LIFE STYLE | 2021/09/08

月に330万円以上稼ぐ14歳と9歳の兄妹。夏休みに仮想通貨のマイニングに奮闘

Photo by Shutterstock

文:岩見旦

コンピューターの演算能力をブロックチェーンに提供する...

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文:岩見旦

コンピューターの演算能力をブロックチェーンに提供することで、その対価として新規に発行された仮想通貨を入手することができる「マイニング」。報酬を得るためには、計算スピードで競争相手に勝たなければならないため、高性能なマイニング機材を大量に用意する必要がある。個人でもマイニングすることも可能だが、資金力で勝るマイニング会社に勝つのは至難の業だ。

そんな中、マイニングで莫大な報酬を稼いでいる、米国テキサス州フリスコに暮らす若き兄妹が話題だ。

YouTubeとネット検索でマイニングを学習

14歳のイシャーン・タクールさんと、9歳のアーニャさんは、今年の夏休みを利用して、仮想通貨のマイニングを行うビジネスを始めた。イシャーンさんは『CNBC』の取材に、その動機を「テクノロジーに関する新しいことを学びたい、そしてその過程でお金を稼ぎたいと思い、始めました」と語る。

現在、兄妹はビットコイン、イーサリアム、レイヴンコインのマイニングを行っており、毎月3万ドル(約330万円)以上稼いでいる。

イシャーンさんは、YouTubeやネット検索でマイニングについて学習し、今年4月にゲーミングPCをイーサリアムのマイニング用に改造した。初日は稼いだ額はわずか3ドルだったという。

その後、マイニングビジネスを本格的に開始するに当たり、イシャーンさんとアーニャさんは、マイニング会社Flifer Technologiesを設立した。5月には1000ドルを稼ぎ、その後も収益は増加。7月下旬にはマイニング機材を揃え、ビットコインやレイヴンコインのマイニングも始めた。9月は約3万6000ドルの収益を見込んでいるとのこと。

報酬の使い道は将来の大学の学費

イシャーンさんとアーニャさんは簡単に成功を収めたように見えるが、その道程は決して平坦なものではなかった。兄妹は97台以上のプロセッサを保有しているが、これは元投資銀行家である父親がローンを組んで融資したものだ。正確な購入額は明かしていないものの、世界的なコンピューターチップの不足により、価格は高騰している。

また、環境に配慮したいという意向で、マイニングには100%再生可能エネルギーを使用している。テキサス州ダラスにあるデータセンターもレンタルしており、電気代は月3000ドル近く掛かっているという。

問題は費用だけではない。家の中はマイニング機器による熱と騒音がひどく、兄妹は部屋からガレージに移動せざる得なかった。そのガレージも現在は、マイニング機器の製作とテストのためだけに使用している。

イシャーンさんとアーニャさんは、夏休み中に事業を拡大させることができたが、今後もビジネスを継続し、学校との両立を図っていきたいと考えている。

気になる収益の使い道だが、ビジネスに再投資する他、大学の学費を賄おうと考えているようだ。イシャーンさんは医者になるため、ペンシルベニア大学を志望。アーニャさんも同じく医者を志しているが、ニューヨーク大学を志望しているという。

父親による資金の協力が不可欠であったことが言うまでもないが、YouTubeとネット検索で学習し、自らマイニングを学んだのは子どもたちだ。成功のために最も重要なのは、一歩踏み出す行動力なのだと改めて思い知らされた。