これまで野放し状態だった「個人によるエロ動画販売」のリスク
Photo by Shutterstock
最後は裁判官からの質問。
裁判官「本件はAさんの気持ちも考える必要がありますね」
C被告人「恥ずかしい映像が出てしまい、この先、世に出て活躍される方なのに大変な迷惑をお掛けしました」
裁判官「証拠によると、Aさんは自分の知らないところで販売されているのを知った、と。あなたも仕事でね、写真や動画がどれだけの力を持つかご存じではないですか?」
C被告人「はい、そうです…」
自衛隊の写真をSNSにアップしていた人がよりにもよって…という事件ですからね。
裁判官「いろんな人の誇りを傷つけ、不安にさせたのはわかりましたね。今後は人々を安心させる生活をしてください」
との安心とは自衛官としてなのか、社会人としてなのか。意味深な一言で被告人質問終了。
このあと検察官は、多くの人が興味を示すようなタイトルを付けて、Aさんの動画を6カ月間販売していたのは職業的な犯行であるとして、懲役1年10月と罰金200万円を求刑です。
これに対して弁護人は、ネット上には似たような動画はあふれている現状に触れ、現在は証拠品として押収されているキャッシュカードが返ってくればAさんへの賠償金を払うつもりであると。そして、懲役刑になってC被告人が自衛官を辞めることになれば日本国民の損失になるので、日本国民のために寛大な判決にしてほしいと弁論していました。
私も日本国民の一人なので、急に他人事ではない裁判に変身です。
この初公判から20日後の2月16日。日本国民が損失するかどうかの判決が言い渡されました。
結果は、懲役1年10月と罰金200万円で懲役刑につき執行猶予3年。弁護人の言葉を借りるなら損失ですね。
本件は事実上野放し状態だった無修正のわいせつ動画の対策に、警察が本腰を入れてきたなぁという印象なんですけど、このくらいの刑になります。今時、スマホ1台あれば誰でも撮影・編集・アップロードができちゃいますからね。この手の裁判はちょくちょく行われるんだけど、報道は事件内容までだったりするんですよね。裁判まで伝えれば犯行がちょっとは減るのに。裁判は公開なのにモザイクかかったみたいに、ちゃんと伝えられないのは不思議。
過去の連載はこちら