EVENT | 2021/10/18

専門家と相談しがら買い物できるECサイト『CURATED』。趣味人は知識を売ってお金に変換

文:赤井大祐(FINDERS編集部)
「ネットで探せば、もっと安く、良いものが見つかるかもしれない」。
目当ての商品...

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文:赤井大祐(FINDERS編集部)

「ネットで探せば、もっと安く、良いものが見つかるかもしれない」。

目当ての商品の情報が少なければ少ないほど、そう思うことは多いだろう。しかし、ご存知の通りネット上での情報収集は、必ずしも買い物の精度を上げてくれるわけではない。一通り調べ上げたとしても、結局は期待半分、不安半分での購入へと踏み切らざるを得ない。

毎週1社ずつ、気になるスタートアップ企業や、そのサービスをザクッと紹介していくシリーズ「スタートアップ・ディグ」。第4回で取り上げるのは、2017年にアメリカにて創業し、2019年には合計約31億円もの資金調達を行った、キュレーション型ECサイト『CURATED(キュレイテッド)』。

手軽で便利、だけど不安は拭えない「ECサイト」と、手軽とは言い難いが、親身に相談に乗ってくれて安心して買い物ができる「専門店」。それぞれの良さを併せ持つ同サイトは、私たちのネットショッピングをより良いものにしてくれるのだろうか?

専門家とマンツーマンでお買い物

CURATEDはスポーツ用品を専門とするキュレーション型のECサイトだ。扱うジャンルはスキー、スノーボード、自転車、ゴルフ、キャンプ、ハイキング、釣り(フライフィッシングを含む)、テニスの各種ギア及び、アパレル商品。

各ジャンルに共通するのは、機能差がはっきりしていないアイテムが多いため、買うべきアイテムにたどり着くのが困難である点だろう。したがってこれまでは専門店でスタッフに相談するのが一般的だったが、CURATEDでは相談、検討、そして購入までを一括してウェブ上で行うことができる。

ユーザーは登録を行うと、まずは探している商品のジャンルについていくつかテンプレートの質問に答える。するとその情報がサイトに登録する専門家(experts)へ共有され、実際の「相談」がスタート。やりとりはメール、チャット、ビデオチャットなど融通が効く。そして事前質問の回答と、その場のやりとりをもとに、提携先のブランドの商品の中からおすすめのアイテムをピックアップ。ユーザーはそのまま同サイトを通じて購入できる仕組みとなっている。

趣味の知識がそのままお金に

「専門家」たちは各分野で活躍するプロ、というわけではないようで、基本的にはセミプロあるいは趣味が高じた詳しい人、程度の認識になるだろう。書類審査、面接などをパスすることで専門家としての仕事をスタートできる。

専門家は、担当したユーザーが商品を購入すると報酬が発生。マージンを差し引いた額を受け取れることができる。同サイトによれば、週15-25時間の稼働で平均2000ドルほどの収益を挙げているという。また、ユーザーからのチップを受け取る仕組みも備えており、こちらは全額そのまま受け取ることができるようだ。専業ではない人が自身の専門知識をお金に変えるための間口が広がったというわけだ。

とは言え、現在CURATEDに登録している専門家は全ジャンル合わせておよそ49000人。当然レーティングシステムも備わっているので、サービスの内外において激しい競争が起きていることは想像に難くないだろう。

ECサイトは我々の生活様式を激変させ、便利さ、豊かさをもたらしてきた。同時に水面下では人々の個人情報、行動パターンなどあらゆるデータを利用し、どこまでも合理的に消費を煽り続けることでその勢力を拡大させてきた。CURATEDの登場はそんなECサイトをアルゴリズムから解き放ち、新たな買い物の形を提示することができるのか。今後に期待したい。