文:赤井大祐(FINDERS編集部)
ハイスペックVRデバイスの「VIVE」シリーズなどで知られるHTC社が、スマートフォン「HTC Desire 22 pro」を10月1日に発売する。同社がスマートフォンをリリースするのは、4年ぶりになるということだ。
本機の記者発表会に参加してきたので、実機と合わせてレポートしたい。
バーチャル世界をちょっと身近に。
「HTC Desire 22 pro」は、HTC社のVRデバイス「VIVE Flow」と共に使用することを前提に作られたスマートフォンだ。
グラス型のVRのデバイス「VIVE Flow」ウェブページより
「VIVE Flow」は、軽量かつコンパクトなので、手軽に、そしてストレスなくVRの世界を体験できるデバイスだ。同社のVIVE Proシリーズや、Meta社のQuestシリーズなどと異なり、専用のコントローラーが存在しない。スマートフォンをペアリングすることでコントローラーとして使用するため、その正式な相棒として「HTC Desire 22 pro」が生まれたわけだ。
また「HTC Desire 22 pro」では同社が提供するメタバース「VIVERSE」にまつわる4つのアプリがプリインストールされている。
・HTCが提供する仮想空間を体験できる「VIVERSE」
・1枚の写真からアバターを作れる「VIVE Avatar」
・暗号資産管理ウォレットの「VIVE Wallet」
・NFTマーケットの「VIVE Market」
※画像はそれぞれブラウザ版のもの
暗号通貨のウォレットや、ウォレットの連携を必要とするNFTのマーケットプレイス。メタバースと呼ばれる仮想空間とそこで使用するアバターなど、いわゆる「WEB3」として頻繁に話題に上がる各種システムに「HTC Desire 22 pro」を通じて一括で、なおかつ手軽にアクセスできるというわけだ。
興味はあるけど技術的なことや新しい概念を調べながらインプットする作業がしんどくなってきた、という層が現在WEB3と呼ばれるサービス群を体感するファーストステップに最適だろう。
発表会冒頭に登場したHTC NIPPON社の代表取締役社長 児島全克氏
海外メーカーとして初の日本向け仕様
本体の説明に移ろう。サイズは166.3mm×76.9mmとやや大きめ。背面には美しい波模様が施されている。
こちらのカラーは「チェリーブロッサム」
ディスプレイは、1080 x 2412の6.6インチを採用。リフレッシュレートは120Hzと、動画やゲームもなめらかな画質で楽しめる。
カメラは6400万画素のメインに加え、1300万画素のウルトラワイドカメラと500万画素の深度センサーを搭載したカメラを搭載している。
それでは撮り比べ。左が「HTC Desire 22 pro」、右は筆者所有の「iPhone12mini」で撮影した会場内の写真。黒がパキッと写っている。暗所だとかなりノイズが乗ってしまう印象は否めない。
バッテリーは4520mAhと結構余裕がありそう。18Wの急速充電、ワイヤレスチャージャーにも対応。またワイヤレスでのリバース給電も可能だ。
そして日本のユーザーからの要望が多いという、おサイフケータイとIP67の防水防塵も実装。海外メーカーとしてこれらの機能を備えたスマートフォンのリリースは初めてなんだとか。
その他CPUにQualcomm 「Snapdragon 695 5G」。8GBのRAMにストレージは128GB。microSDカードのスロットを備えている。
商品説明を行ったのは「ひとりスマホメーカー」としてHTC NIOPPON社のスマホ事業に携わってきたVice Presidentの川木富美子氏。手に持つのは日本限定モデルとして日本向けに作られたオリジナルカラー「サルサ・レッド」だ。遠くからでも鮮烈な赤が印象的なカラーリングになっている。
また記者発表会では「VIVE Flow」と「HTC Desire 22 pro」を用いたVRコンテンツのデモが多数用意された。
名画の世界に入り込める「Art Plunge」やVR世界をまるごと塗り絵できる「Vivebrant」など既存のVRコンテンツのほか、HTCが提供するウェブブラウザーを使ったメタバース「VIVERSE World」内での謎解きゲームや、「VIVE Avatar」を使って実際にアバター作りまで体感することができた。
アバター体験会の様子
発売は10月1日で、予約は9月1日から受付を開始している。本体価格は6万4900円(税込)。またVIVE Flowとのセット販売も行っており、こちらは11万4900円(税込)となっている。それぞれ定価で買うより約1万円お得だ。