはくるめし弁当が初めてなんです。どうしてもコメントや評価ってコントロールできないものなので掲載して頂いている店舗さんにネガティブな影響があるのではないかと葛藤がありました。それでも、お客様目線からすれば絶対分かったほうがいい情報だと判断したので思い切って掲載しています。
もともとレビューを書く際に、企業名を併記いただくようにしていて、この会社が高評価をつけているということは、自分たちも頼みやすいかも、といったように、ある程度そのレビューを信頼するための根拠付けをおこなってきました。今回はそこに追加して、ロケ現場の朝食なのか、社内の会議中のランチなのか、シーンによって適した弁当は違うので、シーンごとの評価を見れる機能を作っています。
今後もさらに機能にブラッシュアップをかけていく予定ですので、ぜひ失敗しない弁当選びのために、ご活用いただければと思います。
『くるめし弁当』
国内最大級の法人向けフードデリバリーサービスで、イベントからロケ・撮影、会議まで幅広いビジネスニーズに対応。約800店舗18,000種類の宅配弁当を掲載し、用途や予算に合わせて検索・注文が可能。